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地球に優しいオランダ発のスマートフォンFairphone

地球に優しいオランダ発のスマートフォンFairphone

「電子ゴミ」という言葉を聞いたことはありますか?電子ゴミは、e-waste(イーウェイスト)と呼ばれ、スマートフォンやPC、冷蔵庫といった電化製品の廃棄物を指します。国連の調査によると、2019年に世界全体で発生した電子ゴミの総排出量は、5,360万トンと過去最高を記録し、今後も増えると予想されています。

世界の主要な業界や消費者の動向に関するデータを公開しているStatistaが2019年に発表したデータによると、日本は、中国、アメリカ、インドに次いで、世界で4番目に多く排出しています。電子ゴミの問題は、決して遠くの国で起きている問題ではなく、私たちにとって身近な環境問題です。

世界で増え続ける電子ゴミ

地球に優しいオランダ発のスマートフォンFairphone
引用:TheRoundup – E-Waste Production Statistics

国連の発表した「Global E-waste Monitor 2020(グローバルE-wasteモニター2020)」によると、生活水準の向上やデジタル化の影響により、電子ゴミの廃棄量が増えると見込まれています。2030年には、世界全体で7,400万トンに上ると予想されています。

スマートフォン、PC、冷蔵庫や電子レンジなどの電化製品は、リチウムやニッケルを含んでいるものもあるため、「都市鉱山」として資源の再利用が期待されています。しかし、電化製品に含まれる金属類の多くが回収されていません。大半の電子ゴミが廃棄されており、2019年に世界全体で発生した電子ゴミのうち、回収されてリサイクルされた電子ゴミは全体の17.4%にとどまっています。

電子ゴミは、鉛や水銀といった有害物質を含んでいるものも多く、電子ゴミを輸入している東南アジアやアフリカ諸国では、電子ゴミ処分場で働く労働者の健康被害や処分場周辺の環境問題が懸念されています。

現在、多くの企業は、商品を生産し、消費し、廃棄する、というリニアエコノミー(直線型の経済)の経済モデルに沿って事業を行っています。リニアエコノミーは、商品を消費者に購入してもらうことで売上が上がります。そのため、企業は製品寿命が短くなるよう設計しているとも言われており、ドイツの連邦環境庁(UBA)が実施した調査によると、ドイツで不具合が原因で大型家電製品を5年以内に買い替えた割合は、2004年の3.5%から2012年の8.3%に増加したことがわかりました。

また、私たちは、引き続き使用できる電化製品やスマートフォンを持っていても、新たな機能やデザインに惹かれ、新しいモデルを購入してしまうことも電子ゴミが増えている原因の一つです。

オランダ発のサーキュラーなスマートフォン

地球に優しいオランダ発のスマートフォンFairphone

オランダ発のスマートフォン会社であるFairphoneは、資源の消費や電子ゴミを削減しながら製品の本体を長く使用できるスマートフォンを開発しました。

スマートフォンは、便利かつ決済機能もあるなど、現代の社会において欠かせません。しかし、リサイクルできる部分が少なく、廃棄される電子ゴミの多さが問題となっています。オランダ発のスマートフォン会社Fairphoneが開発したスマートフォンは、誰もが簡単にパーツを修理・交換できるように設計されています。この設計によって、カメラが壊れた場合はカメラのパーツだけを交換することができるため、本体を長期的に使用することが可能です。同社は、スマートフォンの経済モデルをリニアエコノミーからサーキュラーエコノミーに転換したいと考えています。

地球に優しいオランダ発のスマートフォンFairphone

最新のFairphone4を実際に分解しました。一般家庭にあるドライバーでネジを外すことで、バッテリー、カメラ、スピーカーを簡単に取り外すことができます。ただし、パソコンやスマホにおける頭脳の役割を果たしているCPUは間違って取り外すと機能しなくなる可能性があります。そのため、一般家庭にあるドライバーで取り外しができないネジが使用されています。CPU部分のパーツの交換が必要な場合は、その理由をFaiphone社や契約している携帯会社と相談した上で行います。

同社の製品には、人権や環境に配慮された素材が使用されています。背面カバーには、リサイクルされたプラスチック素材を使用し、内部で使用されている金やコバルトはフェアトレードで調達された認証があるものを使用しています。

商品を通じて世界をより良くする

地球に優しいオランダ発のスマートフォンFairphone

Fairphoneの社員の話で、とても印象的だった言葉があります。「私たちの想いに共感してくれることは嬉しいけれど、今手元に使えるスマートフォンがあるのであれば、買わないで!とお願いしています」これは、商品を多く販売することで企業の売上が上がる、つまり消費することを促すビジネスモデルではなかなか出てこない言葉ではないでしょうか?

気になるFairphone社の売上についてみてみましょう。同社が2021年に発表したレポートによると、2020年と比較して100万ユーロ増加しており、2021年の収益は36,961,604ユーロです。フェアトレードやエコ認証を取得した素材は、通常の市場価格よりも高く、従来品と比較してコストがかかります。しかし、Fariphoneは環境や人権に配慮しても売上を伸ばすことができることを証明しています。

最後に

皆さんは、スマートフォンの画面や充電の持ちが悪くなった時、どうしていますか?私は、結局新しいスマートフォンを購入することが多いです。なぜなら、修理できる場所が限られていたり、修理をするよりも新しく買った方が総合的に安い場合が多いからです。しかし、修理して使える場合は、新しいものを買うのではなく、同じものを使い続けたいと思っています。アムステルダムの街を歩くと、スマートフォンの修理店を多く見かけます。そして東京都内にもスマートフォンを修理するステーションがあります。今後は、都心だけでなく地方でも修理しやすい環境が整ってほしいなと思います。

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丸末彩加

丸末 彩加(まるすえ あやか)。幼少期をアメリカで過ごし、日本と海外どちらの視点も入れながら、楽しく社会問題を解決したいと思っています。趣味は旅行と音楽と食べることです。linkedinでも情報発信しています!

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