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SDGsとビジネス|日本中小企業・事例

2015年の国連サミットで採択された、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)ですが、日本でも各企業のSDGsへの取り組みが活発化してきました。とはいえ、今でもSDGsは国や大企業といった大規模での取り組みが主体で、自分たちの企業には関係ないと思っている中小企業の経営者さんは多いのではないでしょうか。しかし、そうした中小企業こそSDGsに正面から取り組んで、自社のブランディングに利用する価値があります。

ここでは、そんなSDGsに取り組む3社にフォーカスをあて、取組内容やそこから得た価値についてご紹介します。最後にはそこから見えてくる、中小企業がSDGsに取り組む際のポイントについてまとめてありますので、ぜひとも参考にしてみてください。

会宝産業株式会社

会宝産業株式会社
引用:会宝産業【5分でわかる会宝産業】

石川県金沢市に本社を構える会宝産業の事業内容は、自動車のリサイクルや中古自動車部品の輸入・販売です。日本全国から買取した中古車を自社工場で正しく解体。そこから取り出した部品を世界約90カ国へ届けています。

取組内容

同社の取り組むSDGsは主に「貧困削減」「環境保全」「雇用創出」です。ものづくりをする「動脈産業」と、つくったものを循環させる「静脈産業」という2つの産業が無ければ世界は回りません。人間のからだになぞられたこの2つの産業の内、同社に属する静脈産業の役割はいわば「後始末」で、そのパイオニアとして地球環境と世界経済のためにその輪を広げています。

近年途上国を中心に課題になっている、街に廃車がごみのように放置された自動車の後始末問題解決へ向けて、その地域で官民一体となったリサイクルセンターを立ち上げ、同社のノウハウによって環境保全に一役買うシステムをつくりあげました。さらに、日本国内に国際リサイクル研修センターを設置して、各国へノウハウを届けるとともに各国の人々を招いて研修を行うなど、雇用促進と貧困撲滅へ向けても大きな貢献ができることを目指しています。

対策のステップ

解体業から自動車リサイクル業へ。さらには地球規模の循環型社会をつくることを事業目的としたグローバル企業へと、同社はSDGsへの取り組みをはじめ半世紀の社史の中で、常にフロンティアスピリッツを持って事業を拡大してきました。こうした功績が認められ、近年では国連がSDGs達成促進を目的につくられた国連開発計画(UNDP)が手動する「ビジネス行動要請(BCtA)」に、日本の中小企業としては初めて加盟を承認されるなど、商業的な成功とともにSDGsへの取り組みが評価されています。

参考:会宝産業公式サイト

コマニー株式会社

コマニー株式会社
引用:コマニー株式会社【2030年に目指す姿~ROAD to 2030~】

こちらも石川県小松市に本社を置くコマニー株式会社は、1961年に設立された(当時はコマツキャピタル株式会社で1984年に商号変更)主にパーティション(間仕切り)の製造・開発・販売・施工の国内トップシェアを誇る企業です。

取組内容

同社が取り組むSDGsの目標のコアは目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」です。目標9を経営の軸と捉え、プロダクトサービス(自社製品における市場の問題解決)とガバナンス(各市場で活躍するステークホルダー)の両方に貢献することを目指し、SDGsへ取り組んでいます。

これら2つを個別に実施するのではなく、相互に働きかけて効果を上げることを目指し、技術を世界レベルに向上させることで企業価値を最大化させるSDGs∞(メビウス)モデルを構築。具体的には現状や予測される社会課題から4つの成長領域「地球環境づくり」「まちづくり」「間づくり」「人づくり」を定め、持続可能な環境づくり、人づくりに貢献できるような価値創造に取り組んでいます。

対策のステップ

同社では「関わるすべての人の幸福に貢献する経営」という理念が、SDGsの目標に通じると捉え、2018年に「コマニーSDGs宣言」を発表し目標達成へ向けて本格的な取り組みを始めました。さらに「コマニーSDGs∞(メビウス)モデル」において、3つの社会的課題解決のポイントを設定し、2030年までの目標達成へ向けて邁進しています。同社が掲げるサステナビリティ方針は次の6つ。

  1. お客様第一の追求
  2. お取引様(サプライヤー)とのパートナーシップ
  3. 地球環境との共存
  4. 人間性尊重の職場づくり
  5. 社会貢献活動
  6. コーポレート・ガバナンス

これらの方針を元に「コマニーSDGs宣言」「コマニーSDGs∞(メビウス)モデル」「2030年に目指す姿~ROAD to 2030~」を掲げて、SDGs達成へ向けた経営を執り行っています。2018年に開催された「2018国際平和のための世界経済人会議」において「広島SDGsビジネスコンテスト2018」最優秀賞を受賞。

参考:コマニー株式会社公式サイト

春日製紙工業

春日製紙工業
画像引用:春日製紙工業株式会社

静岡県富士市の製紙メーカー春日製紙工業は、1930年創業の老舗企業です。「地球とともに。」という経営理念の元、再生紙で作ったトイレットペーパーなど、環境にやさしい紙製品を製造しています。

取組内容

同社が取り組むSDGsの目標は次の5つ。

  • 目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 目標11:住み続けられるまちづくりを
  • 目標12:つくる責任 つかう責任
  • 目標14:海の豊かさを守ろう
  • 目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

これまでに培った独自のノウハウや最先端の技術を駆使し、再生紙トイレットペーパーをはじめとする環境に配慮した商品を開発。中でも、プラスチックに代替する商品開発は業界でも注目を集め、ものづくりを通して環境対策に貢献しています。

対策のステップ

メイン事業である紙製品の材料から見直し、古紙資源の有効活用による再生紙100%製品を開発。新しく森林伐採の必要がなく間接的に森林保護につながるとしたこの取り組みで、同社は環境保全の観点から見ても適切、かつ社会的利益にかない経済的にも継続可能な森林管理を理念とした国際的森林認証「FSC®森林認証(リサイクル)」を取得しました。また、世界一地球にやさしい工場を目指して、クリーンエネルギー「天然ガス」を利用した発電システムで工場の消費電力の75%を自家発電。

さらに紙を製造する工程で使われる大量の水を、魚が住めるほどきれいな水に戻してから排水される浄水方法を取り入れ、環境にやさしい工場へとシフトを切りました。そうした取り組みのかたわら、ユニセフを通じてアフリカ/アンゴラ共和国の「子どもに優しい学校づくり」や、国県市町が開催する「河川海岸美化運動」「ごみゼロ作戦」などの活動に参加して、活力ある地域社会づくりに貢献しています。

参考:春日製紙工業株式会社公式サイト

まとめ

中小企業がSDGsに取り組む際の参考として、3社の事例をご紹介しました。これらの事例から読み取れることは、SDGsへの取り組みと企業規模は関係ないということです。国や大企業が率先して取り組むことで誤解されがちなSDGsへの取り組みですが、中小企業の場合でも自社が取り組める小さなところから始めて、スモールステップで目標解決へ向かっていくことこそ大切な考え方です。社会貢献と企業活動を両軸に据えて、どちらが上ということなく進めていきながら、それをうまくステークホルダーたちにアピールすることができれば、やがて周囲の評価を集めて自社の経営に還ってきます。ただし、そうしたアピールと実態が伴わないSDGsウォッシュの状態になることにだけは注意して、あなたの会社でも取り組むことのできるSDGsの目標を見極め、身近な小さな事柄から取り組んでみてください。

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