私たちが普段食べているものはお店に綺麗に陳列されたもので、その食材の裏で何が起こっているのかを知る機会はあまりありません。「食」にまつわる課題はさまざまありますが、特にフードロスは地球温暖化にもつながっている、深刻な問題です。
食品ロスの問題
世界全体では1年におよそ13億トンもの食品ロスが発生しており、FAO(国際連合食糧農業機関)の報告書によると、これは世界で生産される食糧の3分の1を占めています。

食品ロスとして廃棄されたものは、もったいないだけではありません。日本国内の場合、ゴミの約8割が焼却処分されていますが、廃棄される食品の多くは水分を多く含んでいます。水分が多いと燃えにくく、より多くの温室効果ガスを排出してしまいます。その結果、地球温暖化がさらに進んでしまうという悪循環が起こっています。
日本でも食品ロスに対する取り組みが行われています。
海外事例
この記事では、廃棄されてしまう野菜やフルーツをアップサイクルして価値を与えている海外の企業と研究の事例をそれぞれご紹介します。
- Ottan Studio
- シンガポール南洋理工大学
それぞれ見ていきます。
Ottan Studio

トルコ発のスタートアップ企業Ottan Studioでは、本来廃棄されるはずだった規格外の野菜や果物、賞味期限の切れた穀物などを地元の生産者や自治体から譲り受け、洗浄、乾燥、粉砕したら樹脂と混ぜ合わせ、インテリア製品にアップサイクルしています。Ottanは一本も木を切らずに環境にやさしい照明やオブジェなどを製造しています。
製品には野菜や果物をそのまま使用しているので、人工着色料などは使用していません。
左のベーシックな白色は消費期限が過ぎてしまったお米から作られています。右の黒色の素材はコーヒー豆の外側部分を使用して作られています。

他にもオレンジの皮を使用したもの、期限の過ぎてしまったレンズ豆など、さまざまな材料を使用してカラフルな素材を生産しています。
耐久性も兼ね備えているので、木材や大理石などの資源を消費する必要がなく、環境への負荷も最小限で済ませることができます。
シンガポールで開発されたドリアン由来の絆創膏

シンガポールでは、年間約1200万個のドリアンが消費されていますが、それだけ多くの皮が捨てられていることを意味します。さらにドリアンの60%は殻の部分が占めており、焼却処理されるときに環境汚染を引き起こしてしまうという問題がありました。
2021年3月、シンガポール南洋理工大学(NTU)は、フルーツの王様と呼ばれるドリアンの皮から抗菌ジェル絆創膏を作ったと発表しました。

傷口を保湿することで傷跡が残りにくくなるジェル絆創膏ですが、従来のものにはポリマーなどの合成素材が使用されています。しかし、NTUの開発したジェル絆創膏は無毒かつ生分解性なので、従来のものより環境負荷が小さいと予想されています。
最後に
いかがでしたでしょうか?
食品ロスは世界全体で取り組むべき深刻な課題ですが、なかなか私たちの目に届くことがありません。
また、食品をアップサイクルしても加工食品などになることが多く、それらが消費されなければ結局廃棄されてしまうという問題も抱えています。
しかし今回ご紹介した事例のように、食品をインテリアや絆創膏に返信させることできちんと消費者に届けられ、消費者もまた環境にやさしい選択ができるようになります。
今後もこのような商品が増えていくことに期待していきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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参照:
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2010/spe1_01.html
https://www.ottanstudio.com/
https://www.ntu.edu.sg/docs/default-source/corporate-ntu/hub-news/ntu-singapore-scientists-develop-antibacterial-gel-bandage-using-durian-husk-06cc9a43-3921-491e-861c-d7d911e2cc4d.pdf?sfvrsn=94c13236_3
https://www.weforum.org/agenda/2021/09/scientists-singapore-antibacterial-bandages-food-waste-innovation-nanyang-technological-university/