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「三方良し」の循環モデルの創出、阿蘇温泉観光旅館協同組合が提供する草原体験

『特別な許可を得て草原体験!噴煙を上げる阿蘇中岳火口と「千年の草原」E-MTBライド』ツアーの内容

ツーリズムEXPOジャパン2023(大阪・関西)にて大賞を受賞

阿蘇温泉観光旅館共同組合は、2023年10月27日に大阪で行われた「ツーリズムEXPOジャパン2023(大阪・関西)」にてサステナブルな旅アワード・大賞を受賞しました。大賞に輝いたのは同組合が運営する『特別な許可を得て草原体験!噴煙を上げる阿蘇中岳火口と「千年の草原」E-MTBライド』です。

九州北部の熊本県阿蘇地方にある世界最大級の阿蘇カルデラの中に日本最大の草原「千年の草原」が広がります。「千年の草原」は千年以上の年月をかけて先人たちが自然と共生しながら培ってきたサステナブルの証です。通常は旅行者の立ち入りが禁止となっていますが、許可を得た専門ガイドの同行によりE-MTB(エンジンを使わず、電動アシスト機能を搭載したマウンテンバイク)でサイクリングすることができます。

本記事では、大賞を受賞した「千年の草原」体験がどのようなツアーを提供しているのかをご紹介します。

『特別な許可を得て草原体験!噴煙を上げる阿蘇中岳火口と「千年の草原」E-MTBライド』ツアーの内容

阿蘇の草原

本ツアーは、「千年の草原」を舞台にしています。阿蘇を知り尽くしたベテランガイド集団「あそbe隊」の同行のもと、マウンテンバイクで走行しながら阿蘇の大地の鼓動、草原の風と絶景を楽しみ、阿蘇中岳の噴火口を目指します。週末に発生する道路や駐車場の渋滞とは無縁でゆっくりと堪能できます。山地をマウンテンバイクで巡るツアーですが、体力に自信がない方でもE-MTBの電動モーターが強力にアシストするので安心して参加できます。

防疫対策のため下記の注意事項があります。

  • 参加の2週間前以内に口蹄疫発生国の牧場や畜舎を訪問した場合は、本ツアーへの参加は不可
  • 靴底の石灰による消毒が必要
  • 海外で生産・加工された食肉や食肉加工品の持ち込み禁止
  • 草原の草花等の採取禁止

ツアーの行程

① 集合場所

ツアーの集合場所は「道の駅阿蘇」の駐車場、またはJR九州豊肥本線「阿蘇駅」です。個人の手荷物は預けられるので身軽に参加できます。ヘルメットやサングラス、リュックは無料でレンタル可能です。オリジナル軍手のプレゼントが付いています。飲み物は各自で用意します。安全のために長袖、長ズボンの着用が推奨されています。

② 出発前のオリエンテーション

ツアー出発前には、噴煙を上げる阿蘇の活火山と巨大カルデラでの人々の暮らしや、1000年以上前から人の手で維持されてきた「千年の草原」についての話を聞きます。阿蘇の地図を見ながらわかりやすく説明してもらえます。

広大な草原は、以前は火山灰に覆われた痩せた大地でした。先人たちが牛や馬の放牧を始め、草原の草を肥料として用いることにより、少しずつ豊かな土壌を作る持続的な農業を営んできました。人々が自然と共存共栄しながら守り受け継いできたのが「千年の草原」なのです。

③ 体験

E-MTBに乗り、ガイドの先導で「千年の草原」のサイクリングへ出発します。

所要時間は約4時間。1グループ(最大6人まで)限定のプライベートツアーです。

走行ルート内の標高差は約700mありますが、E-MTBは変速ギアが7段まであり、電動アシストの強度も選べるので、上り坂でも快適に進むことができます。E-MTBが初めての方でも操作は簡単なので、乗り始めれば電動アシスト機能の感覚やハンドルさばきに慣れるでしょう。

草原エリア(出発~30分)

E-MTBで軽快に走ること約30分で草原エリアに到着します。

「千年の草原」と呼ばれる阿蘇の草原は、1000年以上前から人々が牛馬の放牧、採草を行い、草原を維持するために害虫駆除・植物の芽吹きを促進する「野焼き」を繰り返すことで、森林化せず草原として保全されてきました。この日本最大の草原の広さは2,200ヘクタール以上あります。草原エリアでは、放牧された阿蘇のあか牛が野草を食べる姿や約600種類の植物を見ることができます。

道すがら、ガイドから阿蘇の自然や草原の役割など文化的な背景についての話も聞けます。参加者の興味に合わせた話題の提供があり、希望によりペース配分も調整できるなど、経験豊富なガイドが臨機応変に楽しませてくれるのも本ツアーの魅力です。

阿蘇山上エリア 噴火口到着(出発~1時間30分)

出発から約1時間30分で、草原を抜けて阿蘇山上エリアに入ります。溶岩の岩山が立ち並ぶ道を蛇行しながら山上へ向かいます。中岳の噴火口は現在も噴煙をあげており、白い煙が立ち上っています。火山灰で覆われた黒い砂地や、噴火で飛んできた岩、岩によって空いた穴の修復跡などが観察できます。噴火の威力を身近に感じられるため、本ツアーで最もインパクトのある見どころになっています。

噴火口から下りへ

噴火口の見学後はふもとまで下ります。途中、草原の中を走行できるのもアウトドア仕様のE-MTBならではのアクティビティです。カルデラの風景を横目に、スピードを抑えながら心地よく風を切って下っていきます。途中には、お椀を逆さにしたような形状の「米塚」と呼ばれる約3300年前の噴火でできた小山があります。展望台から阿蘇を代表する景勝地「草千里ヶ浜」を見ることもできます。風景を楽しみながらゴールまで下山します。 

詳細はこちら
https://onsen.aso.ne.jp/calderatour/tour/mtb_2

三方良しの循環を実現するツアー

1000年以上前から受け継がれてきた「千年の草原」ですが、維持のために必要不可欠な「野焼き」には多くの人手と労力がかかります。ボランティアの協力により草原の存続を維持していますが、年々草原が減少しているのが実情です。このままでは阿蘇にしか存在しない貴重な植物の保全や、先人からの遺産を未来に受け継ぐことが難しくなってしまいます。そこで、本ツアーでは、参加代金の一部を「千年の草原」の保全に欠かせない野焼き等の活動資金に充てています。本ツアーの企画により、旅行者はプライベートツアーで贅沢に牧野を楽しみつつ「草原の守り人」として草原の維持に協力できる喜びも得られ、地元は観光客からの新しい収入源が確保でき、草原の自然環境も保全されるという「三方良し」の循環モデルを創り出したのです。

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眞鍋奈穂子

眞鍋 奈穂子(まなべ なおこ)ライター/翻訳者、 企業や研究機関で技術翻訳等に従事したのち、趣味のピラティスがきっかけでライターとして活動を始める。温泉旅館とクサガメが好き。

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