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2050年 サーキュラーエコノミー実現|オランダ

2050年 サーキュラーエコノミー実現|オランダ

「資源の循環」に関して、これまでよく言われてきたのが3R(リユース・リデュース・リサイクル)です。しかし、今後起こる人口増加や、気候変動や生物多様性の喪失といった問題の解決には、今ある資源をさらに有効活用し、循環させる必要があります。そこで注目されているのが、サーキュラーエコノミー(循環型経済)です。オランダは欧州の中でもサーキュラーエコノミーが進んでいる国の一つだと言われています。本記事ではオランダ政府の目標、戦略とエコシステムをご紹介します。

サーキュラーエコノミーの概念図
サーキュラーエコノミーの概念図(出典:Circular Economy to Save the Planet

オランダ政府は、2050年までに100%サーキュラーを実現すると発表しています。バックキャスティング手法で2030年までの中間目標を設定し、目標に向けた計画表や制度の整備、またグローバルで取り組むためのプラットフォーム構築にも力を入れています。

オランダのサーキュラーエコノミー

オランダは、ほぼすべての製品で、何度でも再利用できる仕組みの構築を目指しています。製品が壊れた場合は修理します。修理が難しい状態となれば、その製品を素材まで分解し、材料を元に新たな製品が作られます。サーキュラーエコノミーの仕組みの下、廃棄物は新たな原料となり、従来の「生産」「消費」「廃棄」という線引きがなくなります。資源を適切に循環させることで、地球環境を守り、また生産や消費する過程で排出していた二酸化炭素を削減することが可能になります。また、新しい視点で物事を取り組む事で、新たなビジネスモデルやイノベーションの誕生にも繋がります。

実践に向けた3原則

2010年、サーキュラーエコノミーへの移行を目指すためにできた組織であるエレン・マッカーサー財団が掲げた、サーキュラーエコノミーの3原則は次の通りです。

Eliminate(排除する)
Circulate(循環する)
Regenerate(再生する)

オランダの企業は製品を再利用できるように設計し、使用する原材料も可能な限り再利用します。例えば、日本でもプラスチックをペレットにリサイクルすることで、新たなプラスチック製品を作っている事例をご存知の方も多いと思います。

必要だけど、普段生活で使用頻度が低い製品があります。例えば、電動ドリル。サーキュラーエコノミーでは、これらの製品は他人とシェアすることを推奨します。シェアすることで、全体で必要な原材料を少なくすることができるからです。

サーキュラーエコノミーは、資源を循環させるだけでなく、生態系や環境へ配慮することも重要です。オランダ政府は、路上や自然の中でのポイ捨てを防止するための取り組みも行っています。その一つが、ビニール袋の有料化しています。これにより、オランダの住民の80%以上が、マイバッグを持ち歩いています。

2050年までに100%サーキュラーを実現

急激な人口増加によって、食品、電化製品、衣類などの需要は拡大し、それらを作るために必要な原材料に対する世界的な需要は増加しています。オランダ政府は、環境団体やさまざまな業界、労働組合、金融機関、その他の市民社会組織と協力し、より効率的な原材料の使用方法を模索しています。そして、2050年までにオランダ経済を100%サーキュラーにすることを目標に掲げています。まずは2030年までに一次原材料(鉱物、金属、化石燃料)の消費を半減させる必要があります。

実現に向けたこれまでのプロセス

2016年、オランダ政府は、2050年までに持続可能なサーキュラーエコノミーを実現するためのプログラムを発表しました。2017年、180ほどの政府機関や組織が、原材料削減に向けた協定に署名しました。これはオランダ経済を再生可能な資源で回すためにはどうすればいいかを定めたものです。2018年、原材料協定の署名団体は、環境負荷の高い5つのセクターとバリューチェーンに焦点を当てて「プラスチック」「消費財」「製造」「建設」「バイオマスと食品」の業界が、どうすればサーキュラーエコノミーへの移行をより加速させることができるのかを記載した移行アジェンダを作成しました。2019年〜2023年の5年間、この移行アジェンダを具体的な行動とプロジェクトに落とし込む作業を行っています。

一人ひとりの変化が必要

サーキュラーエコノミーの実現は、政府や業界による努力だけでは成り立ちません。消費者にとって持続可能な製品を選択することが当たり前となることはもちろん、修理やリサイクルを通じて物をより長く大切に使用する意識を醸成する必要があります。オランダ政府は、サーキュラーエコノミーに関する教育やキャンペーンを通じて消費者に刺激を与えていく取り組みを行っています。

また、多くの企業は、事業をグローバルに展開しています。私たちが普段扱っている商品の原材料の調達から最終的な廃棄までを含めたサプライチェーンは、複雑かつグローバル化しています。その為、サーキュラーエコノミーを実現するためには、オランダ国内だけでなく、ヨーロッパ、そして世界中での変化や協力が必要です。オランダ政府は、EU内外の二国間、地域、国連を通じて他の政府とも協力を開始しています。

さらに、政府、企業、国際組織がサーキュラーエコノミーに向けて共通の目標を推進するマルチステークホルダープラットフォームの構築にも積極的に取り組んでいます。その一例が、サーキュラーエコノミーを加速するためのプラットフォームPACE(Platform for Accelerating the Circular Economy) です。

エコシステム・PACE

PACE - オランダ
引用:PACE

PACE(Platform for Accelerating the Circular Economy) は、サーキュラーエコノミーを加速するためのプラットフォームとして2018年に設立され、各国の政府、企業、市民社会といった組織のリーダーたちが参加しています。

世界全体でサーキュラーエコノミーを推進し、人間と環境の両者を豊かにすることをビジョンに掲げ、ベストプラクティスの共有やコラボレーションできるようなプラットフォームとして機能しています。

そして、今後10年以内に世界全体で消費する資源の循環性を今の2倍にすることで、気候変動の緩和や、包括的な経済の実現に向けて取り組んでいます。

PACEでの取り組みについて

PACEは、さまざまなセクターから集まったリーダーに対して以下のことを求めています。

  • 具体的な解決策と行動により、サーキュラー エコノミーに対する最も困難な障壁に対処し、より速く進むよう取り組むこと
  • 利用可能な最新の科学に基づいて、ベストプラクティスと知識を共有することで規模を拡大すること
  • より多くの人に届けるため、言語、指標、ガイドラインを作成すること
  • 個々の取り組みを通じて、意欲的なサーキュラー エコノミーの目標へのコミットメントを推進するだけでなく、最前線で活躍する他のリーダーと積極的に関与すること

最後に

オランダは、非常に野心的な目標を掲げ、サーキュラーエコノミーにおいて、世界のリーダー的なポジションを確保しつつあります。サーキュラーエコノミーは、一方通行の生産・消費システムを抜本的に変えるインパクトがあります。事業サイクルは、長くて遅い事業サイクルから、短く早い事業サイクルへと変わる可能性があります。オランダの取組事例を読み取ると、持続的に大きなシステム転換を実現するためには、仕組みづくりが何よりも重要だと分かります。

参照:
https://pacecircular.org/
https://www.rijksoverheid.nl/onderwerpen/circulaire-economie/nederland-circulair-in-2050

丸末彩加

丸末彩加

丸末 彩加(まるすえ あやか)。幼少期をアメリカで過ごし、日本と海外どちらの視点も入れながら、楽しく社会問題を解決したいと思っています。趣味は旅行と音楽と食べることです。linkedinでも情報発信しています!
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