エミレーツ航空が2億ドルファンド設立|持続可能な航空産業への取り組み
アラブ首長国連邦ドバイに本社を置くエミレーツ航空は、飛行機による二酸化炭素排出量を削減するための研究開発プロジェクトに今後3年間で合計2億ドル出資すると発表しました。この発表は、航空会社のサステナビリティに対するコミットメント及び投資金額としては最大規模です。
航空機による二酸化炭素排出量は、世界全体の排出量のうち2〜3%を占めています。ICAOの航空環境保全会議(Committee on Aviation Environmental Protection:CAEP)によると、気候変動への対策を講じなければ、今後航空機による移動が増えることで航空機からの二酸化炭素の排出量は増え、2040年には2010年と比較して2.8~3.9倍になると予想されています。
航空産業全体で二酸化炭素の排出を抑制する市場メカニズム(CORSIA)が2021年より導入されており、 航空会社は二酸化炭素の排出量が一定の上限を超えた場合、オフセット義務 (クレジット購入)が発生しています。
持続可能な航空産業を実現するための取り組みには、上記の市場メカニズムの導入に加えて、航空機の燃費向上や機体の軽量化、電気や水素を利用したシステムの開発、持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuels)の開発などがあります。
非化石資源から作られる持続可能な航空燃料は、廃油を利用したものやバイオマス由来のもの、完全人工合成の燃料など、さまざまな種類があります。また、水素燃料で飛行に成功した事例も発表されています。しかし、これらの技術はどれもまだ初期段階にあります。
エミレーツ航空の代表Tim Clark(ティム・クラーク)氏はプレスリリースの中で、現在の方法ではネットゼロを実現することは不可能であり、新たな解決策が必要だと述べています。そして、新たな解決策として、研究開発を行う主要機関などと連携し、支援することを発表しています。さらに同社は、ゼロエミッションを実現するための具体的な解決策が見つかるまでは、持続可能な航空燃料の割合を増やすなど、現時点でできる最大限の取り組みを行うとしています。
参照:Emirates creates US$ 200 million aviation sustainability fund