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サステナブルツーリズム実践の具体的な一歩、宿泊業者や旅行会社は何をするの?

サステナブルツーリズム実践の具体的な一歩、宿泊業者や旅行会社は何をするの?

近年、教育機関、自治体や企業を中心にSDGsに対する取り組みが盛んです。観光産業も環境や社会を意識した取り組みを始め、観光地本来の美しい姿、風景や文化を持続的に維持する「サステナブルツーリズム」が注目されています。実際に宿泊業者やツアー会社、観光地域がサステナブルツーリズムを取り入れる場合、どのようなアクションが必要なのでしょうか。事例を交えて解説します。

サステナブルツーリズムとは?

サステナブルツーリズムは、観光地の経済成長、文化の継承や環境の保全に配慮した「持続可能な観光」を指します。観光客が旅行先で観光を楽しむだけではなく、その地域に住む(働く)人たちの生活が豊かになることも考えられている点が特筆すべき点です。

サステナブルツーリズムは、地域全体で取り組む事例もあれば、宿泊施設のプランとして取り組む場合もあります。こちらの関連記事は、与論島とニセコの地域としての取り組みを解説しています。

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持続可能な観光地トップ100選に選ばれた、与論島とニセコの2事例紹介
国際基準GSTCとは?日本でも広がるサステナブルツーリズム

兵庫県 春陽荘(淡路島)と豊岡市の取り組み

兵庫県は、2022年10月の新観光戦略推進会議で、観光地の経済的利益の還元、文化・環境の維持および保全を通して、持続可能な観光地域を目指すことを軸とした「ひょうご新観光戦略」を発表しました。以下は、兵庫県のサステナブルツーリズムの具体的な取組事例です。

淡路島/春陽荘
淡路島にある一棟貸の宿泊施設「春陽荘」では、有形文化財の保護とともに、地域に根づく無形文化を継承する目的として、地域住民による人形浄瑠璃や琴などを発表する場を設けています。

また、脱プラスチックへの取り組みの一環として、無償のアメニティグッズの全廃、竹製歯ブラシや石鹸歯磨き粉を有償で提供します。そして、客室のゴミ箱は「もえるゴミ・もえないゴミ・コンポスト」と3つに分かれており、宿泊客自身が分別しゴミを捨てます。

豊岡市
兵庫県豊岡市は、「持続可能な観光地 世界トップ100選2021」に選ばれた自治体です。日本から絶滅してしまったコウノトリの野生復興を知ってもらえるよう、地域の文化を学びながらコウノトリにとって最適な生息環境を考えるツーリズムを展開しています。他にも、コウノトリを育むために農薬を使わない農法を編み出し、地域の環境保全にも貢献しています。また、若者の農業への関心を高める対策によって、地域の環境・社会・経済面の活性化に繋げています。

石垣島の取り組み

石垣島では、ダイビングやシュノーケリングなどを通して、海の環境と未来を考えるサステナブルツーリズムを実施しています。ダイビングやシュノーケリングをすることによって、水中にあるビニールやプラスチックといった海洋ゴミの掃除や、絶滅の危機に瀕しているサンゴ礁の植え付けなどができ、海の環境保全活動につながることが期待されます。また、海岸でもプラスチックゴミを回収する清掃活動にも積極的です。

軽井沢の事例

今も昔も人気の観光地・軽井沢では、星のや軽井沢のサステナブルツーリズムの取り組みが注目されています。以前から取り組んでいた環境経営をベースに、ごみ資源化100%を目指すゼロエミッションや自然エネルギー発電の活用などに取り組んでいます。

サステナブルツーリズムを推すときに実践したいポイント

サステナブルツーリズムを推していきたい場合、普段の生活や仕事で実践するポイントがあります。ここでは3つの事項について触れていきましょう。

自社のサービスや商品の「サステナブル」な視点を意識する
旅行プランの場合、似たり寄ったりのプランが複数存在します。例えば、京都では神社や仏閣のツアーが数えきれないほどありますが、伏見稲荷大社から二条城までの移動手段を自動車ではなく、鉄道や歩行を中心にして利用することでCO2排出量を削減することができます。この部分を訴求しておくと、旅行を選ぶ方にとって「サステナブル」であることが伝わります。

企業全体で「サステナブル」な取り組みを考える
普段の業務におけるサステナブルな取り組みの主な事例は、オフィスのエアコンの設定温度を見直すことです。人によって暑い寒いの肌感は異なるので、エアコンの温度調整はしづらいかもしれません。とはいえ、エアコンの消費電力量を減らすために、エアコンの室内設定温度を調整するなど、地球環境に対する負荷を考えることは大切です。他にも自宅で完結する業務であれば、通勤日数を週2回に減らすことを奨励し、なるべく移動のコストをかけないエコな取り組みもサステナブルにつながります。

取引先や関係者に「サステナブル」な取り組みを発信・共有する
近年、企業のサステナブルな取り組みは、第三者が注目している場合も多いです。企業方針やバリューと一緒に、サステナブルな取り組みを取引先や関係者にアピールしておくと関心を持ってくれることもあるかもしれません。お互いのポリシーや価値観がマッチしていれば、コラボレーション(または協働)という形でサステナブルに紐づいたビジネスが進む可能性もあります。

最後に

旅行を計画している方は、関心のある地域や宿泊施設にはどのようなサステナブルツーリズムのツアーやメニューがあるか、地域や宿泊施設が直接運営しているウェブサイトを確認してみてください。旅行のまとめサイトでは、あまり紹介されていないサステナビリティに関わる有益な情報を得られるかもしれません。

参照:
春陽荘
コウノトリツーリズム(エコツーリズム)|豊岡市公式ウェブサイト
「持続可能な観光地 世界トップ100選2021」に豊岡市が選出されました
ポリシー | サスティナビリティ | 星野リゾート・リート投資法人

Picture of 小田 るみ子

小田 るみ子

元専業主婦の編集ライター兼校正者。子育てや教育、美容、ライフスタイルを中心とした複数のジャンルで記事企画や執筆、インタビューに携わり、キャリアを重ねる。近年は、持続可能な社会環境づくりに関心を抱く。成人した娘と息子を持つ母。

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