サステナビリティ推進者のためのオウンドメディア

テクノロジーを活用したローカル重視の農業|企業事例

テクノロジーを活用したローカル重視の農業 | 企業事例

スーパーマーケットに陳列されている野菜は、どこから来ているのでしょうか?県内のものから、同じ日本でも遠い地域から運ばれたもの。あるいは遠いメキシコやイタリアから輸入されたものもあるかもしれません。

日本の2021年の食料自給率は38%です。私たちは食べるものを大きく海外に依存しています。遠くから運ぶということは、それだけ移動の際に二酸化炭素を排出しており、環境負荷をかけています。加えて、食料を生産するには一定の広さの土地が必要なため、森林伐採が行われているケースや害虫が付かないよう農薬の散布による土壌汚染や健康、生態系への影響も懸念されています。

新しい農業の形へ

従来の食料システムが抱えている問題の解決に向けて、テクノロジーを活用した新しい農業の形が注目を集めています。その一つである「垂直農業」は、高さのある建築物の階層や傾斜面を利用して野菜を栽培する方法です。垂直農業では広い土地が不要で、水や農薬も従来と比較すると約10分の1の使用量といわれています。都心や砂漠でも農業が可能なため、世界中で広がりつつあります。

日本でも2021年1月に、青山にあるインターナショナル店と、西荻窪駅店の紀ノ国屋で、ドイツ、ベルリン発の垂直農業スタートアップ企業「Infarm」の提供するスマート栽培システムが導入されました。Infarmで種から育てられた苗は、LEDの照明と水耕栽培で育成します。収穫した野菜は、根が付いたまま店内で販売されます。消費者に新鮮な野菜を提供できるだけでなく、輸送コストの削減や二酸化炭素の排出削減、廃棄ロスの削減も期待されています。

海外の企業事例 3社

環境負荷の少ない新しい形の農業として注目を集めている垂直農法は、葉物野菜を栽培しているイメージがあるかもしれません。しかし、今回ご紹介する企業は、キノコの栽培を行っています。

Infarm

Infarm
引用:Infarm

Infarmは2013年に、ドイツのベルリンで設立された、垂直農業のスタートアップ企業です。LEDを使用した無農薬水耕栽培を、コンパクトに行えるスマート栽培システムを開発しました。このシステムは、都市部で農業を流通させること、また限られた小さなスペースで農産物を育てることを可能にしました。

ITの最新技術を駆使することで、それぞれの作物に適した環境を作ることができます。そして現在は、約60種類の野菜が作られています。同社では、環境のわずかな変化に対する植物の反応を分単位でデータ化し、それをもとに栽培方法を改善しています。従来の農法と比べると、水の使用量は95%、肥料の使用量は75%削減することが可能です。

また、店舗内で野菜を栽培、収穫し、新鮮な野菜を販売するという生産者と消費者を直結するシステムの導入も、日本含めて他の国でも広がりを見せています。

Infarmは、従来の方法では多く必要であった土地の面積や、肥料や農薬による環境問題、安全性を大幅に改善しながら、食料自給率の向上に貢献しています。

Smallhold

Smallhold
引用:Smallhold

Smallholdは、ニューヨークに拠点を置く、キノコの栽培キットを販売している企業です。2017年に創業し、キノコ農場で量産するオーガニックの高級キノコと、その他のキノコの栽培システム(以下ミニファーム)と、家庭用のキノコ栽培キットを販売しています。

ミニファームは、電源につなぐだけで稼働するショーケース式です。よって大規模に工事する必要もありません。また特許技術を活用し、様々な種類のキノコ栽培に最適な環境を、自動で調整することに成功しました。このシステムは、アメリカの大手スーパーマーケットであるホールフーズなどの食料品店やレストランで導入されています。

Smallholdは、自分たちが住んでいるコミュニティ内でのキノコの地産地消を目指しています。消費者は、自分たちが食べているキノコはどこから来ているのかが常にわかり、見たいと思えば、いつでも栽培状況を見に行くことができます。また、新鮮なキノコが必要なときは、自分で収穫できるので、食の安全性や安心も得ることができます。 

アメリカのニューヨークは「徒歩圏内に農園」構想を推進しています。Smallholdの技術は、広大な土地や原木が必要ないため、都市型農業の推進と環境問題の改善に役立ち、この構想の実現に貢献できるでしょう。

まとめ

農業・畜産業界は、世界で2番目に多くの二酸化炭素を排出しており、また水の大量消費や開拓のための森林伐採、肥料や農薬による土壌汚染など、さまざまな環境問題を引き起こしています。

今回ご紹介した垂直農法のテクノロジーを活用した事例は、気候に関係なく年間を通じて安定的に生産することができます。また、狭いスペースでも栽培することが可能なため、消費地である都市部で栽培し、輸送の際に排出される二酸化炭素の排出削減にも繋がります。他にも、農薬を使用しない点や、水の消費量削減、あるいは、サプライチェーンの透明化など、垂直農法には多くのメリットがあります。

持続可能な食料システムを構築していくためには、従来の方法だけでなく、積極的なテクノロジーの活用が不可欠です。

参照:
https://cityup.jp/pr/2020/11/3392/

丸末彩加

丸末彩加

丸末 彩加(まるすえ あやか)。幼少期をアメリカで過ごし、日本と海外どちらの視点も入れながら、楽しく社会問題を解決したいと思っています。趣味は旅行と音楽と食べることです。linkedinでも情報発信しています!
記事一覧
タグ