水資源を救う革新的なトイレ技術|LIXILのSATOが果たす役割
日本で暮らしていると水に困ることはほとんどありませんが、世界に目を向けると日々生活する上で水不足に悩んでいる人々、汚染された水を飲料水として飲むしかない人々など、水ストレスの高い地域に住んでいる人がまだまだ多くいます。
水ストレスに関する詳しい記事はこちら▼
現状と課題
安全な飲料水を飲めない人々は、2020年現在、世界全体の26%である20億人。安心して利用できる衛生施設が無くて困っている人々は、世界全体の46%で30億6000万人にもなります。そして生活で水不足に至っている人々も世界全体の29%、20億3000万人という人口を占めています。
また、SDGs6番の目標の中にあるターゲットに目を通してみると、「水資源」に関しても触れられています。
世界各地の淡水をめぐる河川や湖沼、湿地の生態系が失われており、これらの多様性を失うということは生物多様性の喪失だけではなく、私たち人間の活動に必要な水資源それ自体が深刻な状況になってしまうことを表しています。
LIXILの水資源保護の挑戦
世界には、30億6000万人の人が屋外排泄やバケツに排泄したそれらを川に流してしまう地域が存在します。屋外排泄によりその地域の水は汚染され、それらを飲むことで下痢になってしまい命を落としてしまうことも少なくありません。また、女性が屋外排泄をしているとレイプの被害にあってしまうなど、安心することができないという問題も起きています。つまり、トイレがないことで健康被害や女性への被害が起きているのです。
LIXIL社は、これらの課題を解決するためにSATOという簡易式トイレの販売を始めました。
1つあたり500円と手に取りやすい価格で、構造もとても簡単です。
そして、一見社会貢献活動、慈善活動のようにも思えますが、実は長期目線で考えられた経営戦略となっています。
彼らのトイレの主力商品は、もちろんシャワートイレ一体型の高級なものです。しかし現実として、バングラデシュの人々がそれらを購入することはできません。
しかし、SATOが普及することで家にトイレがあることが当たり前になります。女性の安全が確保され、水質も改善されます。
また、LIXILはSATOの製造工程を全て自社で完結させるのではなく、それぞれの国で現地企業と協力して、メンテナンスや設置を行っています。
その結果雇用が生まれるので、生活が豊かになる人が増えるなど良い循環を生んでいます。
SATOは2017年時点で既に380万台が販売され、15ヵ国以上で600万人の生活環境の向上に貢献しています。
彼らの生活水準の向上により、将来的に主力商品が販売できる市場の形成を目指すLIXILは、事業活動を通じて社会貢献を行いつつ、利益もしっかりと確保。サステナブル経営を実践しています。
詳しくはLIXILのサイトへ
安全な水とトイレだけではない
SDGs6番といっても飲料水とトイレだけでなく、生態系に関係する水資源というターゲットが存在しているように、「水」というトピックを大きく扱っています。
世界では水資源への関心が高まっており、Googleも2030年までに自社の事業に必要なすべての電力を無炭素エネルギー源で賄うと発表しています。
このように、水やトイレに関するビジネスを行っていない企業にも、水資源に対してどう向き合っていくのかが問われる時代になっています。
最後に
いかがでしたでしょうか?
実際に使用する人々の視点で問題を理解し、最も適切で効果的な解決策を考えながらも地域の人々にとって手の届く価格帯でSATOを提供しているLIXIL社のように、彼らに寄り添ってサステナブルなビジネスを展開する企業が増えることを期待しています。
参照:
Our commitment to water stewardship
Goal 6 | Department of Economic and Social Affairs
インパクト | 株式会社LIXIL
SATO Tap:新しい衛生ソリューションで手洗いをすべての人に | ストーリー | 株式会社LIXIL
LIXIL ビジネス情報 | 建築・設計関連コラム