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フード産業とカーボンフットプリント|欧州企業・事例

【欧州企業・事例】フード産業によるカーボンフットプリントの取り組み

気候変動による危機が叫ばれ始めてから長い年月が経ちますが、改善するどころか、温室効果ガスの排出が増加しているなど、危機は増大しています。事実、異常気象による大雨や洪水による被害、山火事の発生件数は増加しており、ニュースで目にした方も多いのではないでしょうか。

この記事では、気候変動の緩和に向けて先進的な取り組みを行っているフード産業の3つの企業と、これから食べ物を選ぶときに指標となる「カーボンフットプリント」について解説します。

「カーボンフットプリント」とは?

「カーボンフットプリント」は「フットプリント」といわれることもあり、直訳すると「炭素の足跡」という意味になります。企業が商品の原材料の調達から流通、廃棄またはリサイクルにいたるまでの活動でどれだけの温室効果ガスを排出したかをCO2に換算して把握することで、2007年にイギリスで始まった取り組みです。この「カーボンフットプリント」は飲食業界においても取り組みが進められていて、パッケージにどれくらい地球の資源を消費したかを表示する企業も出てきました。海外の3つの企業をご紹介しましょう。

飲食業界におけるカーボンフットプリントは進んでいるのか?

日本ではまた一般的とはいえない「フットプリント」ですが、世界の飲食業界の中には積極的な取り組みを進める企業も少なくありません。

ご紹介するのは3つの企業です。1つめは、カーボンフットプリントに応じて価格を変えるスーパーをオープンした食品ブランド。2つめは、パッケージへのカーボンフットプリントの表示に取り組んでいる食品メーカー。3つめは、全メニューにカーボンフットプリントの表示を導入しているレストランチェーンです。

スーパーマーケットで食料品を買ったり、飲食店で料理を注文したりすることによって、自分がどれだけ地球に環境負荷をかけているかがわかるというこの斬新な取り組みを詳しくみていきましょう。

Felix(スウェーデン)

FELIX
引用:FELIX

スウェーデンの大手食品ブランド「Felix(フェリックス)」では、カーボンフットプリントに応じて独自の価格を設定し、パッケージに表示して数値目標化するという興味深い取り組みが始まっています。

「Felix」がオープンさせ「気候ストア」と名付けられた店舗では、独自の通貨が使われています。その単位は「CO2e」。温室効果ガスの排出量をCO2に換算したときに用いられる単位「CO2e」が店内でのみ使用できる通貨にも使われているのです。

パリ協定で定められた2030年目標の1つ、個人の1週間における最大消費量を18.9 kg CO2e以内に抑えようというターゲットに基づき、この「気候ストア」では1週間の買い物を「18.9 kg CO2e」の予算内でやりくりするように求められています。

これまで自分の行動が地球にどれだけ負荷をかけているか具体的にわからなかった私たちにとって、数値がはっきりと示されているのは今までにない事例です。これから広がっていくことが期待されます。

QUORN FOODS(イギリス)

quorn
引用:QUORN FOODS

「QUORN FOODS(クォーンフーズ)」はイギリス発祥の食品メーカーで、アメリカやヨーロッパ、アジアで広く展開していて、代替ミートなどヴィーガン向けの商品で有名です。また、製造時の二酸化炭素を削減したり、パッケージの80%以上をリサイクルしたりするなど、環境負荷に配慮した取り組みを積極的に進めるとともに、使用する水の削減にも取り組んでいる企業です。

そんな「QUORN FOODS」で2020年から始められたのが、売り上げ上位30品目のパッケージにカーボンフットプリントを表示すること。この取り組みによって、消費者はより環境にやさしい商品を選択することが可能になりました。また「QUORN FOODS」は、自社の取り組みが刺激となって他の食品メーカーにもカーボンラベル表示が普及していくことを期待しているとしています。

カーボンフットプリントの表示は、これから世界的なスタンダードになっていき、私たちが商品を選ぶときの選択肢となっていくでしょう。

JUST SALAD(アメリカ)

justsalad
引用:JUST SALAD

アメリカの「JUST SALAD(ジャスト・サラダ)」は、近年のアメリカ人の健康志向の高まりによって、アメリカ内外におよそ40の店舗をかまえる人気のサラダレストランチェーンに成長しました。

「JUST SALAD」は2020年9月から新しい取り組みを始めました。それは、全メニューにカーボンフットプリントを表示すること。消費カロリーや栄養成分をメニューに表示して消費者に提示ことはもはや当たり前のことになっていますが、カーボンフットプリントを料理のメニューに表示するというのはまだまだ珍しいことです。

「JUST SALAD」は「EAT WITH PURPOSE=目的を持って食べる」を理念のひとつとしています。地球環境に配慮することとともに、健康的な食事をすることも持続可能な社会のために重要なことであるとしています。

「JUST SALAD」のメニューのように、消費カロリーの隣にカーボンフットプリントも表示されて、これからは私たちがどの料理を食べるかを選ぶときの重要な要素になっていくことでしょう。

まとめ

本記事で取り上げた企業に共通するのは、自社が温室効果ガスの排出を削減して地球環境に貢献するだけでなく、カーボンフットプリントを見える化し、消費者に選択肢を示していることです。また、先駆者となって他の企業への波及効果を期待しているところも同様です。実際にカーボンフットプリントを消費者に示す企業も増えてきています。

まだ日本ではほとんど見かけない、飲食業界におけるカーボンフットプリント。これから日本でもカーボンフットプリントの表示が一般的になっていくのか、そうなったとき持続可能な社会のために私たちが行動を起こすきっかけとなるのか、その意識が問われることになっているかもしれません。

市川隆志

市川隆志

市川 隆志(いちかわ たかし)。株式会社アスエク 代表取締役CEO。米/ニューヨーク生まれ。大学卒業後、総合商社 双日株式会社に入社し、12年間 海外営業としてドバイに駐在。旅を通じて発見や刺激を受けることが好きで、これまで80カ国を探検しました!家では子供3人の父親です!
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