CDP、プラスチック影響とリスクに関する企業回答要請
CDPが、2023年4月に世界の約7,000社の企業に対して、プラスチックに関連する質問書に回答するよう呼びかけました。(尚、プラスチックに関連する質問項目は、ウォーターの質問書に追加されます。)CDPは、イギリスで設立された国際的な環境非営利団体で、日本国内では2005年から活動を行なっており、投資家や企業、国、地域、都市が自らの環境に対する影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運営しています。具体的には、システムによって気候変動や森林破壊、水の安全保障といった分野における組織のパフォーマンスを測定・追跡することが可能です。2022年は、18,700社以上の企業がCDPを通じて環境データを開示しています。
CDPは、136兆米ドルの資産を持つ740以上の投資家からプラスチックに関する情報開示を促すよう求められたため、プラスチックに関連する質問書を追加しました。世界では、プラスチックによる汚染が深刻化しています。そのため投資家は、企業がプラスチック削減対策を行わないことは風評リスクや廃棄コストの増大に繋がると懸念しています。そして、規制強化などにより座礁資産となる恐れがあることも懸念しています。
今回の質問書によって、企業は質問書の中で、プラスチックポリマー、耐久性プラスチック、プラスチック包装といったプラスチックに関して情報を開示するよう要請されます。
特に大きな影響を受ける産業は、化学、化石燃料、食品・飲料、ファッション、包装です。石油化学企業100社は、世界全体で発生する使い捨てプラスチックのうち90%を生産しています。また、世界全体の石油・ガスの年間消費量のうち、4%がプラスチックの生産に使用されています。
参照:Minderoo Foundation Limited.
また、食品・飲料産業は、製品の包装に使用しているプラスチックが主要な汚染源となっていることから、大きな影響を受けると想定されています。2021年は、世界全体で発生したプラスチックのうち44%を占めています。また、ファッション産業は、多くのブランドがリサイクル素材への移行に遅れをとっていると指摘しています。
CDPの水の安全保障を担当するグローバルディレクターのCate Lamb(ケイト・ラム)氏は、以下のように述べています。
「企業は、まず自社がプラスチック汚染に対し、どのように寄与しているのかをきちんと把握する必要があります。そして改善すべき点が見つかった場合は、公平かつ公正な移行計画を策定する必要があります。また、投資家がより良い意思決定をできるよう、世界全体で包括的かつ比較可能なデータにアクセスできるようにする必要があるでしょう」