ジュエリー選びはサステナブルの時代に|環境に優しい企業を紹介
年齢や性別を問わず楽しむことのできるジュエリーですが、それらの原料となるゴールドやダイヤモンドを巡って紛争や人権侵害が起きている可能性があります。購入したジュエリーが「紛争ダイヤモンド」だったらどう思いますか?また、これらは限りある資源です。せっかくなら、本当の意味で透明で環境に配慮されたものを身につけてほしい、と先進的な取り組みを行っている企業についてご紹介します!
大手企業だからできる取り組み
従来の天然ダイヤモンドのサプライチェーンは、採掘業者・カッター・ディーラー・輸入商社・卸業者など15〜20もの中間業者を経ることが一般的で、その全工程を透明化することは不可能といわれてきました。
そんな中、2019年には大手ジュエリー会社ティファニーが0.18カラット以上のダイヤモンドの原産地の情報を公開しました。続く2020年には産出地、仕分け、カットと研磨、グレーディング、セッティングが行われた全てのロケーションを証明すると発表し、完全なトレーサビリティを実現しました。しかし、これは多くの加工を自社で行うティファニーならではの取り組みで、一般的なジュエリーブランドには現実的ではないと感じるかもしれません。
しかし、中小のジュエリーブランドも、トレーサビリティの透明化やサーキュラーエコノミーの実現に取り組んでいます。ここからは、先進的な取り組みをしているブランド3社の事例をご紹介します。
Kimai
Kimai(キマイ)はイギリス・ロンドンの先進的なジュエリーブランドです。「ラボダイヤモンド」と呼ばれる人口ダイヤモンドと、リサイクルされた金を使用したジュエリーは、完全なトレーサビリティ(流通経路の追跡)を実現しています。
キマイがジュエリーに使用しているラボダイヤモンドは採掘されたダイヤモンドと化学的には同一ですが、天然のダイヤを採掘する場合と比べてはるかに少ない過程で生産が可能です。中間業者が介在せず、サプライチェーンが短いため、ダイヤモンドがジュエリーとなり消費者の手に渡るまでを完全に追跡できるようになりました。
原料の金についても、採掘現場では児童労働や劣悪な労働環境など人権問題や環境汚染が発生しがちですが、キマイはリサイクルの金を原料とすることで、そうした金の採掘に関わる問題とは一線を画していることを示しています。 また、キマイでは自社ブランドに限らず、18金のジュエリーならどんなジュエリーでも手入れや作り替えを受け付けています。どこのブランドのものかわからない製品でも、ディープクリーニングや研磨、修復とサイズ変更やデザインの変更を依頼できます。すでにある資源を活用し、新たな価値を生み出す取り組みの一つです。
YURI SATO JEWELRY
YURI SATO JEWELRY(ユリ・サトウ ジュエリー)はリサイクルのゴールド・シルバー・ダイヤモンドを用いて作る日本のジュエリーブランドです。
ニューヨークで始まったユリ・サトウ ジュエリーは、サトウユリ氏が日本に帰国した2020年、コンセプトを刷新して再スタートさせました。日本でのブランド立ち上げに当たってはクラウドファンディングで資金を集め、目標額の123%を達成。大量消費社会に疑問を抱いている人や、環境に優しく生きたい人の共感を得ています。
金の採掘時には水銀が使われ、それが蒸発し大気を漂うので環境負荷が大きく、水銀による環境汚染は深刻化しています。ユリ・サトウ ジュエリーでは使わなくなった宝飾品から取り出されたダイヤモンドを使用し、都市鉱山とも呼ばれるパソコンや携帯電話などの家電製品に含まれる金属を再利用しています。
また、環境汚染に加担せず、今ある金を生かす取り組みの一環として、「循環ジュエリーサービス」を実施。自社の使わなくなったジュエリーを買い取り、新たなジュエリーの購入代金から差し引くサービスです。
SOKO
SOKO(ソコ)はケニアのナイロビで生まれ、B Corporation(通称B Corp認証)を受けたアクセサリーブランドです。女性主導のエシカル(倫理的)な企業として、ケニアの職人と世界を結ぶべく誕生しました。不平等と貧困の撲滅、健康的な環境の構築、強固なコミュニティの構築を目指しています。
これまで、ケニアの優秀な職人たちの多くは、地元のマクロ経済の中でしか収入を得られず、そのため収入はわずかで家族を養うのに十分ではありませんでした。その状況を変えたいと、ソコでは「バーチャル工場」というアプリを開発。独立した職人と世界中の顧客をつなぐシステムで、世界中から直接注文と支払いを受けられるようになりました。結果、ソコのシステムを利用して働く職人たちは、これまでの約5倍の収入を得られるようになっています。
ソコのアクセサリーはリサイクルの真鍮や、地元ケニアのフェアトレード女性グループ「カズリ」から入手した陶磁ビーズ、持続可能な収穫方法で得られた木、食品業界の副産物として倫理的に調達された牛の角や骨から作られています。地域課題解決と同時にサステナビリティにも配慮したブランドです。
まとめ
身につけるだけで気分の上がるアクセサリーですが、その裏では児童労働や紛争、環境汚染などの問題が引き起こされています。今回ご紹介したブランドは、サプライチェーンの透明化や人権への配慮がしっかり行われており、私たち消費者も安心して購入することができるのではないでしょうか。
ゴールドやダイヤモンドを使用していないジュエリーの場合でも、サーキュラーエコノミー実現に向けて、素材のリサイクルや回収・修理を行うことが当たり前になり、購入した商品をより長く楽しむシステムが必要です。
もちろん、変化が必要なのはジュエリー会社だけでなく、私たち消費者も同じです。選ぶ基準を見た目や値段だけでなく、そのジュエリーの裏にある背景や作り手の想いまで知ることで、より気分が上がるジュエリーになると思います!
参照:
SOKO | Rings
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