古着や中古品に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?傷んでいたり、汚れていると言うイメージをお持ちでしょうか?それともおしゃれなイメージでしょうか?世界の人口の約3分の1を占めると言われているZ世代の間では、古着などの中古品をオンラインで売買する「リコマース」が広く受け入れられています。その結果、中古衣料市場は成長が続いており、市場規模は2030年にかけて2倍になると予想されています。

ZARAが発表した取り組み
スペインの大手ファッションブランドZARAは「大切に着た服の寿命をもう少し長くしよう」というコンセプトをもとに、ZARA PRE OWNEDというサービスを立ち上げました。このサービスでは、使用した衣類を修理、再販、または寄付することができます。そうすることで衣料の寿命を延ばし、ファッション業界が抱える大量生産・大量消費・大量廃棄という問題に対して取り組もうとしています。
しかし、今回このサービスはグリーンウォッシング(環境に配慮しているように見せかける行動)だとして、批判が集まっています。
何が問題なのか
批判している1人である英紙インディペンデントのアリス・マーフィー氏は「ZARAは、週に500近い新作アイテムを生産しています。しかし、それを無視して中古品の売買を促すサービスを行うのは矛盾しているのではないか。サステナブルな取り組みを行うことは、とても素晴らしいことです。しかし、ファストファッションがこのようなサービスを行う場合はそもそも生産する量を削減する必要があるのではないか?」と問いかけています。
この意見は、決してZARAだけが批判の対象となっているのではありません。中古品の再販(リセール)やレンタルをビジネスチャンスだと考える全てのファッション事業者に対しても同様のことが言えるでしょう。
問われる今後の対応
ZARAは、革製品を製造する過程で行われる、なめし加工を行う工場がアマゾンの森林破壊に関係していることが発覚しました。また動物福祉の観点からみると、ウールやレザー、ダウンやエキゾチックな動物の毛が使用されていることや、原料調達や製造過程における人権侵害の潜在的な高いリスクを抱えています。そのため、2019年にZARAの親会社であるInditexは、2025 年までにすべてのコレクションを100%持続可能な生地から作成することを約束しています。
また、今回新たな取り組みとして発表したリコマースのサービスについて、サステナビリティ部門の責任者であるPaula Ampuero氏は、当面は利益をもたらすものにはならないと説明しています。その上で、現時点では、資源をより長持ちさせることで、サーキュラーエコノミーに向けたツールとして考えてほしいと英紙ガーディアンに対して述べています。
本質的な問題はどこにあるのか
焼却処分される衣類の量は、日本だけでも、1日あたりに換算すると大型トラック約130台分に相当すると言われています。どんなに修理を行い、リサイクルや再販を行ったとしても、そもそも生産される量が減らなければファッション業界の抱える問題の解決には繋がらないでしょう。
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アリス・マーフィー氏はZARAに対し、再販したりリメイクするサービスを行う代わりに、ZARAの工場があるスペイン、ポルトガル、トルコ、モロッコ、バングラデシュ、アルメニアでの生産量を削減する目標を打ち立てることを提案しています。
最後に
ZARAのグリーンウォッシュのニュースを知った時、私はヤシノミ洗剤を販売しているSARAYAを思い出しました。SARAYAは当初、原材料として使用しているパーム油が森林破壊を引き起こしていると批判を受けます。しかし、突きつけられた課題から目を逸らすことなく課題と向き合ったことで、現在ではSDGs先進事例の企業として取り上げられるなど、注目されています。
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ZARAは、世界的に有名なファッションブランドです。だからこそ、このような批判を乗り越え、ビジネスモデルを転換し、新たな事業機会へと変えていって欲しいと思います。
参照:
https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/
https://www.zara.com/uk/en/preowned-about-mkt5795.html
https://www.independent.co.uk/voices/zara-shein-second-hand-clothes-b2207995.html
https://wear-next.com/news/is-zara-ethical-or-sustainable/