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情報共有がサーキュラーエコノミー推進を加速させる|オランダ

情報共有で加速するサーキュラーエコノミー|オランダ

消費した資源をリサイクルや再利用せずに破棄するリニアエコノミー(直線型経済)が主流だったこれまでの社会。私たちの経済システムが、サーキュラーエコノミーを実装するためには、社会の変化(社会的イノベーション)と技術革新(テクノロジーイノベーション)の両方が必要不可欠だと言われています。オランダ政府は、2050年までに100%サーキュラーエコノミーを実現すると発表しました。そして、同政府は、社会的イノベーションとテクノロジーイノベーションの両方を促進し、融合するための仕組み作りを積極的に行っています。

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移行するに当たって必要なこと

社会全体が、サーキュラーエコノミーにシステムを移行するためには、教育や研究を通じて正しい知識を普及させ、また新たな知識にアップデートすることが不可欠です。前例が無いという理由だけで、イノベーションの芽が潰れてしまわないよう、企業や地域住民が、知識の共有やアップデートを継続的に行える仕組み構築が、サーキュラーエコノミー成功の実現に向けた大きな鍵と言われています。

知識の蓄積

サーキュラーエコノミーへ移行のような社会の構造転換を実現するには、数多くの知識が必要なだけではなく、実際にそれらの知識を実用化し、社会システムへ実装していかなければなりません。必要となる知識の質と量は、テーマごとに異なります。例えば、「物流」「自然資本」「バイオベース経済」「労働市場」「品質表示」に関することは、十分な科学的根拠及び情報の質と量を蓄積出来ていません。一方で、「資産」「所有比率」「価格」「税金」「補助金」などは、これまでの経済システムで深く議論され、実用化されているテーマです。前例の有無の議論に留まらないよう、新しい試みを積極的に行うため、社会全体でデータの質と量を確保し、科学的根拠の積み上げる必要があります。

労働市場の変化

政府の社会経済政策に関する最高諮問機関として設立された審議会である、オランダ社会経済評議会(SER)は、社会全体がサーキュラーエコノミーへ移行することで、労働市場は大きく変化するだろうという見解を発表しています。新たに生まれる仕事がある一方で、失われてしまう仕事もあるため、企業や労働者は、注意を払う必要があります。

オランダ政府は、サーキュラーエコノミーを推進することで、労働市場のメカニズムがどのように変化するか、研究を開始しています。労働市場で求められる労働者の知識やスキルは大きく変わる可能性があります。

イノベーション政策

リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへのシステム転換は、どのように起こるのでしょうか。 サーキュラーエコノミーを実現するためには、新たなテクノロジーイノベーション(技術革新)が必要です。テクノロジーイノベーションによって生み出されたテクノロジーが社会に定着するためには、新たなテクノロジーを受け入れる社会基盤や国民のマインドセットを整えることも重要です。

起業家や研究者は、イノベーションを起こすために、まず商品やアイディアを開発し、市場調査を行います。そして、実際に商品を市場に投入しながら改善を重ねます。オランダ政府は、各フェーズに合わせて適切な支援を行うことで、サーキュラーエコノミーがより加速するためのイノベーションが起こりやすい環境を整えています。

ネットワークの構築

オランダ

オランダには、サーキュラーエコノミーを推進するためのネットワークが、地域レベルから国レベルのものまで多く存在します。このネットワークには、多くの組織や機関が参加しており、サーキュラーエコノミーへの移行をより加速させるための、知識や実践的な経験の蓄積に貢献しています。

政府や企業、そして教育機関が地域レベルで協力関係を強化し、積極的に情報交換を行うことは、サーキュラーエコノミーを推進する上で重要です。

またオランダ政府は、エレン・マッカーサー財団(EMF)や世界資源研究所(WRI)、グリーン成長知識プラットフォーム(GGKP)、OECD、UNEP国際資源パネル(UNEP-IRP)といった国外の知識機関とオランダの知識機関が連携できるネットワークも構築しています。

情報の共有と環境づくり

オランダ政府は、「廃棄物から資源へ(From Waste to Resources)」というプログラムを立ち上げました。このプログラムは、経済界、研究機関、教育機関、政府の代表者から構成され、ゴム、プラスチック、金属に関する知識の共有や交換を目的としたネットワークが形成されています。

またオランダでは、原材料に関する潜在的や移行リスクなど、産業にとって重要度が高い情報を起業家や政府関係者に共有する仕組みづくりも積極的に行なっています。政府のみが、情報を独占するのではなく、組織を跨った多くの人と知識や情報を共有することで、サーキュラーエコノミーが地域内で拡がることを目指しています。

さらに、同政府は、修理や交換がしやすいよう商品設計や製品の寿命を延ばす取り組みも重要と主張しています。オランダが優先的に取り組みを行っているテーマは、「プラスチック」「消費財」「製造」「建設」「バイオマスと食品」 の5つです。この取り組みは、様々な立場や年齢の人を巻き込んで行なっています。起業家や製品デザイナーによる新しい挑戦をサポートするため、ワークショップなどを通じて学生や科学者との対話を促進し、新たなアイディアが生まれる環境づくりを進めています。

最後に

オランダ政府は、2050年までに100%サーキュラーエコノミーを実現することを表明しています。オランダは、世界的にもサーキュラーエコノミーが進んでいる国です。それはオランダ政府が、ただ情報を提供・共有するのではなく、起業家やデザイナー、そして住民といった様々な関係者と対話し、新しい取り組みやイノベーションがより生まれやすい環境整備を積極的に推進しているからです。また、国による起業家のサポートや国民に対する教育を通じ、共創の意識醸成を図っています。

参照:
https://circulareconomy.europa.eu/platform/sites/default/files/17037circulaireeconomie_en.pdf

丸末彩加

丸末彩加

丸末 彩加(まるすえ あやか)。幼少期をアメリカで過ごし、日本と海外どちらの視点も入れながら、楽しく社会問題を解決したいと思っています。趣味は旅行と音楽と食べることです。linkedinでも情報発信しています!
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