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環境評価システム EPEAT(イーピート)とは?認証を取得している企業事例もご紹介

環境評価システム EPEAT(イーピート)とは?認証を取得している企業事例もご紹介

現在、環境に配慮していることを証明する様々な基準が誕生しています。

業界問わず取得できるものもあれば、扱っている商品特有の物もあります。
例えば、紙の使用に関しては、環境や社会などに配慮され、管理された森林から消費者まで届けられていることを示すFSC認証があります。また、持続可能な形で消費者まで届けられる魚介類には、MSC認証やASC認証などがあります。

今回ご紹介するEPEAT(イーピート)もその1つです。

EPEATとは?

GECホームページ
GECホームページ

EPEATとは、Electronic Product Environmental Assessment Toolの頭文字をとったもので、電子機器製品が環境に対して配慮された商品であることを示す認証になります。

具体的には、スマートフォン、パソコン、モニター、コピー機やプリンター、テレビ、ネット周辺機器などが該当します。

アメリカ電気電子学会(IEEE)が策定したIEEE1680という規格をもとに、グリーン・エレクトロニクス協議会(GEC)という非営利団体が管理し、評価を行っています。よって、製品の登録・評価を行いたい場合は、GECに対して申請を行います。2006年に発足し、2009年からは、アメリカ以外の製品も申請し、登録できるようになっています。

評価基準

環境へ配慮した梱包

評価された製品は、どの程度環境に影響を与えているのかによって、ゴールド、シルバー、ブロンズの3段階で評価されます。

EPEATには「必須要求事項」と「オプション要求事項」の2種類があり、「必須要求事項」を全て満たす場合はブロンズ、「必須要求事項」+「オプション要求事項」で50%以上を満たす場合はシルバー、同じく75%以上の場合はゴールドになります。

評価項目としては、以下のようなものがあります。

  1. 環境に影響を与えうる材料の使用削減・除去
  2. 材料の選定
  3. 製品寿命とライフサイクルの延長
  4. 省エネ
  5. 梱包
  6. ライフサイクルアセスメント(LCA)とカーボンフットプリント
  7. 会社の環境パフォーマンス
  8. 会社の社会的責任

材料の調達や運送の部分の環境負荷の削減などを考えると、EPEATは自社だけでなく、サプライチェーン全体の協力が不可欠であることがわかります。

なぜ取得する必要があるのか

Apple iphone

EPEATは強制力のある制度などではなく、あくまで認証を行う機関ですが、アメリカ大統領令によって「政府調達の95%以上はEPEAT適合品でなければならない」と定められたため、必須の認証となっています。

そのため、日本でもRICOHやキャノン、エプソン、Lenovoジャパンなどが認証を取得しています。

アメリカでは、iPhoneで有名なApple社は2012年にEPEATからの離脱を宣言しますが、その2週間後には再度認証を取得せざるを得ないほどEPEATの影響が及んでいます。

また世界でも、オーストラリアやカナダ、ニュージーランド、イギリス、シンガポールなど多くの国がそれぞれの形でEPEATの要求事項に沿った形で基準を設けるなど広がりを見せています。

RICOHの場合

RICOH
RICOHホームページ

RICOHは2013年の2月にプリンター26機種でEPEAT認証を取得し、登録しています。

しかし、脱炭素社会の実現と循環型社会の実現のために、2030年・2050年に向けた環境目標を設定しています。

また、自社独自のRSPP(Ricoh Sustainable Products Program)という自社の評価基準を設けています。

このRSPPの基準を満たした製品はEPEAT認証の基準を同時に満たすものとなっています。

また、会社ホームページではEPEATに関連する情報を公開していますので、参考にしたい方はこちらよりご覧ください。

EPEATとエコリーフ環境ラベル

最後にエコリーフとEPEATの違いや関係性についてご紹介します。

エコリーフ環境ラベルを取得するためには、省エネルギー、製品固有の温室効果ガス排出、ライフサイクルアセスメントなどの項目のに回答する必要あります。そしてその項目は、EPEATの「オプション要求事項」の条件を一部満たすことができます。

そのため、エコリーフの登録公開数が増加しており、日本国内でも海外輸出に 力を入れる電子機器企業の関心が高まっています。

エコリーフ環境ラベルについて詳しくはこちら▼

いかがでしたでしょうか?

さまざまな認証機関がありますが、電子機器を扱う企業はEPEATを取得せずとも、その基準を満たす必要があると感じました。

今回は電子機器類が対象であるEPEATについてご紹介しましたが、今後は多くの商品にも環境へ配慮することが当たり前の時代になるのではないでしょうか。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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参照:
https://globalelectronicscouncil.org/ja/
https://jp.ricoh.com/
https://jp.ricoh.com/environment/data/epeat.html
https://xtech.nikkei.com/dm/article/COLUMN/20131121/317800/
https://www.ecomark.jp/pdf/20181206JapanBestPractice.pdf

丸末彩加

丸末彩加

丸末 彩加(まるすえ あやか)。幼少期をアメリカで過ごし、日本と海外どちらの視点も入れながら、楽しく社会問題を解決したいと思っています。趣味は旅行と音楽と食べることです。linkedinでも情報発信しています!