オランダ発!サステナブルファッションに取り組むショップ「LENA」
サステナブルファッションやエシカルファッションという言葉を聞いて、どのような服やアクセサリーを想像しますか?服の「素材」が環境に配慮されていることや製造工程で、労働環境や従業員の人権に配慮されているといったことを思い浮かべる方々も多いと思います。
実は衣服のレンタルもサステナブルファッションのひとつです。オランダのアムステルダムにある「LENA – The fashion library」(以下、LENA)は、衣服を図書館の書籍のように貸し出すレンタルショップです。本記事では、私が実際にLENAで衣服をレンタルしてみて感じたことや気付きを共有します。
LENAについて、YouTubeでも紹介しているので、店内の雰囲気などを知りたい方はぜひご覧ください!
サステナブルファッションのひとつ
環境や社会に配慮したサステナブルファッションが注目されています。リサイクルされたプラスチック繊維やリサイクルコットン、残糸をアップサイクルして作られた衣服を目にする機会が増えました。しかし、「サステナブルファッション」の定義は、素材がサステナブルという意味だけではありません。環境省は、サステナブルファッションを「衣服の生産から着用、廃棄に至るプロセスにおいて将来にわたり持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や関わる人・社会に配慮した取り組みのこと」と定義しています。
衣服をレンタルすることもサステナブルな取り組みです。衣服のレンタルは、資源の循環を目指すサーキュラーエコノミーの概念にも合致しています。サーキュラーエコノミーへの移行を目指すためにできた組織であるエレン・マッカーサー財団が掲げた、サーキュラーエコノミーの3原則は次の通りです。
- Eliminate(排除する)
- Circulate(循環する)
- Regenerate(再生する)
オランダのサーキュラーエコノミーについて詳しくはこちら▼
衣服に限らず商品をシェアすることは、一人一人が所有する場合と比べて、商品を製造する際に必要な資源の量を削減することができます。衣服は、廃棄されると焼却炉で燃やされるため、多くの二酸化炭素を排出します。衣服をシェアすることは、必要な資源の量が従来よりも少なく済むため、焼却炉で廃棄処分する際に発生する二酸化炭素の排出削減にも繋がります。
素敵なコンセプトですね、と私が伝えると「みんなで服をシェアすれば、必要な資源が少なく済むからサステナブルでしょ?」と笑顔で答えてくれました。
取り入れやすい仕組みづくりは重要
店内には、カラフルなシャツやワンピース、パンツ、ドレス、コートと多くの商品が取り揃えられています。LENAは、月額定額制ではなく、商品によってレンタル料が異なります。
例えば、こちらのニットは2クレジット(1クレジット = €0.25 / 日)です。
こちらのコートは、8クレジットです。
LENAの商品は、最短14日からレンタルできます。(返却指定日前に返却することも可能です。)商品のタグには、クレジットだけでなく、洗濯の有無も記載されています。シャツやニットといった洗濯しやすい商品は、洗って返却することが推奨されています。しかし、店舗には洗濯機が設置されており、オプションでLENAが商品の洗濯を行うクリーニングサービスがあります。
コートのような洗濯することが難しい商品のタグには、「LENAがクリーニングします」と書かれています。利用者は、クリーニングサービスによって洗濯が難しい商品にも挑戦できるなど、気軽にレンタルしやすい仕組みが取り入れられています。
レンタルした商品によって値段は変動しますが、多くの衣服レンタルショップは月額定額制を導入しています。月額定額制のサービスは、期間内であればどれだけレンタルしても定額です。一方、全く利用しない月も同じように支払いが発生します。その点、LENAのサービスはレンタルする商品のクレジットによって料金が変動するため、自分のライフスタイルやお財布事情に合わせて衣服をレンタルすることができます。
実際にレンタルしてみての感想
LENAのサービスは、旅行者にも使いやすいサービスでした。私がアムステルダムを訪れたのは2月です。冬服は嵩張るため、おしゃれなコートを持ってくることができませんでした。しかし、LENAで衣服をレンタルしたことで、可愛い色のコートや持っていない柄のワンピースを着てアムステルダムの街を観光することができました。
また、飛行機は機体の重量が重くなるほど消費燃料が増加し、多くの二酸化炭素を排出します。旅行時の荷物を軽くすることは、環境負荷を減らすことにも繋がります。
旅行者でなくても、レンタルすることで普段とは違うテイストの衣服を試す機会にもなります。こちらのド派手なピンク色で大きくLOVEと書かれた衣服は、バレンタインにピッタリですね。
選んだ衣服をレジで受け取る際、洗濯方法の説明に加えて「資源を大切にしたいので、服に付けられたタグは、できれば捨てずに返却してもらえたら嬉しいです」とスタッフの方に伝えられました。私は、スタッフの方の一言により「返却時は、忘れずにタグを持っていこう」と意識が変化しました。タグの再利用は、小さな取り組みかもしれません。しかし、継続することで紙資源の削減に繋がります。店舗側がさりげなくメッセージを伝えることも重要な点だと感じました。
最後に
日本でも、高級ブランドのバッグや衣服を月額定額制でレンタルし放題のサービスが広まりつつあります。しかし、衣服は所有するものである、という考え方がまだ主流です。
実際に衣服をレンタルしてみて、普段着ないファッションに挑戦できることは、新たな自分に出会える良い機会だと感じました。ファッション産業は、「サステナブル」という切り口だけでなく、「新しいファッションに挑戦できる」「新しい自分に出会える」といったポジティブなメッセージで人々を巻き込むことが重要です。ポジティブなメッセージで人を巻き込む意識は、産業に関係なく是非日本でも取り入れたい考え方です。
参照:
LENA