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環境先進国ドイツで進むサーキュラーエコノミー|Circular Berlin

環境先進国ドイツで進むサーキュラーエコノミー|Circular Berlin

地球の限られた新しい資源を消費し続けるのではなく、循環させることを目指すサーキュラーエコノミーへの移行は、SDGsの目標を達成するための手段として期待されています。環境先進国ドイツの首都ベルリンでは、2018年に「Circular Berlin」という非営利団体が立ち上がり、都市全体のサーキュラーエコノミー導入を推進しています。

Circular Berlinについて

Circular Berlinは、2018年にドイツのベルリンで立ち上がった非営利団体です。同団体は、「知識の共有・蓄積」「コミュニティ形成」「教育」という3つのテーマに焦点を当て、ベルリンのサーキュラーエコノミー推進に取り組んでいます。Circular Berlinは、ベルリンを気候変動や災害といった危機に強いだけでなく、市民主導で資源が循環する地域にすることもビジョンとして掲げています。ベルリンには、サーキュラーエコノミーに関する組織やプロジェクトが170以上あります。プロジェクトは、建築環境・都市戦略、製品・素材デザイン、食品・バイオマスやテキスタイル・ファッションの各分野に及びます。

知識の共有・蓄積

Circular Berlinは、ベルリンを大きな都市システムとして捉えています。そして、ベルリンの経済モデルを、リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーに移行するための知識、戦略、実践的なプロジェクトやツールを開発しています。Circular Berlinは、教育機関や企業、自治体などの主要な機関とパートナーシップを組んで、プロジェクトやサーキュラーエコノミーに移行する際に活用できるツールの開発を行っています。

コミュニティ形成

Circular Berlinは、ベルリンの都市システムで、サーキュラーエコノミーの導入が加速するよう、企業同士や住民を巻き込んだコミュニティの形成にも力を入れています。具体的には、起業家、産業の専門家、研究機関、市の代表者とつながり、互いに学び、交流するためのイベントをオンラインとオフライン両方のハイブリッド形式で定期的に開催しています。

Circular Berlinは、サーキュラーエコノミーを推進するためには、産業の垣根を越えた知識や成功事例といった情報の共有が大切だと考えています。公式サイトでは、以下のようなマップに、ベルリン市内でサーキュラーエコノミーに取り組んでいる企業や組織が産業ごとに分けて示されています。

Circular Berlin - サーキュラーエコノミーのエコシステム
引用:Circular Berlin – サーキュラーエコノミーのエコシステム

また、サーキュラーエコノミーを実践する際に参照できるサイトも紹介しています。例えば、Kickstarterは、より長持ちする製品の設計と製造のためのガイドを作成しています。また、サーキュラーエコノミーの実装を議論する際に、よく使用するピラミッド型のフレームワークがあります。「Zero Waste Hierarchy(ゼロ・ウェイスト・ヒエラルキー)」です。Circular Berlinのサイトでは、ピラミッドに関する情報やアプローチの仕方について解説されているウェブサイトも紹介されています。

Circular Berlinは、サーキュラーエコノミーに取り組みたいと考える推進者が、正しい情報にアクセスできること。そして、コミュニティでの交流を通じて、サーキュラーエコノミーに対してより理解を深められる体制・システムを構築しています。

教育

Circular Berlinは、ベルリンに拠点を置き、サーキュラーエコノミーやゼロ・ウェイストの専門家によるワークショップやトレーニング、ツアーを行っています。例えば、実例を交えてサーキュラーエコノミーについて学ぶ導入ワークショップは、サーキュラーエコノミーに関心のある誰もが参加できます。企業や非営利団体、政府の関係者に向けたツールボックスと呼ばれるワークショップは、サーキュラーエコノミーを組織内で実践する方法と組織に浸透させる手法について、専門家が参加者の課題感に合わせて、セミ〜オーダーメイドでプログラムを組んでくれます。また、自社のビジネスモデルに商品のレンタルや修理サービスを加えたいと考えている企業向けのビジネス寄りのワークショップも用意されています。

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Circular Berlinが取り組んでいるプロジェクト

Circular Berlinは、2018年に創立して以来、サーキュラーエコノミーへの推進に向けて、さまざまなプロジェクトを開催してきました。

例えば、建設産業向けです。現在の建設産業は、多くの課題を抱えています。例えば、建屋の建設時には、木材や鉄骨などの多くの資材が必要です。解体時にはリサイクルが難しい廃棄物が多く排出されます。建設産業は、サーキュラーエコノミーの観点から、再利用することができる設計方法や素材選びを行う必要があります。必要な資材の量を削減することは、資材の製造時に排出される温室効果ガスを削減し、結果として建設案件の環境負荷が軽減されます。

Circular Berlinは、建築家やエンジニア、建設業者、サプライヤー、解体・建設会社、銀行、デジタルソリューションを持つスタートアップといった、建設産業全体を巻き込んだCEWI(Climate Economy foundation and the Wuppertal Institute)プロジェクトを2021年に開始しました。同プロジェクトでは、建設産業をリニアエコノミーからサーキュラーエコノミーに転換するための新しいビジネスモデルの開発に向けて議論が交わされました。その結果、デジタルデザインツールが開発されました。

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最後に

サーキュラーエコノミーへの社会システムの移行は、現在の経済システムを大きく変化させます。サーキュラーエコノミーが進んでいる地域で共通している点は、情報を共有していること。そして、横の繋がりを重視している点です。

ベルリンでも、国や市がリーダーシップを取るのではなく、地域から生まれた非営利団体のCircular Berlinが中心となり、サーキュラーエコノミーの取り組みが進んでいます。同団体は、それぞれの産業に対するアプローチ方法やワークショップを通じた学習機会の提供を行っています。

日本国内でも、サーキュラーエコノミーという言葉を耳にすることが多くなりました。しかし、サーキュラーエコノミーへの移行は、ビジネスモデルを含めて大きな変化を必要とします。都市システム全体を変化させることになり、市民の理解を促すことも必要でしょう。Circular Berlinからヒントを得ながら、日本国内でも取り組むことができるサーキュラーエコノミーのビジネスモデルを追求していきたいです。

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丸末彩加

丸末 彩加(まるすえ あやか)。幼少期をアメリカで過ごし、日本と海外どちらの視点も入れながら、楽しく社会問題を解決したいと思っています。趣味は旅行と音楽と食べることです。linkedinでも情報発信しています!

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