検索
Close this search box.

オランダとドイツのホテルは「環境」と「多様性の許容」に配慮されている

オランダとドイツのホテルは「環境」と「多様性の許容」に配慮されている

日本のホテルでは、シーツ交換の頻度削減やシャンプーなどのアメニティをフロントで選ぶシステムが導入されるなど、環境配慮に対する取り組みが行われています。しかし、サステナビリティ先進国と言われるオランダやドイツのホテルは、「環境」だけでなく「多様性」にも配慮したサービスが提供されています。

本記事では、私が2023年2月にオランダとドイツのホテルに滞在した際に感じたことや日本でも取り組めるのではないかと思った点について紹介します。

部屋の清掃や交換は、本当に必要?

ホテルに滞在すると、定期的に部屋の清掃が行われます。部屋の清掃は、多くの場合、掃除機やゴミの回収だけでなく、バスタオルやフェイスタオル、ベッドシーツの交換などが含まれます。日本人は、衛生意識が高いため、清掃の度に多くのアメニティを交換します。しかし、サステナビリティへの取り組みを積極的に行い始めているアパホテルは、4泊毎にフル清掃が行われ、3泊までは同じシーツや枕カバーを使用してベッドメイキングを行っています。宿泊者が希望する場合はフル清掃を行うことも可能ですが、交換しない場合は感謝の気持ちとしてミネラルウォーターが配布されます。

一方、オランダとドイツで宿泊したホテルは、シーツや枕カバーの交換は1週間に1度のみ行われます。また、タオル類に関しても同様です。バスルームには、以下のようなメッセージが掲げられています。

オランダとドイツのホテルは「環境」と「多様性の許容」に配慮されている

宿泊者に対して、本当にタオルの交換が必要なのかを問いかけています。この表示が目に入ることで、タオルの交換頻度は低くなるように感じます。先ほど紹介した日本のアパホテルは、清掃を行わない代わりにミネラルウォーターの配布といったインセンティブがありますが、欧州のホテルではほとんど見かけません。

ホテルで感じる多様性の許容

オランダのホームパーティーでは、全ての人が食事を楽しめるよう、必ずヴィーガンメニューが用意されるそうです。ヴィーガンは、日本語で完全菜食主義という言葉に訳されるため、食事に関するものだと思っている方が多いかもしれません。しかし、ヴィーガンとは、動物から搾取しないというライフスタイル全般に関する思想です。オランダのホテルでは、部屋に用意されているハンドソープやシャンプーといったアメニティーがヴィーガン認証を取得しています。

さらに、オランダで宿泊したホテルは、大手宿泊予約サイトのbooking.comによる「Proud Certified」の認定を取得しています。Booking.comによると、LGBTQ+の旅行者の半数以上が滞在先で歓迎されていないと感じたり、不快な思いをしたことがあるそうです。ホテルは、booking.comの「Proud Certified」に認定されると「Travel Proud」のラベルを表示することが可能です。この取り組みは、世界で初めて同性婚を認め、多様性の許容を重視している同国ならではの配慮だと感じました。

Travel Proudについて詳しくはこちら▼

オランダだけでなく、ドイツのホテルでも、「環境」や「多様性」に対する配慮を感じることができます。ドイツで宿泊したホテルの部屋に用意されているお茶は、フェアトレードとオーガニックの認証を取得したものです。ドイツは、駅の中にオーガニックのスーパーマーケットがあるほど、オーガニック商品が身近です。オーガニックは、農薬を使用しないため、土壌や水を汚染せず、また働く人の健康を守ることにも繋がります。

オランダとドイツのホテルは「環境」と「多様性の許容」に配慮されている

最後に

オランダとドイツのホテルのサステナビリティに対する取り組み事例を紹介しましたが、日本の方が取り組みが進んでいると感じた点もあります。例えば、日本のホテルは、部屋のカードキーを挿入することで、宿泊者が部屋にいることを認識します。これによって、部屋の電気やエアコンの電源が付く仕組みを導入しているホテルが多いです。この取り組みは、部屋に居ない場合、電力消費量の削減に繋がります。今回滞在したオランダとドイツのホテルは、部屋にいない間もエアコンや部屋の電気を付けっぱなしにすることができてしまうため、環境に対する意識が低い宿泊者が泊まった場合、エネルギーを無駄に消費してしまうと感じました。

訪日外国人観光客数は、新型コロナウイルスの水際対策が緩和されたことで回復しつつあります。環境に対する意識が高い欧米の観光客は、観光地を訪れる前に自分が宿泊する施設や利用するツアー会社がサステナビリティに取り組んでいるかを確認しています。そのため、サステナブルツーリズムが欧米の外国人を誘致する方法として注目されています。

サステナブルツーリズムの関連記事はこちら▼

サステナブルツーリズムは、「環境」というテーマに目が行きがちです。しかし、大切なことは、全ての旅行者が快適に過ごせることではないでしょうか?日本の観光産業でも、オランダとドイツの事例を参考に、「環境」と「多様性」の両方に対する配慮が進んでいくことを願います。

参照:
https://www.apahotel.com/file.jsp?id=153950#
https://www.hotel2stay.nl/

Picture of 丸末彩加

丸末彩加

丸末 彩加(まるすえ あやか)。幼少期をアメリカで過ごし、日本と海外どちらの視点も入れながら、楽しく社会問題を解決したいと思っています。趣味は旅行と音楽と食べることです。linkedinでも情報発信しています!

サステナブルツーリズムでお悩みの方は
お気軽にご相談ください