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ウォーターフットプリントとは?その種類やバーチャルウォーターについて解説

ウォーターフットプリントとは?その種類やバーチャルウォーターについて解説

世の中でこれだけ脱炭素、カーボンニュートラルという話題が上がっているので、「炭素の足跡」と訳されるカーボンフットプリントという言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?

では、直訳すると「水の足跡」となるウォーターフットプリントはどうでしょうか?

今回はウォーターフットプリントの意味や、混同しやすいバーチャルウォーターとの違いについて説明していきます。

ウォーターフットプリントとは

ウォーターフットプリント

ウォーターフットプリントとは、商品・製品の生産から消費、廃棄・リサイクルまでのライフサイクル全体の家庭で使用された水の量を定量的に測定する指標のことを指します。

また、水の消費量だけでなく、水の消費地についても分析しており、環境への影響削減に繋げるだけでなく、水の汚染や水の枯渇といったリスクの評価にも活用できます。

この数値はm3で表されており、数値が大きいほど水資源を使用していて、そのインパクトが大きいことを表します。

ウォーターフットプリントは、国際標準化機構 ISOによって国際規格化されており、Water Footprint の頭文字をとってWFと書かれることもあります。

バーチャルウォーターとは

類似している概念にバーチャルウォーター、直やすると仮想水と言われるものがあります。

食料を輸入し、消費している国で、もし輸入せずにその国で生産したら、どの量の水が必要になるのか推定したものを指しています。よって、バーチャルウォーターは、ウォーターフットプリントを検討する際の要素になります。

バーチャルウォーターの輸出入国
バーチャルウォーターの輸出入国

バーチャルウォーターを輸出している国は、1位がアメリカ、2位パキスタン、3位カナダとなっており、一方の輸入している国では、1位アメリカ、2位中国、3位ドイツで、9位に日本がランクインしています。

※LACとは、Latin America and the Caribbean countries(アメリカ大陸のメキシコ以南の国々と、カリブ諸国)を指す

バーチャル・ウォーターとウォーター・フットプリントの違い

バーチャルウォーターは商品を作る際に必要な水の量だけに着目していますが、ウォーターフットプリントはこれらに加えて水の量だけでなく、どの地域のどの水源から水を消費しているかという点にも目が向けられています。つまり、バーチャル・ウォーターはウォーター・フットプリントを考える際の要素ということです。

ウォーターフットプリントの種類と算出方法

水資源

水資源を公平に使用するためのグローバルなプラットフォームであるWater Footprint Networkは、ウォーターフットプリントを以下の3つの種類に分類しています。

  • グリーン・ウォーターフットプリント
    土壌に貯められ、植物によって蒸発または取り込まれる水、土壌水に関係する水のこと。これらは農作物や園芸品、森林材になどに関係します。
  • ブルー・ウォーターフットプリント
    商品の製造家庭で使用されたものや、地表水や地下水などから供給され、人体にも入る水のこと。灌漑農業や産業、家庭で利用する水もここに含まれます。
  • グレー・ウォーターフットプリント
    家庭や工場などから汚染された水を特定の水質に戻すために必要な水のこと。

ウォーターフットプリントの計算方法について、環境省が2014年に発表した資料「ウォーターフットプリント算出事例集」によると、主要な計算方法としては「インベントリ分析」となっています。これは特定の過程における水利用による、水質や水量の変化といったデータを収集し、分析する方法のことを指します。また、これらを計算する際には、利用した場所、排出した場所、利用した期間なども考慮されます。

一例として、コンビニのお惣菜という商品のウォーターフットプリントを計算するには、原材料の生産から消費者に届いて消費され、入れ物が廃棄されるまでの各過程でどのくらい水が使用されているのか分析して算出されます。

ウォーターフットプリントの一例

トマトの場合
ピザの場合
コットンの場合

食品別のウォーターフットプリント

これらは具体的にどのくらいグリーン、ブルー、グレーウォーターを使用しているかを可視化しています。現在はまだ商品に認証マークがついていることはありませんが、このようにどのくらい環境へインパクトがあったのかを可視化する時代も近いかもしれません。

インパクトの可視化例
インパクトの可視化例

日本のウォーターフットプリント

WWFが日本のウォーターフットプリントを計算したところ、畜産とテキスタイル(繊維)が大きな割合を占めたそうです。

テキスタイルは、原材料であるコットンや羊毛などは、生産段階、繊維の脱色、プリンティングなどの加工段階で多くの水が使用されるからです。

日本で消費された繊維製品の生産によるウォーターフットプリント
(グリーンウォーターとブルーウォーターの合計)

WWFより引用
WWFより引用

また畜産は、家畜の飲み水に加えて餌となる穀物を生産する上で多くの水を使用しています。

世界全体の畜産対象となる家畜別の水使用量

WWFより引用
WWFより引用

この図は、日本で2018年に消費された輸入家畜製品の生産によって生じたウォーターフットプリントはを表しています。

WWFより引用
WWFより引用

最後に

いかがでしたでしょうか?

地球は水の惑星と言われますが、私たち人間が使用できる水は地球全体のなんと0.01%であり、石油のように偏在しています。日本ではあまり感じないかもしれませんが、水不足が深刻な国も存在しています。今後人口が増え続けることで、水不足はさらに深刻化することが予想されており、企業も今後ますます水リスクへの対応を強化していく必要が出てくるのではないでしょうか。


最後までお読みいただきありがとうございます。

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参照
https://www.env.go.jp/water/wfp/attach/jireisyu.pdf
https://waterfootprint.org/en/
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/4586.html
https://ecosistemaurbano.org/english/the-water-footprint-every-drop-counts/

丸末彩加

丸末彩加

丸末 彩加(まるすえ あやか)。幼少期をアメリカで過ごし、日本と海外どちらの視点も入れながら、楽しく社会問題を解決したいと思っています。趣味は旅行と音楽と食べることです。linkedinでも情報発信しています!

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