史上最もサステナブルなドバイ万博|水やエネルギーの消費削減に取り組む
新型コロナウイルスの影響で一年延期になりましたが、2021年10月から2022年の3月の半年間にわたり、ドバイ国際博覧会(以下、ドバイ万博)が開催されました。サブテーマの一つが「サステナビリティ」ということもあり、各国のパビリオンではテーマに沿った展示が行われていました。それだけでなく、会場全体では水やエネルギーの消費量を削減する取り組みや、ゴミの分別などが徹底して行われていました。
エネルギーについて
ドバイ万博の会場内に恒久的に残る建物には、全て太陽光パネルが設置されており、万博で使用されるエネルギーの50%は再生可能エネルギーによって賄われています。
また、使用する電力を再生可能エネルギーにするだけではありません。全体で消費する量を抑えるような設計も行っています。例えば、万博のサブテーマの一つであるサステナビリティを代表するTerraパビリオンは、地上よりも涼しい地中に建設されています。そうすることで、必要な消費電力を抑えています。
ドバイの日差しはとても強いです。万博では来場者が少しでも快適に過ごせるよう、少しでも多くの影を作る工夫がされていました。メイン通りの天井には日陰を作るためのシェードが設置されており、ピーク時で80%をカバーできるようになっています。また、ステージなどのある広場や休憩場所は、58%カバーすることに成功しています。
会場を涼しく保つための工夫として、多くの花や植物が植えられていました。会場のある場所は、本来は砂漠地帯です。しかし、過酷な環境でも育つものだけが選ばれ、さまざまな植物が植えられていました。また、灌漑技術と水をあまり必要としない植物の組み合わせにより、従来よりも11%水の使用量を削減することに成功しています。もちろん、生態系への配慮も忘れていません。地域の在来種である植物のみを使用しており、また景観に使用されている植物の90%は、肥料や農薬、除草剤を使用していません。
水の消費に関して
貴重な水資源に関しても、万博は処理された廃水を灌漑に使用したり、それらを効率よく制御するシステムの導入で、削減・再利用・保護に力を入れていました。実際、ドバイの電力・水道局(DEWA)のデータによると、従来の建物と比較して水の需要を52%削減することに成功しています。
さらに、空気中の水分を水に変換するシステムの導入によって、消費量を必要最小限に抑えています。
ゴミの削減に向けて
ドバイ万博では、サーキュラーエコノミーの実現に向けて、全ての段階で発生する廃棄物の量の削減に取り組んでいます。万博の商業パートナーや企業に対して、パッケージなどの使い捨ててしまう材料を削減し、可能な限りリサイクルするよう求めています。
その取り組みの一つとして、ゴミの分別があります。ドバイ市内では、主要な観光地に設置されているゴミ箱以外は、特に分別はされていません。特に住宅地などでは巨大なゴミ箱が置かれており、紙ゴミもプラスチックゴミも生ゴミも全て一緒に捨てられています。しかし、万博の会場内はゴミの分別がしっかり行われていました。色や絵柄を使用することで、さまざまな国や地域から来た来場者でも分かるように工夫がされていました。
また、生ゴミを入れるゴミ箱の上には太陽光パネルが設置されていました。これは、ゴミがどのくらい溜まっているのかを把握することができるようになっており、溢れてしまうことを防いでいます。
プラスチックゴミの削減
万博会場では、ペットボトルや缶に入った水を店舗や自販機で購入することができます。しかしマイボトルを持参すれば、無料の給水スポットを利用できるので、ペットボトルや缶に入った水を買う必要はありません。この取り組みはお財布に優しいだけでなく、マイボトルを持ち歩くことでゴミの削減にも繋がっています。
一見わかりづらい形をしていますが、これらは万博会場のマップに全て書かれています。
ペットボトルを削減しましょう!マイボトルを持ちましょう!とキャンペーンするのではなく、マイボトルを持ちたくなるような仕組みづくりが行われていました。
資源を無駄にしない紙袋
また、お土産などを入れる紙袋は一見普通の紙袋ですが、これらは作られる際に木を一本も伐採していません。100%農業廃棄物から作られており、収穫された後に残った茎や葉っぱが原材料となっています。
万博では紙袋だけでなく、マップやビジターガイドなども全てFSC認証を取得しています。さらに、製造過程でもISO14001環境マネジメントの認証に沿って作られているなど、国際基準に合わせて取り組みが行われていました。
移動について
万博へのアクセスは、主要な観光地に全て繋がっているドバイメトロと接続されています。また、広い敷地面積を移動する際には、会場の周囲を走っているexpoライダーに無料で乗ることができます。このように、アクセスの良さや移動手段を整えることで、車の使用を減らす取り組みが行われていました。
最後に
万博が終了しても建物を取り壊すのではなく、展示品は博物館として利用され今後はサステナブルなスマートシティExpo City Dubaiとして生まれ変わります。未来の街の在り方のヒントが多く詰まったものになるのではないでしょうか。
またドバイ万博はサステナビリティレポートを公開し、具体的なKPIと一緒に実際の結果まで開示しています。より詳しく知りたい方は是非ご覧ください。
最後に、各国のサステナビリティに対する取り組みはあすてなの記事はもちろん、YouTubeでもご紹介していますので、ぜひご覧ください。