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イノベーション x システムチェンジ|オランダ

変革期に必要なのはイノベーション|オランダ

オランダ政府は、2050年までに100%サーキュラーエコノミーを実現すると発表しています。目標達成に向けて、さまざまな業界との対話を通じ、法律や制度の見直しや施策を実施しています。その結果、オランダはグローバルを牽引するサーキュラーエコノミー先進国として注目を集めています。

SDGsで掲げられている目標の通り、資源の無駄をなくし、循環するビジネスモデル構築が必要です。この大きな変化は、特定の産業セクターや消費者意識だけで実現することは非常に挑戦的です。本記事では、サーキュラーエコノミーがより加速するために必要なイノベーションに対する資金集めの方法を紹介します。

機会と捉えるか、リスクと捉えるか

サーキュラーエコノミーは、従来のビジネスモデルでは実現できません。根本的にビジネスモデルを転換する必要があります。なぜなら、これまでのリニアエコノミーとは異なるリスクや費用対効果のバランスなど、特性が異なるためです。ビジネスモデル転換のためにイノベーションは欠かせません。一般的に、イノベーションを起こすには多くの資本を投下する必要があります。資本フローをコントロールできる金融セクターの動きが大きな鍵を握ります。

金融セクターは、サーキュラーエコノミーに対する知識や経験が足りていません。なぜなら、成功したビジネスモデルの事例も少なく、サーキュラーエコノミーのコンセプトに沿った製品やサービスに対する投資は、投資リスクが高いと考えられているためです。金融セクターが積極的な姿勢に転換するためには、非営利組織からの協力が必要です。

そこでオランダ政府は、オランダ投資庁とBNG銀行と共にサーキュラーエコノミーや環境に配慮したプロジェクトに投資する組織を立ち上げました。具体的な投資は、再生可能エネルギーを生成する案件、エネルギーの使用量削減に貢献する案件、あるいは二酸化炭素の削減に繋がる案件向けに実施されました。これらの案件は、資本主義市場からの資金調達は困難ですが、中長期的にイノベーションを起こし得る技術です。

収益モデルの開発と起業家サポート

サーキュラーエコノミーへ移行する初期段階で、積極的に取り組んでいるプレーヤーは、数少ない先進的な企業だけでした。大半の企業は、取り組みを行えていませんでしたが、サーキュラーエコノミーをビジネスチャンスと捉える企業が増えています。しかし、これらの企業はどのように持続的に利益を上げていけば良いか実験段階です。オランダ政府は、持続可能性を促進するためにも、積極的に取り組みたい有志企業をさまざまな形で後押ししています。

  • Nederland Circulairというプログラムを通じて有志企業を支援しました。このプログラムでは、資金調達、バリュー チェーンのコラボレーション、スタートアップ、デザイン、ビジネスモデルの分野で企業を支援します。
  • 収益モデルの開発と金融商品の利用に関する知識やアドバイスを起業家に提供し、敷居の低いバウチャースキームの可能性を探っています。
  • オランダ社会経済評議会 (SER) の勧告に従い、金融機関や企業に対し、新しいサーキュラーエコノミーの収益モデルとリニアエコノミーの収益モデルのそれぞれの可能性について比較・検討するよう求めています。

民間資金と欧州(共同)融資

オランダ大手金融機関のABN-AMRO、RabobankとINGは、サーキュラーエコノミーの実現に向けて取り組むことは重要であり、民間資金によって起業家を応援するという共同声明を発表しています。民間資金から支援があるということは、オランダ政府の掲げている目標に対して社会が支持していることを表します。オランダ政府は、金融機関が積極的にリスクテイクできるようにするために、どのような公的な施策が必要かについて、積極的に対話を行っています。

また、欧州構造基金とユンケル基金 (欧州構造投資基金、EFSI) も、サーキュラーエコノミーに取り組む企業やイノベーションに投資する機会を提供しています。

最後に

サーキュラーエコノミーのビジネスモデルへの移行期間には、企業や消費者にとって、数多くの痛みを伴う変化が起きる可能性があります。抜本的な変化を実現するためには、目標や方向性をしっかりと決めることが重要です。オランダのように「2050年までに100%サーキュラーエコノミーを実現する」という目標を設定した上で、政府、業界、企業、金融機関、消費者との対話を通じて、進めていく必要があります。

そして、変化を加速するために、従来の方法ではなくイノベーションが必要です。各産業から誕生するイノベーションの芽が潰れないよう、オランダ政府は早急に収益モデルの開発をサポートする体制を整えています。結果、オランダ全体が持続可能な形で、サーキュラーエコノミーへの転換を実現します。

参照:
https://circulareconomy.europa.eu/platform/sites/default/files/17037circulaireeconomie_en.pdf

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丸末彩加

丸末 彩加(まるすえ あやか)。幼少期をアメリカで過ごし、日本と海外どちらの視点も入れながら、楽しく社会問題を解決したいと思っています。趣味は旅行と音楽と食べることです。linkedinでも情報発信しています!

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