ソーダやお茶にも!藻類とスピルリナを活用する注目企業の事例紹介
こちらの綺麗な青い飲み物、何から出来てると思いますか?
実は、スピルリナという藻類(そうるい)を使用して作られています。藻類とは、光合成の過程で酸素を放出する生物から有胚植物を除いたもの。つまり光合成をする生物のうち陸上植物(コケ植物、シダ植物、種子植物)以外のものとなります。
私たちの身近な藻類には、わかめや昆布、海苔、青のり、もずく、他にもミドリムシやクロレラなどがあります。
ミドリムシを使用した商品開発などを行っている日本の企業、ユーグレナをご存知の方も多いかもしれません。
現在国内だけでなく、世界でこの藻類に注目が集まっており、この記事では注目される背景と藻類を使用して商品を開発を行っている海外企業の事例についてご紹介します。
藻類が注目される背景
注目される背景には大きく2つの理由があります。
- ブルーカーボンとしての可能性
- 栄養源としての可能性
それぞれご紹介していきます。
ブルーカーボンとしての可能性
私たちが排出した二酸化炭素の約60%は大気に放出され地球温暖化を加速されています。しかし、残りの40%は、植物などの光合成によって吸収されています。
森林などの陸上にある植物による炭素の吸収はグリーンカーボンと呼ばれ、藻類や植物プランクトンなどの海洋による吸収はブルーカーボンと呼ばれています。これらの割合を見ると、グリーンカーボンは全体の12.5%、ブルーカーボンは30.5%を占めています。
世界中で気候変動への対策が急がれる中、炭素吸収源として藻類が注目されています。
ブルーカーボンについて詳しくはこちら▼
栄養源としての可能性
お味噌汁にわかめが入っているように、藻類は日本の食卓にはとても馴染み深い食材の一つです。
藻類にはミネラルや食物繊維などの多くの栄養素が含まれていますが、現在最も多く市場に出回っているのはクロレラとスピルリナです。その理由は、他の藻類と比べて多くのタンパク質を含んでいるからです。
現在、世界の人口は約78億人ですが、2030年には約85億人に、2050年には約100億人になると予測されています。
私たち人間は筋肉や内臓、皮膚や血液など身体を作るためにタンパク質を摂取する必要がありますが、これらを体内で生成することも蓄積することもできないため、常に外部から補給する必要があります。
しかし、今後人口増加が起こると、2050年にはタンパク質の需要と供給のバランスが崩れる「タンパク質クライシス」という危機が起こると言われています。
よってこれらの藻類は、既存の代替タンパク質としても注目されています。しかも、同じタンパク質でも牛肉は1kgあたり500kgの二酸化炭素を排出、大豆は20kg排出しますが、スピルリナの場合は炭素を吸収します。
青色のソーダ
冒頭でご紹介したスピルリナを使用したソーダを開発したのは、オランダを拠点とするフードスタートアップfulです。
本来スピルリナは藻類の一種なので、独特な青臭さがありました。また、低温殺菌すると美味しくなさそうな色に変色してしまうという課題がありましたが、研究者と開発を進めた結果、これらを解決することができました。
現在fulでは、ピーチ味、レモンジンジャー味、ライムミント味のソーダを扱っています。
ソーダには、タンパク質だけでなく、鉄、ビタミンC、マグネシウムなどの栄養素が豊富に含まれており、健康志向の消費者に向けて宣伝していきたいとしています。
青色のお茶
中国の南京で生まれたThe Whale Tea (琉璃鯨)という企業は、スピルリナを使用したドリンクを開発しています。
シンガポールなどにも進出しており、一押しメニューとして人気です。
左はスピルリナで着色されたゼリーとココナッツミルクで作られたもので、右はミルクティーで作られたドリンクになります。
天然色素なので安心
健康への意識の高まりから、欧米では食品に天然の色素を使用する動きが加速しています。
スピルリナは植物性であることから、天然の青色が出せると需要が増加。日本でもリナブルーが生産を行っています。
最後に
いかがでしたでしょうか?
普段あまり聞きなれない藻類という言葉ですが、実は私たち日本人にとっては身近な食材であり、今後はさまざまな商品を通じて食べる機会が増えるのではないでしょうか。
参照:
BLUwater | Blue Spirulina Drink by FUL Foods
Why the future of soda is blue – Fast Company
The Whale Tea
DICヘルスケア事業
The Whale Tea – Famous Bubble Tea Chain With Sapphire Blue Drinks, With Islandwide Delivery – DanielFoodDiary.com