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UAEアラブ首長国連邦のサーキュラーエコノミーに向けた政府と企業の取り組み

UAEアラブ首長国連邦のサーキュラーエコノミーに向けた政府と企業の取り組み

気候変動やサーキュラーエコノミー(循環型経済)は、なんとなく欧州やアメリカの取り組みが先陣を切って行っている印象があります。

しかし、他の地域でもさまざまな取り組みが行われており、今回はアラブ首長国連邦(以下、UAE)の取り組みについてご紹介します。

UAEについて

UAE アラブ首長国連邦

UAEは、アブダビ、ドバイ、シャルジャ、アジュマーン、フジャイラ、ウムアルカイワイン、ラスアルハイマの7つの首長国で構成されている、中東に位置する国です。

UAEは2050年までにカーボンニュートラルを目指すため「UAE Net Zero 2050」戦略や、「UAE Circular Economy Policy」などを発表し、持続可能な社会に向けて積極的に取り組んでいます。

その背景には、急激な経済成長と人口増加による環境への負荷が懸念されているからです。

環境負荷を与えずに経済成長もしていくためには、サーキュラーエコノミーへ取り組むことが重要であると発表しています。

注目されるサーキュラーエコノミーとは

サーキュラー(Circular)とは「円形、丸い」を意味し、資源を可能な限り長く循環させながら利用し、廃棄物などの無駄を富に変える循環型経済のことを指します。

この言葉と対になるのが、リニアエコノミーです。リニア(Linear)とは「直線」を意味し「調達、生産、消費、廃棄」といった流れが一方向を向いている経済モデルのことを指します。

リニアエコノミーによる「大量生産・大量消費・大量廃棄」が環境へ大きな負荷をかけていることから、サーキュラーエコノミーが注目されるようになりました。

UAEでの取り組み

UAE Circular Economy Policy
UAE Circular Economy Policy

UAEでは、サーキュラーエコノミー実現のために、使用できる資源は繰り返し使用し、自然に還る素材や肥料となるものは微生物に分解してもらう、そしてプラスチックや金属などの自然分解されない資源については、修理して再利用すること、それも無理な場合はリサイクルするという設計が行われています。

サーキュラーエコノミー

国としてこれらを推進することで、資源を効率的に使用すること、消費者のニーズを満たしながらも環境負荷を軽減することができます。

民間企業に対しては、先端技術を活用しながらサーキュラーエコノミーを加速させる技術の開発や、それらのシステムへの移行を推奨しています。

業界・分野

その中でも「製造業」「インフラ業」「交通分野」「食糧生産と消費」の4つの分野の優先度が高いとしています。

製造業

  • 資源効率を上げる
  • ビジネスモデルの再構築
  • 製品や材料の見直し
  • エコ工業団地の形成

    資源効率とは、資源を持続可能な方法で利用しながら、環境への負荷を最小限に抑えること。つまり資源効率を上げることで、少ない資源で大きな価値を提供することができます。

インフラ業

  • スマートシティなどの持続可能な都市計画
  • グリーンビルディングの設計や建設
  • 建物の利用や改修、アップグレード

交通分野

  • 低炭素車の利用
  • 公共交通機関のシェアリング導入

食糧生産と消費

  • 循環型の生産体制の構築
  • 食品ロスの削減
  • 食品のアップサイクル

これらに取り組むには、国や政府だけでなく、消費者を含めたさまざなセクターの協力が必要になります。

政府の役割

サーキュラーエコノミーに関するデータの共有や分析を行い、サーキュラーエコノミーを加速させるためのテクノロジーやビジネスモデルに関する研究開発を進めています。

また、さまざまなセクターが混ざり合い、パートナーシップやコラボレーションしやすくするためのプラットフォームを形成しています。

さらに、企業や消費者に対してサーキュラーエコノミーの重要性について、その認識と理解を高める努力も行っています。

企業による地域での取り組み事例

Veolia Middle East(本社はフランス)という、廃棄物や水、エネルギー分野でソリューションを提供している企業が、ペットボトルや空き缶などの資源を無料で自宅まで回収してくれるサービス「RECAPP」を開始しました。

使い方はとても簡単で、中身を綺麗にしてゴミ袋に入れます。袋が一杯になったら日付を指定して玄関前に置いておくだけで回収されます。

しかも、回収してもらうことでポイントが貯まり、提供しているパートナー企業のギフトと交換することができます。

「RECAPP」サービスフロー
「RECAPP」サービスフロー

RECAPPは、コカ・コーラ、ネスレ、ユニリーバなどの企業とパートナーを組んでおり、今後はサービスの利用者がさらに増えると期待されています。

最後に

いかがでしたでしょうか?

サーキュラーエコノミーを実現するためには、政府や企業はもちろん、私たち消費者も協力していく必要があります。

今回はペットボトルなどの廃棄物に関する事例をご紹介しましたが、このような新しいサービスや常識の変化は、交通分野、食の分野、製造分野など、さまざまな業界で起こっていくのではないでしょうか。

参照:
https://www.veolia.com/middleeast/
https://u.ae/en/information-and-services/environment-and-energy/climate-change/theuaesresponsetoclimatechange
https://u.ae/en/about-the-uae/economy/circular-economy
https://www.bridge-salon.jp/toushi/circular-economy/

Picture of 丸末彩加

丸末彩加

丸末 彩加(まるすえ あやか)。幼少期をアメリカで過ごし、日本と海外どちらの視点も入れながら、楽しく社会問題を解決したいと思っています。趣味は旅行と音楽と食べることです。linkedinでも情報発信しています!

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