ISSB、一部の開示項目の開示要求延期を発表
国際サステナビリティ基準審議会であるISSB(International Sustainability Standards Board)は、2021年に設立されました。その背景には、非財務情報開示基準が乱立していたという背景があります。ISSBの設立により、サステナビリティの基準が統一されました。
ISSBが、2022年3月に開示した基準には、「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的な要求事項(IFRS S1)」と「気候関連開示(IFRS S2)」の2種類があります。
IFRS S1は、サステナビリティ関連のリスクと機会に関する情報の開示を求めています。一方のIFRS S2では、気候関連のリスクと機会に関する情報の開示が求められています。
気候変動に注力するための救済措置
ISSBは、2023年4月4日に行われた会議にて、IFRS S1とIFRS S2を適用し、情報開示を行う企業を支援するための救済措置を講じることを発表しました。企業がより精度の高く、考慮されたサステナビリティの取り組みに関わる情報開示に注力できるよう実施される救済措置です。一方で投資家は、投資の意思決定を行う際に包括的、かつ一貫したサステナビリティ関連情報を必要としています。その中でも気候変動に関連したリスクと機会に関する情報開示は、最も急務であるため、予定通り開示が求められます。今後、新たな開示延期措置や救済措置が実施されるか注目です。
ISSBの救済措置により、2024年の会計年度よりIFRS S1とIFRS S2の開示が適用される企業は、以下5点の開示は必須でなくなりました。
- サステナビリティ関連のリスクと機会に関する情報開示
- 財務諸表とサステナビリティ情報の関連性に関する開示
- 比較情報の提供
- Scope3の温室効果ガスの排出量開示
- Green House Gas Protocolの使用
ISSBの議長であるEmmanuel Faber(エマニュエル・フェイバー)氏は、次のように述べています。
「ISSBの基準は、投資家のニーズを満たすためのツールとして、多くの企業に歓迎されるものでしょう。今回発表した救済措置は、企業が気候変動に関連する情報開示を段階的に取り組めるようサポートしています。しかし、全ての企業が同じスタートラインに立っている訳ではありません。既に取り組んでいる企業も、引き続き情報開示を継続して取り組んでいくことに期待しています」
参照:IFRS – ISSB decides to prioritise climate-related disclosures to support initial application