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先進的なSDGsの取り組み|地方中小企業・事例

地方の企業が取り組むSDGs|先進的事例

2015年の国連サミットで採択されて以来、世界各国で官民問わずさまざまな取り組みがなされているSDGs。日本においても多くの企業が取り組み、成果を上げ始めています。この記事ではそんな企業のSDGsに対する取り組みのうち、地方の企業に焦点を当て都心企業との取り組み方の違いや、地方だからこそできる取り組みの実例を交えて考えてみました。

地方企業にとってのSDGs

都市部の企業と違い地方に本拠地を構える企業の場合、その地域との立地的・人員的関わりというものは見過ごすことのできない問題です。そこに勤める従業員は地元に住む人々も多いでしょうし、企業の売上そのものがその地方の発展につながるケースも少なくありません。そのため、地方の企業がSDGsへの取り組みを考えた場合、地域社会へその価値を還元できるよう、地方創生と組み合わせて考えることが大きなテーマとなります。

地方創生が大きなテーマ

引用:令和元年度上場企業及び機関投資家等における地方創生SDGsに関する調査

内閣府地方創生推進事務局が2020年3月に発表した「令和元年度上場企業及び機関投資家等における地方創生SDGsに関する調査」においても、地方創生SDGsに既に取り組んでいる企業は約4割を占め、検討中と答えた企業と合わせると6割を超えています。

このように地元密着や地域社会へ対する貢献が求められる地方の企業においては、SDGsに取り組む場合でも、地域社会と密着した地方創生は大きなテーマです。現に先の調査での回答企業の約7割近くが、地方創生SDGsへの取り組みは現在の収益事業の一部であると位置づけ、「既存事業の拡大」「新規事業創出」「人材獲得への好影響」など、実際にビジネス上のメリットを得られたとしています。

参考:令和元年度上場企業及び機関投資家等における地方創生SDGsに関する調査

官民連携が鍵

引用:地方創生SDGs官民連携プラットフォーム

こうした地方創生SDGsに取り組む場合では、1企業だけで取り組むよりは、政府や地方自治体といった公的機関との連携も大きな鍵となり、持続的な経済社会の推進を図るためには官民の連携こそが暮らしやすい未来を創る大きな原動力です。

こうした広範なステークホルダーとのパートナーシップを深めることは、SDGsの目標17に掲げられた「パートナーシップで目標を達成しよう」という理念にも合致し、内閣府でも地方創生SDGs官民連携プラットフォームを設置するなど、積極的な官民連携での地方創生SDGsへの取り組みを後押ししています。

地方の企業が取り組むSDGs事例

それではここで、先の地方創生SDGs官民連携プラットフォーム経済産業省/関東経済産業局【SDGsに取り組む中小企業等の先進事例の紹介】などに紹介された事例を元に、地方の企業のSDGsに対する先進的な取り組みについていくつかご紹介します。

埼玉県/株式会社SAMURAI TRADING

引用:株式会社SAMURAI TRADINGホームページ

埼玉県桶川市に本社を構える株式会社SAMURAI TRADINGでは、卵殻を利活用した廃棄物削減とCO2削減の実現に貢献する取り組みとして、卵の殻を使ったバイオマスプラスチックや次世代のエコペーパーなどを開発・販売しています。元は食品会社であった同社は、業務用デザートを生産する際に排出される卵の殻に着目し、持続可能な資源への転換を考え研究するところからSDGsへの取り組みが始まりました。

こうしてできあがったバイオマスプラスチックやエコペーパーなどの製造・販売を元に、SDGs普及活動の一環として「エコ玉プロジェクト」を発足。同社のSDGs活動に賛同する企業など多くの賛同者と共にパートナーシップを深めていきました。本社を構える桶川市が取り組むSDGs施策の一環としても同社の製品が採用されたり、これまで産業廃棄に利用していた費用を植林へと投機。民間のパートナー企業から公共機関まで含めた広範囲なパートナーシップにより、地域の生態系への働き方だけでなく、就労支援や新規事業創出といった、地域の社会全体に貢献する活動を続けています。

こうした同社の取り組みは、発端は自社の小さなアイデアでしかなかったかもしれませんが、それを実現した上で外部に対して発信することで、官民問わず多くの賛同者を得て新たな取り組みへとステップアップを果たした好例と言えるでしょう。

長野県/株式会社山翠舎

株式会社山翠舎
引用:株式会社山翠舎ホームページ

長野県長野市に本社を構える株式会社山翠舎は、1930年に創業された山下木工所に端を発しています。創業以来、無垢材などの「本物の素材」にこだわってきたという同社ですが、地元の空き家となった古民家が社会問題化し取り壊されているという現実に直面した時、それらの古木を利活用して店舗の施工を行うことからSDGsへの取り組みが始まりました。

これらの取り組みは、民間の飲食店など店舗型ビジネスを蘇らせ、あるいは新たに生み出すだけでなく、長野県の道の駅小谷の建築を任されるなど、幅広い活動へとつながっていきます。そこでは牧歌的で文化的な小谷という地域を、他県やインバウンドの観光客へとアピールすることにつながり、さらには地元の職人や工芸家たちの協力を得るなど、地域社会の貢献を通じてSDGsへの取り組みを進めています。

自社の伝統的な取り組みから一歩外にある社会の課題へと目と向けた時、同社では新たなビジネスチャンスとともに地域社会や地球環境に優しい取り組みが実現できたのでしょう。今後は供給体制と生産体制の充実を図り、地元との取り組みだけでなくターゲットを海外まで広げた新たなフィールドでの活躍を考えてるといいます。

石川県/北陸グリーンボンド株式会社

引用:北陸グリーンボンド株式会社ホームページ

石川県に本社を構える北陸グリーンボンド株式会社は、北陸地方公共団体のグリーンボンドを活用する、グリーンプロジェクトの組成および支援のみを目的とした企業です。

ちなみにグリーンボンドとは、企業や自治体がグリーンプロジェクト(再生可能エネルギー事業、省エネ建築物の建設・改修、環境汚染の防止・管理など)に要する資金と調達するための債権を指します。近年では国際的にその普及が加速してきましたが、国内では東京都でしか発行事例がない(2018年3月時点)中、それまで大都市圏でしか取り組むことができなかったこの取り組みに対し、各自治体・企業による大小バラバラな対策をフレームワークによって整理。1つにたばねることによってスキームのパッケージ化と、グリーンボンド発行に関わる支援を提供することを目的に設立された企業が北陸グリーンボンド株式会社です。

地方創生型のグリーンボンド実現を目指すことで、SDGsへの取り組みを強化し、多くの関係省庁との連携を取りながら、北陸地方の発展をも視野に入れた取り組みを行っています。こうした企業の成り立ちそのものが地方創生SDGsへの取り組みといえる同社のケースのように、地方創生を考える上では官民連携の元でSDGsへの取り組みを行うことが重大な鍵だということが見て取れます。

まとめ

地方企業がSDGsに取り組む際は、1企業単体での行いではなく企業間や自治体などを巻き込んだ官民連携での取り組みを行うことこそが、地方創生へとつながるSDGsを実現できる鍵です。自社の活動が地域社会へどのような貢献ができるかを考えることも、SDGsの目標達成には必要で、そのためには地方行政をも巻き込んだ施策のほうが、より地元還元の意味では大きな取り組みとなるでしょう。こうした各企業の取り組み例を参考に、新たなSDGsへの取り組み方を模索してみてください。

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