サステナビリティ経営の本質と長期展望|SDGsと企業の新たな取り組み
サステナビリティ経営やESG投資に注目が集まる中、多くの企業が自社の事業を通じて環境や社会の課題解決に取り組み始めています。企業の意識が高まったこと自体はとても良いことですが、中にはSDGsの17目標や169のターゲットに自社の事業を紐づけて終わってしまっている企業も目にします。
今回の記事では、表面的ではなく本質的なサステナビリティ経営を行うために、経営層にとって重要な「本質的に理解すること」と「長期的な目線で考えること」についてご紹介します。
本質的に理解すること
まずは何よりも、企業の経営層が世界で起こっていることをきちんと知ることが重要です。
そのためには、地球は今どのような状況に置かれているのか。なぜESG投資がグローバルでこれだけ注目されているのか。そもそもなぜ企業はサステナビリティ経営を行う必要があるのか。など、現在世界で起こっていることや、これまでの背景を知る必要があります。
そうすることで、現在地球上で起こっているさまざまな社会課題が見えてきます。それらを分かりやすくまとめているのがSDGsです。
また、これまでは株主への利益を第一として、利益を追求してきました。しかし、現在はステークホルダー主義、つまり株主だけでなく、従業員や取引先、顧客、さらに地球環境や人権などにも配慮しながら企業も成長していく時代になっています。
サステナビリティ担当者の方から「経営層に必要性を理解してもらえない」といった声が聞かれますが、企業の経営層が正しい情報からSDGsを本質的に理解し、事業を通じて取り組む必要性を理解することで、企業全体でサステナビリティを推進していくことが可能になります。
長期的な目線で考えること
サステナビリティ経営を実践する中で、企業はパーパス(なぜ行うのか)やビジョンについて考えます。
目標を達成する方法として「フォアキャスティング」と「バックキャスティング」の2種類があります。
「フォアキャスティング」とは、現状から改善策を積み上げる方法で、近い将来の短期目標を定めるのに適しています。一方の「バックキャスティング」とは、未来から逆算する方法を指し、不確実性が高い中で目標を定めるのに適しています。
Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字をとったVUCAの時代と言われる現在、企業経営層にはこのバックキャスティングという考え方が重要になります。
2050年、2100年の「在りたい姿」をはっきりさせることで、「今」私たちは何をすべきなのか洗い出すことができ、自社が取り組むべき課題や不足していることが明確になります。
バックキャスティングを活用した企業事例などはこちらをご覧ください。▼
おすすめの情報収集方法
多様な価値観があるからこそ、多角的に情報を得ること、また正しい情報を得ることが重要になります。
サステナビリティ分野の情報の変化はとても激しいので、定期的に英語の原文に触れることも意識に入れておく必要があるかもしれません。
また、グローバル企業のプレリリースを見ておくことで、生物多様性戦略を発表する企業や、循環型再生農業で生産された農作物を扱い始めた企業など、動向をキャッチしやすくなります。
人々の価値観の変化
現在消費者の行動は変化しており、環境や人権に配慮された商品を求めるニーズが高まっています。
また消費者だけでなく、Z世代と呼ばれる世代も現在就職活動を行う上で企業がサステナビリティに取り組んでいるかを重視しています。彼らは学校でSDGsについて学んでいるため、上部だけの取り組みでは見抜かれてしまい、良い人材を確保することが難しくなります。
最後に
多くの企業はサステナビリティ経営を行おうとする際、どうすれば良いのかという「how to」を求めがちです。
しかし、まずはなぜ「why」取り組む必要があるのかをきちんと理解すること、そして未来を見据えて逆算して目標を達成していくことが重要です。
サステナビリティ経営は、消費者のニーズに応え、優秀な人材を確保し、自社が成長していくためのものであると同時に、地球環境や未来を守ることに繋がります。
多くの企業経営層が必要性を理解し、取り組みが加速していくことを願っています。