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パーム油の問題と向き合う|サラヤ株式会社・事例

【サラヤ株式会社・事例】RSPO認証、パーム油の問題と向き合う

パーム油は世界で最も使用されている植物油で、パンやポテトチップス、チョコレートなどの加工食品や、食器用洗剤やシャンプー、コスメ、バイオ燃料など、多くのものに使用されています。安価かつ使用しやすいため食品業界から高い支持がある一方で、パーム油による環境破壊や人権侵害といった問題が指摘されています。

パーム油とは

パーム油
パーム油

パーム油とは、高温多湿の熱帯地域で育つアブラヤシという植物の果実から得られる植物油です。原産国は西アフリカや中南米ですが、1960年代以降マレーシアで、1980年代にはインドネシアでプランテーションによる栽培が盛んになりました。現在、パーム油生産の85%近くはマレーシアとインドネシアで行われています。

アブラヤシは一度植えると年間を通じて果実を収穫することができ、また面積あたりに採取できる油の量も多いことから安く取引されています。

パーム油の生産量
引用:パーム油の生産量

その結果さまざまなものに使用され、生産量は年々増加しています。

パーム油の取引がもたらす環境破壊

しかし、パーム油の生産量が拡大するにつれて、さまざまな環境問題が起きており、具体的には以下の4つがあります。

  1. 熱帯雨林の破壊
  2. 生物多様性の喪失
  3. 人権侵害
  4. 土壌や水質の汚染

それぞれ見ていきます。

熱帯雨林の破壊

森林破壊

インドネシアやマレーシアに広がる熱帯雨林がアブラヤシ農園として開拓されることで、森林破壊が行われています。

森林破壊に加え、農園を作る際に火入れが行われることで多くの温室効果ガスを排出し、地球温暖化の加速につながっています。

生物多様性の喪失

生態系

マレーシアやインドネシアの熱帯雨林には多くの野生生物が暮らしており、中には絶滅の恐れがあるオランウータン、トラ、アジアゾウなどが生息しています。

森林を伐採し農園にしてしまうと、絶滅危惧種をさらに増やしてしまう恐れがあります。

人権侵害

人権侵害

熱帯雨林に住んでいるのは野生生物だけでなく、その土地を利用している先住民の人々がいます。しかし、彼らの許可を得ず勝手に開発を進めるなどの問題が起こっています。

さらに農園では、児童労働や強制労働が行われているとの指摘があります。

土壌や水質の汚染

土壌汚染

パーム油を生産するために使用される農薬や化学肥料などによる土壌汚染や、油を採取する工場による排水で河川の水質汚染が問題となっています。

RSPO認証とは

RSPO
引用:RSPO

そこで対策として行われているのが、RSPOという国際的な認証基準の策定です。

RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil)とは、持続可能なパーム由来原料を使用した、あるいはその生産に貢献した製品であることを証明する認証で、日本語では「持続可能なパーム油のための円卓会議」と訳されます。

認証の過程は、アブラヤシ農園から製品ができるまでのサプライチェーン全体にわたって行われているため、トレーサビリティ(追跡)が可能になります。

パーム油のサプライチェーン
引用:パーム油のサプライチェーン

認証は「RSPOの原則と基準」の中で8つの原則とそれに紐づく40項目の基準で定められています。

  1. 透明性への誓約
  2. 適用される法令と規則の遵守
  3. 長期的な経済的及び財政的存続可能性への誓約
  4. 生産者と搾油工場による適切な最善の慣行の活用
  5. 環境に関する責任と自然資源及び生物多様性の保全
  6. 従業員及び生産者や搾油工場によって影響を受ける個人とコミュニティに関する責任ある配慮
  7. 新規作付けの責任ある開発
  8. 主要な業務分野における継続的な改善への誓約

国内企業の事例

国内でも既に267社がRSPOの認証を取得しています。今回はサラヤ株式会社の取り組みについてご紹介します。

サラヤ株式会社の事例

ヤシノミ洗剤
引用:ヤシノミ洗剤

ヤシノミ洗剤で有名なサラヤ株式会社(以下、サラヤ)では、RSPO認証を取得しています。

パーム油を使用しないと宣言する企業もありますが、パーム油産業で生計を立てている生産者が多いことも事実です。そして世界の現状を見ても、パーム油を完全に避けて生活することは難しい状況であり、サラヤは使用をやめることが問題の解決にはならないと考えました。

2004年からは、野生生物や森を守りながら生産者や消費者の生活も維持していくため「ボルネオ環境保全プロジェクト」を開始し、環境保全と原料調達の両面からこの問題に向き合い始めました。

「ボルネオ環境保全プロジェクト」についてはこちら▼

2019年には、国内販売する製品の原料となるパーム油、パーム核油において、RSPO認証を100%取得しており、今後は2030年に向けて国内外のグループ全体でRSPO認証を取得することを推進すると発表しています。

最後に

いかがでしたでしょうか?

ESG第三者評価機関は、パーム油取扱・消費事業者に対して細かい質問を通じ、持続可能なパーム油のサプライチェーンを構築しているかどうか確認を行っています。また、NPOやNGOも非常に厳しく、企業の経済活動を確認しています。

冒頭でもお伝えした通り、パーム油はさまざまな商品に使用されるからこそ、今後サステナビリティに取り組む上で、より多くの企業がRSPO認証を取得していくのではないでしょうか。

参照:
https://ourworldindata.org/palm-oil
https://rspo.org/
https://www.yashinomi.jp/
https://www.saraya.com/index.html

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丸末彩加

丸末 彩加(まるすえ あやか)。幼少期をアメリカで過ごし、日本と海外どちらの視点も入れながら、楽しく社会問題を解決したいと思っています。趣味は旅行と音楽と食べることです。linkedinでも情報発信しています!

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