世界でヴィーガンが広がる理由とは?ドバイの最新事例も紹介
日本でも、動物性のものを使用していないヴィーガンメニューを扱っているレストランやカフェを目にする機会がここ数年で増えました。ヴィーガンを実践する理由には、動物福祉の観点や環境負荷を軽減したいなど、さまざまな理由があります。ヴィーガンの普及は、これらの問題に対して関心の高いヨーロッパやアメリカだけでなく、ヨーロッパの裏庭と言われている中東でも広がりを見せていました。本記事では、中東ドバイの事例を交えながら、普及に向けたヒントについてご紹介します。
ヴィーガンやベジタリアンの違いについてはこちら▼
なぜヴィーガンは環境に優しいのか?
気候変動の主な原因は、温室効果ガスです。世界全体で排出される温室効果ガスのうち最も多く排出されるセクターがエネルギーです。次に農業・畜産業からの排出が多いことが分かっています。牛のゲップから排出されるメタンガスは、二酸化炭素の25倍の温室効果があります。また、牛や豚などの家畜を育てるためには、彼らの食べる穀物も栽培する必要があります。なんと地球の4分の1という広大な面積が使用されており、世界の大豆生産のうち90%は家畜が食べています。広大な土地を開発するために、森林破壊が行われるといった問題もあります。さらに、家畜が病気にかからないようホルモン剤や抗生物質を打っており、薬で汚染された糞尿が水路から川や海を汚染していることも問題となっています。
ヴィーガンの広がり
日本でも広がりを見せているヴィーガンですが、その広がりは世界全体で進んでいます。歌手のマイリー・サイラスや女優のナタリー・ポートマンなどの有名人がヴィーガンであることを公表しています。また、アカデミー賞の授賞式で提供される料理もヴィーガンになっています。
動物福祉やサステナビリティに対する意識の高い欧州やアメリカはもちろんですが、欧州の裏庭と言われる中東でもヴィーガンレストランを見かけるなど、世界中で関心が高まっています。
ドバイ市内での事例
2022年3月にドバイへ滞在した際、実際にヴィーガン料理を提供しているレストランへ行って参りました。今回ご紹介するのは「THE COFFEE CLUB」です。
このお店は健康思考の人をターゲットにしており、ヴィーガンやベジタリアン、炭水化物を摂取しないケトメニューが提供されていました。
メニューはQRコードを読み取ってスマートフォンで見ることもできます。しかし、机の上には新聞紙のようになったメニューが置かれていました。そこには、ヴィーガン、ベジタリアン、ケト、それぞれの定義や違いについて紹介されていました。また、野菜中心のヴィーガンダイエットは、従来のダイエットと比較して生産する過程で必要な面積を18分の1に抑えることができることが紹介されていました。
その一方で、ヴィーガンを実践する場合は、バランスよく栄養を摂取するための知識も必要です。ヴィーガンダイエットを行う場合は、かかりつけ医に相談したり、管理してくれる人、あるいは信頼できる情報を元に実践するよう注意書きがされていました。
選択肢の多さ
また、個人的にとても良いなと思った取り組みがコーヒーのミルクについてです。ヴィーガンの方は牛由来のミルクを飲むことができません。レストランでは、環境負荷が少ないと言われているオーツミルク、ココナッツミルク、アーモンドミルク、豆乳を選ぶことができます。しかも、これらは無料で変更することができます。日本国内にある大手コーヒーチェーンでも、ミルクを植物性ミルクに変更することは可能ですが、追加料金がかかってしまいます。
日本ではまだ馴染みの薄い植物性ミルクは、ハードルが高いと感じている人も一定数います。だからこそ、まずは価格インセンティブをつけ、無料で変更できるようにし、多くの味に親しんでもらう仕組みが必要です。
私はコーヒーが飲めないため、ドバイのスターバックスで、人生で初めてココナッツミルクを使用した抹茶ラテを飲みました。ココナッツと聞くと、甘いイメージをされるかもしれませんが、実際飲んでみると甘さはほとんどありませんでした。オーツミルクもアーモンドミルクも豆乳も試したことがありますが、いろんな種類を試してみる中で自分のお気に入りを見つけることができました。
植物性ミルクに関する記事はこちら▼
最後に
ヴィーガンを実践していると聞くと、動物福祉や環境問題に対して興味があり、意識が高い系の人で自分とは違うなと感じる人もいるかもしれません。しかし、先入観も入り混じっていないでしょうか?実際に食べたり、飲んだりしてみると、従来のものよりさっぱりしていて美味しいと感じるメニューもあります。
こちらの記事では、ドバイのヴィーガンレストランについて書いておりますので、ぜひご覧ください。
これらの良さをより多くの人に伝えて広めるためには、ヴィーガンのメリットはもちろん、注意点についてもきちんと情報を共有する必要があります。また、コーヒーのミルクの事例のように、より多くの人が気軽に味に親しめる機会を作ることも重要だと感じました。