オランダ・アムステルダムで注目!サステナブルなカフェ「Cafe De Ceuvel」
オランダ・アムステルダムには、De Ceuvelというサステナビリティを身近に感じることのできるエリアがあります。De Ceuvelは、手作り感が全面に出ており、どことなくヒッピーな雰囲気がエリア内の施設に漂っています。De Ceuvelの全体像やサーキュラーな取り組みについては、こちらの記事で紹介しています。
本記事は、実際に足を運んだDe Ceuvelにあるカフェについて紹介します。
De Ceuvelについて
De Ceuvel(デ・クーベル)は、クリーンテックの遊び場やサーキュラーエコノミーの実験所と言われています。De Ceuvelを散策すると、施設の屋上や屋根上には太陽光パネルが設置されています。また、従来の水洗トイレと比較して、水の使用量を小さくすることができるコンポストトイレも設置されています。De Ceuvelは、実験所というだけあり、どうすれば資源の無駄を減らすことができるのか、さまざまな取り組みが行われています。
Cafe De Ceuvelについて
De Ceuvelの敷地内にあるCafe De Ceuvelも、サステナブルな取り組みが行われています。例えば、テーブルに置かれたメニュー表には、現在の食料システムが地球環境に大きな影響を与えているというメッセージが書かれています。そして、Cafe De Ceuvelで行っている取り組みについても紹介されています。
Cafe De Ceuvelは、お客さんがドリンクや食べ物を注文すると、提携しているイニシアチブによって環境や社会に対してポジティブな影響を与える仕組みを整えています。例えば、カフェで使用するソーダは、オランダに本社を構えるSaru Soda社のオーガニックシロップを元に自家製のソーダを作っています。また、Cafe De Ceuvelは、コーヒー栽培による人権侵害や輸送による温室効果ガスの排出削減を目指すKAAPKOFFIE社とも提携しています。KAAPKOFFIEは、コーヒーを飛行機や石油燃料によって進むコンテナ船ではなく、帆船で運んでおり、輸送時に温室効果ガスを排出していません。
Cafe De Ceuvelでは、2020年以降、お肉を使用しないヴィーガンメニューが提供されています。そのため、コーヒーやカフェラテで使用するミルクは、オーツミルクです。オランダでは、暖かい飲み物を注文すると、カップの横に小さなクッキーやチョコレート、ミニケーキが付きます。Cafe De Ceuvelのドリンクメニューには、暖かい飲み物にはバターケーキが付いてきますが、フードロス削減のため食べない人は一言ください!というメッセージが添えられています。
右上には、コーヒーのミルクをオーツミルクで提供していること。右下には、#nowasteと食品ロス削減のメッセージが記載されています。
アルコールのメニューもあります。Cafe De Ceuvelで提供されるビールは、オランダビールのGulpenerや小さなビールメーカーのものを取り扱っており、地産地消のビールです。また、ワインは、圧搾後に酸化防止のために亜硫酸塩を添加しますが、量を最小限にした有機栽培ワインや自然ワインを提供しています。
私は、オランダ北部の名物料理であるマスタードスープと紅茶をいただきました。マスタードスープは、辛味よりも酸味を強く感じるスープで、日本にはない味付けですが、寒い冬にはピッタリのスープです。Cafe De Ceuvelで提供されるマスタードスープは、色の濃い野菜ときのこが入っており、ヴィーガン関係なく誰でも美味しく食べることができます。
日本人の衛生文化
日本は、世界でもトップクラスに「衛生」に対する意識が高い国です。新型コロナウイルスの感染拡大により、衛生に対する意識はより高まったように感じます。実際、繰り返し使えるプラスチックのお箸から木製の使い捨て割り箸に変えた飲食店もあります。その理由は、誰かが一度使用したお箸は、洗われていても衛生的に不安に感じる人が一定数いるからです。日本では、国民の「衛生」に対する意識が高いからこそ、予防できる感染症があります。
しかし、私は、今回アムステルダムやベルリンといった欧州の国を視察する中で、日本人の「衛生」に対する意識の高さは、良くも悪くもサステナビリティの推進に歯止めをかけているのではないかと感じました。
Cafe De Ceuvelで注文した紅茶は、こちらの写真のように提供され、ティーバッグを使用していません。日本のカフェでは、茶葉が入った使い捨てのティーパックがよく使用されます。しかし、何度も利用できる茶こしを使用することで、ティーパックのゴミの削減に繋がります。この茶こしは、Cafe De Ceuvelだけでなく、アムステルダムの他のカフェやロッテルダムのカフェでもよく目にしました。日本でもより多くのカフェで普及してほしいと感じました。
日本の「衛生」に対する意識の高さは、使い捨ての文化を確立させました。その結果、使い捨てのパッケージや使い捨てのカトラリーといった商品が増えています。また、リユース商品は、使い捨て商品と比べて管理や洗浄のコストを考えると高いです。茶こしは、あくまでも一例にすぎませんが、食事前の手洗いなど、必要な取り組みは今後も継続しつつ、ゴミ削減に繋がる変化は起こしていく必要があるように思います。
最後に
Cafe De Ceuvelは、アムステルダムで最もサステナブルなカフェとして認知されています。私が足を運んだのは2月だったため、De Ceuvelを訪れている人は少ないように感じました。しかし、夏場は、家族連れで訪れる人や旅行者、友人同士といった人々が集まり、賑やかな雰囲気になるそうです。
Cafe De Ceuvelのメニューには、「気候変動」や「環境」といった言葉が散りばめられていますが、サステナビリティに取り組む必要性を訴えるような押し付けがましさは全くありませんでした。Cafe De Ceuvelは、サステナビリティというテーマに対し、関心がある人もない人も気軽に利用することができます。来店者は、メニューを見ながらCafe De Ceuvelがフードロス削減に取り組んでいることや現在の食料システムが地球に負荷をかけていることを知ることができます。
また、Cafe De Ceuvelはヴィーガンメニューを提供しています。牛のゲップに含まれるメタンガスは、二酸化炭素の25倍の温室効果があり、畜産業は世界全体で排出される温室効果ガスのうち18%を占めています。よって、肉食を控えることは、間接的に温室効果ガスの削減に繋がります。よって、ヴィーガンの方は、環境負荷が小さい可能性に基づいてヴィーガンメニューを積極的に採用しているようです。
日本でもフードロスの削減や有機野菜を使用することでサステナブルを謳うレストランやカフェが増えています。これまでも、私自身が取り組める方法として、カフェでミルクを変更できる場合はオーツミルクに変更し、プラスチックの容器ではなくマグカップやタンブラーを利用するよう意識してきました。今後は、積極的にサステナビリティに取り組んでいるカフェやレストランを利用することで応援し、友人や家族にも広めていきたいと思います。