EU、環境配慮を装う「グリーンウォッシュ」に対する規制強化
EUには、サステナビリティに関するラベルが230種類、グリーン(再生可能)エネルギーに関するラベルも100種類近く存在します。しかし、訴えられている情報の透明性はラベルによって大きく異なります。
23年5月11日、欧州議会で、賛成544票、反対18票、棄権17票と圧倒的多数の賛成により、環境に関する主張やラベルを実証・検証することを義務付ける反グリーンウォッシュの規制案が可決されました。
この規制案は、消費者が環境に配慮された商品を選択しやすいよう、企業に対し透明性の高いサステナブルな製品提供を促すことが目的です。
今後、企業は自社の製品やサービスに対し「環境にやさしい」「エコ」「生分解性」「クライメートニュートラル」といった表現を使用する際は、明確な根拠を示すことが求められます。また、サステナブルと主張する部分が製品やサービスの一部のみの場合、サービス全体がサステナブルと表示することができなくなります。さらに、製品情報に使用されるサステナビリティ認証は、公式なサステナブル認証制度に基づくもの。あるいは、公的機関が定めたもののみが認められます。そのため、自社基準で認証を行なっている製品やサービスは、今後認証ラベルの使用が難しくなることが予想されています。
日本国内でも浸透しつつあるカーボンオフセット制度ですが、同制度のみを根拠に、サービスや製品ごとに「カーボンニュートラル」や「ネットゼロ」といった主張を行うことも禁止される予定です。
他にも、消費者が購入した製品をより長く使用できるよう製品の寿命を制限したり、早期に故障するような商品設計の禁止も検討されています。また、消費者が他社製品のスペアパーツや充電器といった付属品と組み合わせて使用した場合でも、製品の機能を制限することも認めるべきではないという主張も強く出ています。
本規制は、企業に対し、高品質で耐久性の高い製品設計及び製造を行う強い動機づけになるでしょう。
反グリーンウォッシュの規制が可決された後、決議委員であるビリャナ・ボルザン氏は、次のように述べています。「企業や組織は、保証期間が終わった途端に壊れるような製品を作ることで利益を得ることがなくなるでしょう。よって、消費者は、修理する権利や費用に関する情報を手にいれることができます。さらに、環境に対して配慮しているという主張は、公的機関によって認証された製品やサービスのみが認められるため、グリーンウォッシュにつながる偽りの主張が乱立することもなくなるでしょう」
参照:
Parliament backs new rules for sustainable, durable products and no greenwashing | News | European Parliament
Green claims – European Commission