アンサーノックスの人権とD&I取り組み事例|成功の秘訣とは?
コーポレートガバナンス・コードの改定やESG(E=環境、S=社会、G=ガバナンス)という言葉の認知度が広がったこともあり、多くの企業が気候変動対策や人権に対して取り組みを強化しています。しかし、それはプライム市場へ上場する企業や、規模の大きい企業だけではありません。
今回は山梨県甲府市にある、株式会社アンサーノックス(以下、アンサーノックス)の人権への取り組みについてご紹介します。
株式会社アンサーノックスは、従業員数17人という決して規模の大きい企業ではありませんが、企業のD&I(ダイバーシティー&インクルージョン)アワード2021の地方企業部門を受賞しています。
また、女性が経営する企業に対して与えられるWEConnect Internationalによる国際認証も取得しており、国内で29番目、山梨県初となっています。
主な事業内容
- 人材派遣、人材紹介
- 企業主導型保育園運営
- 家事代行サービス
日本にいる外国人の方が、見た目の違いや日本語が出来ないという理由で搾取され、不利な条件で労働せざるを得ない状況を解消したいという想いから、外国人をメインとした人材派遣業を行なっています。
また、シングルマザーを含む女性、70代や80代までのシニア、LGBTQの方々等、働きたい意志がある方、理念に賛同してくれた方を中心に人材サービス業を行っています。
理念の開示
アンサーノックスでは、「メンバーに求める10のアクション」と「アンサーノックスの5つのバリュー」を明示しています。
それぞれご紹介します。
メンバーに求める10のアクション
- 多様化へとシフトする社会に順応出来る柔軟な感覚を持つ
- 新しいチャレンジや企画を考え、生み出し、実現する
- 与えられる業務ではなく、自ら創り出す仕事をする
- 最低でも5カ国語であいさつが出来るようにする
- 人の為、社会の為、そして自分の為に仕事をする
- 空気が読めるだけじゃなく明るい空気を作り出す
- 困難をチャレンジに、失敗をチャンスに切り替えるスイッチを持つ
- 相手の立場や状況、気持ちになり物事を考えられる想像力を持つ
- どんな小さなことにもサプライズを意識する
- 美味しいものや楽しい遊びに興味を持つ
アンサーノックスの5つのバリュー
- 人の役に立とうとする
- 人に関心を持つ
- どんなことでも面白がる
- 全力を尽くす
- 今の自分を好きになる
このように、求めることを明確にすることで採用段階から理念に共感する人材を集めることができています。
また10のアクションは、「何ができるか」という点ではなく「これがしたい」という意志を持っているかを重視しています。各人が苦手分野を補い合い、得意分野に注力できるように仕事のやり方を工夫することで、スキルを問わず働くことができるようになると考えています。よって、経験や資格の有無ではなく「どのような人と一緒に生活していきたいか」という観点を重視して決めたそうです。
全ての人を対象に
日本では、「大卒・日本人・男性・35歳以下」という人物像が求められる傾向がありますが、アンサーノックスでは、「働きたい」と思う全ての人の思いに応えるため、理念に共感してくれた企業と契約を結び、人材派遣を行なっています。
ただし、企業がダイバーシティを意識的に推進すると、ただ多様な人材を集めるだけになってしまうことも少なくありません。それでは真のインクルージョンは実現しないので、本人の意思を尊重しながらそれぞれが自分の得意分野で強みが発揮できることを大切にしています。
活動事例
多様な働き方
社内のダイバーシティの推進だけではなく、次の世代に多様な働き方を伝える場を提供しています。
社内では子連れ出勤を推奨していますが、学校に通うようになった社員の子どもが学校の帰りに同社に寄り、母親の終業を待つようなケースもあります。子どもに働く親の姿を見せられるというのも、ダイバーシティ推進の取組の一つと考えています。
企業主導型保育園
アンサーキッズは、子どもを持つ親の「働きたい。でも、子どもも大事に育てたい」という悩みに応えるため、企業主導型保育園として開園しました。
外国籍の従業員も働いており、実際に「外国文化に触れられる」ということに魅力を感じ、子どもを預けられるケースも増えています。
お子様を安全にお預かりし、外国人講師による英語プログラムや短歌・俳句・百人一首等の詩歌を使った日本語の学びを取り入れ、異文化交流が自然に出来るダイバーシティな保育園です。
人権への取り組み
アンサーノックスでは、「クライアント・スタッフ・地域」の三者が貢献の対象であると定めています。中でも、従業員の幸せを考える上で、企業は従業員がライフサイクルで直面する問題に対応すべきであると考えています。
例えば、介護や出産等は国も保障していますが、その他の家庭内の問題が生じたときに、従業員を切り捨てる会社であってはいけません。外国籍の従業員の親の具合が悪くなったときは、数カ月単位の帰国やリモートワークを認める等、会社として柔軟に受け入れる体制を整備しています。
資本主義のあり方が変化していく中で、これからの経営者は数字を伸ばすことだけでなく、良い人材を育てることが求められていると考えており、その理念に基づいて経営の舵取りを行っています。
最後に
株式会社アンサーノックスについてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。