こちらの記事でお化粧品の中に含まれるマイクロビーズの問題について触れ、取り組みを行っている海外企業についてご紹介させていただきました。
今回の記事では、国内企業の取り組みや商品についてご紹介させていただきます。
目次
Toggleマイクロビーズとは
マイクロビーズとは、初めから小さいプラスチック原料のことで、お化粧品や洗顔料、歯磨き粉などにも含まれています。これらは粒子が小さいので、下水処理施設のフィルターを通り抜けてしまい、そのまま海へと流れています。これらを含むマイクロプラスチックは、さまざまな環境問題を引き起こしています。マイクロビーズはよく「ポリエチレン」「ポリプロピレン」「コポリマー」などと表記されています。
海洋プラスチック問題について詳しくはこちら▼
海外と日本の基準の違い
世界各地から海に流れ込むプラスチックごみの量は年間800万トンと言われており、このまま何も対策を講じなければ、2050年にはごみの量が魚の数を上回るというデータまで発表されています。
ヨーロッパ諸国やアメリカ、カナダ、台湾などはマイクロビーズを使用している商品の製造や販売を規制しています。一方、日本政府は、事業者に対して使用の抑制に務めるよう求める程度にとどまっています。一部の企業ではマイクロビーズの使用を取りやめるなど、自主的な取り組みが行われています。
取り組みを行っている日本企業
マイクロビーズに対して対策を行っている日本企業をご紹介します。
花王株式会社
花王は2016年時点で既にマイクロビーズを代替の素材へ切り替えています。現在花王が扱っているすべての洗顔料、全身洗浄料、歯磨き粉などはマイクロビーズを含んでいません。
また、花王の傘下にあるカネボウ化粧品も代替素材に切り替えています。
花王では「私たちのプラスチック包装容器宣言」として以下の取り組みを推進しています。
花王のプラスチックに対する具体的な取り組みについてはこちら▼
株式会社コーセー
マイクロビーズを環境負荷の低い植物性原料などに置き換えており、2018年1月以降はマイクロプラスチックビーズを含む洗浄料の国内外への出荷を一切行っていません。
また、海に流れ出るのはマイクロビーズだけではありません。コーセーでは、万が一河川に排出されても自然界の微生物によって分解されやすい生分解性のアミノ酸系原料を使用しています。「雪肌精」「インフィニティ」「ソフティモ」など、ほとんどのブランドで採用しています。
また、プラスチックの削減に向けて、植物由来のプラスチックや容器を紙に切り替えるなどして使用量を削減していくとしています。
コーセーの容器・包装における取り組みについて詳しくはこちら▼
株式会社マンダム
GATSBYやBifestaなどの商品を扱っている企業です。マンダムではマイクロビーズに関して、2017年度に代替原料化を完了しています。
そして今後はプラスチック問題への対応として以下のように取り組むと発表しています。
マンダムのプラスチックへの取り組みについて詳しく知りたい方はこちら▼
株式会社ファンケル
ファンケルもマイクロビーズへの対策を行っていますが、2022年3月時点では、ファンケル・アテニアというグループ会社の洗い流し化粧品に「マイクロプラスチックビーズを使用していません」と記載されており、一部の商品にとどまっています。
プラスチック全体に対する取り組みとしては、容器などの使用量削減に力を入れており以下の目標を掲げています。
ファンケルのプラスチックへの取り組みについて詳しく知りたい方はこちら▼
最後に
いかがでしたでしょうか?
国による規制がなくても、多くの企業が使用をやめるなど取り組みが進んでいると感じました。また、国内でも生分解性の高い化粧品用マイクロプラスチックビーズが開発されています。
味の素株式会社は独自のアミノ酸技術を生かし、生分解性の高い化粧品用マイクロプラスチックビーズ代替品の開発に成功したと発表しています。スキンケアやメークアップ化粧品に幅広く使用されている合成樹脂由来のマイクロプラスチックビーズと同等の感触・機能を持っており、2022年度上期の上市を予定しています。
このように、国内での調達が可能になることで、より多くのブランドがマイクロビーズの使用を削減していくのではないでしょうか。
参照:
https://www.mandom.co.jp/
https://www.mandom.co.jp/ir/pdf/2020_mandom_report_12.pdf
https://www.kao.com/jp/
https://www.fancl.jp/index.html
https://www.kose.co.jp/company/ja/
http://www.env.go.jp/water/marirne_litter/microbeads.pdf
https://www.ajinomoto.co.jp/company/jp/presscenter/press/detail/2021_04_26.html