味の素、中期経営計画の廃止を発表|今後の戦略に注目
味の素株式会社(以下、味の素)は、2023年2月28日に行った経営説明会で、中期経営計画を廃止し、独自の指標を用いた経営に切り替えると発表しました。
同社は、これまで2020年に策定した20~25年の5ヵ年中期経営計画に取り組んできました。しかし、味の素の社長である藤江太郎氏は、日本企業は数値目標のみに執着する「中期計画(中計)病」が多いことを指摘し、今の社会は先行きが不透明で将来の予測が難しいからこそ、変化をしっかり捉えていくことが大事だと話しています。
これまでの中期経営計画に代わる指標が、独自の指標である「ASV指標」です。同社は、「ありたい姿」が大切であるとして、「ありたい姿」を目標とした「中期ASV経営」の実現を目指します。具体的には、バックキャスティングの考え方を採用し、2030年の「ありたい姿」を指標として具体的に設定しています。更に、財務面でのKPIに加え、「人財や顧客」といった非財務のKPIも高めていくと発表しています。
味の素は、中期ASV経営を推進するための指標として、4つの経済価値指標と2つの社会価値指標を掲げています。そして、これらの取り組みを推進・強化するため、無形資産に関わる2つの指標も設定しています。
同社は、売上高や営業利益といった数値目標は明示的に設けておらず、利益率や成長率といった「伸び」を重要指標と設定しました。
味の素は、今後も「中期ASV経営」の伝え方を工夫しながら、ESG経営を加速させていくでしょう。