SDGsとヴィーガンレストラン|ドバイ・SEVAの取り組み
アラブ首長国連邦のドバイには世界中の人々が集まるので、市内やモールのフードコートにはそれぞれの国の料理はもちろん、宗教や動物性のものを摂取しないヴィーガンに対応したレストランも並んでいました。ヴィーガンと聞くと、意識が高いというイメージを持つかもしれませんが、今回ご紹介するレストラン「SEVA」は健康に関するメッセージを発信していました。
ヴィーガンが注目される理由
現在ヴィーガンに注目が集まっている理由の一つに環境問題があります。畜産による影響として最も有名なのが、家畜から排出されるメタンガスです。しかし、そのほかにも土地の利用や土壌や水質の汚染なども大きな問題となっています。
牛や豚を育てるには、彼らが摂取する穀物を育てるための広い土地が必要なため、森林伐採が加速しています。世界で生産される大豆の生産量は世界の人口を賄うのに十分な量であるにも関わらず、90%を家畜が消費しているという現状があります。また、これらの穀物を育てるために大量の水資源も消費されています。さらに、牛にはホルモン剤や抗生物質を打っており、薬で汚染された動物の大量の糞尿が水路から川や海を汚染しています。
もともと、ヴィーガンとは食生活だけでなく、ライフスタイル全般において動物から搾取をしないという思想から始まっています。しかし、気候変動や地球環境問題に対する意識が高まったことで、お肉を食べない食事に注目が集まっています。
ドバイで最初のヴィーガンレストランSEVAへ
ヴィーガンを実践する理由は、動物倫理や環境問題だけでなく、健康面で実践する人も多くいます。今回私が訪れたSEVAというレストランも健康に重きを置いており、店内で扱っているメニューは全てヴィーガンでした。また、使用している一部の野菜は管理している畑、または地元のものを使用しています。
私は植物性100%のハンバーガーをいただきました。一見本物のチーズのように見えますが、ヴィーガンチェダーチーズが使用されており、味が少し濃いめのソースのようでした。お肉の部分はレンズ豆、オーツ麦、きのこで作られており、本物そっくり!とはならなくても、全く気になりませんでした。また、オリジナルのケチャップが入れられているのはアボカドの皮です!ゴミとして捨てるのではなく、このように活用することで洗い物の手間削減やアルミやプラスチックゴミの削減に繋がる良い取り組みだと感じました。
ドバイでは身近にあるスピルリナ
デザートには、藻類であるスピルリナで着色したブルーベリーケーキをいただきました。この青色に少し抵抗を感じる方もいるかもしれませんが、コンビニなどで売られているガリガリ君の水色は同じスピルリナで着色されています。スピルリナはタンパク質を多く含んでおり、今後起こりうる食糧危機に対応できる食材として注目されています。
このケーキはピスタチオやココアバター、ココナッツミルクなどを使用しており、甘さ控えめで美味しくいただきました。スピルリナを使用したソーダや日本でも青いタピオカミルクティーなどが誕生しており、今後はより身近な食材になっていくように感じました。実際、ドバイの大手スーパーの棚には目線の高さにスピルリナのパウダーが置かれていました。
地球の健康が私たちの健康である
SEVAでは、人間が健康でいるためには、地球も健康である必要があるという考えから、食事以外にもヨガ教室、ピラティス教室、メディテーションなどさまざまなイベントを開催しています。また、ヴィーガンのバスソルトやオーガニックの商品を扱っているショップも併設されていました。
最後に
今回ご紹介したSEVAのメニューは全てヴィーガンですが、多くのお客さんで賑わっていました。その理由は、環境問題を全面に出すのではなく、健康面を押し出しているからではないかと思います。また2014年に創業していますが、コロナ禍で健康意識が高まっているからこそさらに注目を集めやすいように感じました。実際、隣に座った女性は週3回は健康のために来ていると話していました。
日本でも関東や関西の大都市圏ではヴィーガンのお店や、メニューを扱っているお店が増えています。しかし、私の住んでいる地方では目にすることはほとんどありません。しかし、スピルリナの事例のように、選択肢として身近にあることが苦手意識を克服する上でも重要だと思うので、全国でヴィーガンのという選択肢が増えることを期待します。
参考:
SEVA Table menu I Healthy Food I Delicious Coffee — SEVA EXPERIENCE