持続可能な未来へのフードテックとSDGsの関係性|イスラエル企業の事例
私が日々口にする食べ物が、現在気候変動や人口増加によりさまざまな課題に直面しています。世界では、それらを解決するフードテックが注目されています。
フードテックとは?
食(food)とテクノロジー(technology)を組み合わせた言葉で、最先端の技術を活用しながら食の可能性を広げていくことを指します。
フードテックは以下の「食」に関する課題の解決を目指しています。
- 食糧不足
- 飢餓とフードロス
- 食の安全
- 生産者不足(人口減少)
人口増加によって起こる食糧不足の解決策として、大豆ミートや培養肉などの代替タンパク質の開発や、食の安全性やフードロス削減のため、傷みにくい食材の開発や長期保存が可能なパッケージの開発なども含まれます。また、生産者不足に対してはロボットなどの導入や植物工場による生産の効率化などが当てはまります。
フードテックとSDGsの関係性
フードテックは国連の持続可能な開発目標SDGsにも関係しており、以下のようなものが含まれています。
ターゲット2.3
2030年までに、生産性を向上させ、生産量を増やし、生態系を維持し、気候変動や極端な気象現象、干ばつ、洪水及びその他の災害に対する適応能力を向上させ、漸進的に土地と土壌の質を改善させるような、持続可能な食料生産システムを確保し、強靭(レジリエント)な農業を実践する。
ターゲット12.3
2030年までに⼩売・消費レベルにおける世界全体の⼀⼈当たりの⾷料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの⽣産・サプライチェーンにおける⾷料の損失を減少させる。
全て挙げるとキリがありませんが、例えば、牛を育てる過程で多くの温室効果ガスの排出や森林伐採、水の汚染などが起こっています。これらを解決することで、気候変動や生態系の保全など、環境問題の解決にも繋がります。
このように、フードテックはSDGsのさまざまな目標に深く関係しており、目標達成に貢献しています。
イスラエル発のフードテック企業
ベジタリアンや動物性のものを一切口にしないヴィーガンと聞くと、環境保護や動物倫理の面で実践しているのかと思われるかもしれません。
しかし、健康のために実践している人や宗教が理由でお肉を摂取しない人たちもいます。
今回ご紹介する企業は、本社が全てイスラエルにあります。イスラエルは国民の7割近くがユダヤ教徒であり、彼らは規定の方法で屠殺したお肉でなければ食べることができません。規定を守るためにはベジタリアンでいる方が楽だという理由で多くの人が野菜中心の食事を摂っている地域になります。
よって今回は、ベジタリアンの人でも食べることのできる商品を開発している3社をご紹介します。
Anina
健康であるために、栄養のあるものを摂取する必要がありますが、多くの人は長い時間を割きたくありません。しかし、便利さを求めると味が濃いなど、必ずしも健康的ではありません。
Aninaでは、野菜やフルーツなどからペーパーを作っています。それらを使用し、簡単に短時間で栄養までしっかり摂ることのできるカプセルを開発しています。
ペーパーに使用する野菜は、見た目が悪いといった理由で捨てられてしまう廃棄野菜。フードロスの削減に貢献しています。
種類によって中身は異なり、パッタイ、キヌアサラダ、野菜のシチュー、トマトとマッシュルームのパスタなどがあります。
作り方はとても簡単です!▼
また、食事だけでなくフルーツを活用した健康的なお菓子の開発も進めています。
Redifine Meat
Redefine Meatで作られるお肉は全て植物性の材料で作られています。
既にイギリスやオランダのレストランでも提供されており、ステーキやケバブ、ソーセージなど種類もとても豊富です。
牛を育てることなく、お肉と変わらない食感や味を楽しむことができます。また、遺伝子組み換え作物や抗生物質などは使用しておらず、人にも環境にも優しい商品です。
また、3Dプリンターで生産されているので、厚さや脂の量などを調整してぞれぞれの好みに合わせてお肉を作ることが可能です。
Agwa
「畑から食卓まで」を実践することができる家庭サイズの農園を提供しています。農園といっても、冷蔵庫サイズのagwa gardenと、庭に設置するような少し大きめのハウス型のagwa farmの2種類があります。
Wifiと電気と平らな場所があれば簡単に設置することができ、植物の種を入れたら残りの操作はスマートフォンで行います。
成長具合などをカメラで確認することができ、水やりや栄養の補給などは全てAIが管理してくれます。
自宅からすぐに採取することができるので、生ゴミを減らすことができます。さらに、売られる際に使用されるプラスチック容器の削減にも繋がります。
最後に
いかがでしたでしょうか?
最後に、ベジタリアンの方は食べることができませんが、三菱商事がAleph Farmsという培養肉の生産を行っているスタートアップと提携し、日本でも展開すると発表しています。
三菱商事は、イスラエルだけでなくオランダの培養肉の会社にも出資しており、今後もますますフードテックへの注目が集まるのではないでしょうか。
参照:
Israeli startup makes meal capsules from unwanted vegetables – The Vegan Review
Redefine Meat – New Meat, No Compromise
Agwa | Smart Greens Solution | AgwaFarm
Sustainable, Cultivated Meat. Steak Done Right. | Aleph Farms
イスラエル基礎データ|外務省