ダノンが取り組む環境再生型農業|OP2Bについても解説
環境再生型農業、英語ではRegenerative agriculture(リジェネラティブ農業)と訳されますが、これは野菜を育てる農家だけではなく、酪農・畜産業も含まれています。
環境再生型農業は、二酸化炭素を吸収してくれるだけでなく、土壌の中の健康状態も保たれることで生態系の保全にも繋がります。
リジェネラティブ農業に関する記事はこちら▼
今回は、DANONE(ダノン)の取り組みについて詳しく見ていきますが、その前にダノンも参加している、リジェネラティブ農業・環境再生型農業(以下、環境再生型農業)を推進するビジネス連合、OP2Bについても触れさせていただきます。
OP2Bとは
OP2B(One Planet Business for Biodiversity)は、農業に焦点を当てた生物多様性に関するビジネス連合のことを指します。
破壊された生態系の回復や生物多様性の保全に企業がサプライチェーン全体で取り組むことを推進しています。
具体的なアクションとして以下の3つが掲げられています。
- 環境再生型農業の拡大
- 提供する商品を通じて生物多様性を保全する
- 森林破壊を終わらせ、生態系の管理・回復・保護を強化する
OP2Bは、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)が中心となっており、2021年2月現在、ダノン、ネスレ、ユニリーバ、グーグル、マイクロソフト、グッチや サン・ローランなどを扱うケリング・グループなど合計27社で構成されています。
今回はヨーグルトでお馴染みのダノン社についてご紹介していきます。
ダノン | 環境再生型農業への取り組み
ダノンは「世界中のより多くの人々に、食を通じて健康をお届けする」ことをミッションに、皆さんも一度は見たことのあるヨーグルトや天然水、植物性のオーツミルクの製品などを扱っている食品メーカーです。
CDPの「気候変動」「森林」「水セキュリティ」全ての質問書にも回答しており、全てA評価を獲得しているほど、サステナビリティ経営に対して積極的に取り組んでいる企業の一つです。
またダノンは、ユニリーバとネスレの3社で2002年にSAI(Sustainable Agriculture Initiative )という持続可能な農業のためのイニシアチブを設立し、現在では150社以上が参加するプラットフォームとなっています。つまり、2019年にOB2Bが発表される前から持続可能な農業、環境再生型農業を行っていたことが伺えます。
また、重要なステークホルダーである農家・提携会社・物流会社・地域社会・官庁の発展を支援するため、自社のエコシステムファンドを2009年に設立しています。
具体的な取り組み
ダノンは、環境再生型農業におけるガイドの1つとしてこちらのスコアカードを公開しています。
WWFや環境および農業の専門家の多様なグループ(APEXAGRIやCIWFを含む)と協力して、このスコアカードを作成しており、どのような農業システムであろうと使用することができるので、自社のサプライチェーンの農家に対しても使用することができます。このスコアカードは土壌・農家・動物倫理の3つのトピックに焦点が当てられており、これらの相乗効果によって環境に配慮された未来の食糧システムを構築することができます。
ダノンが排出している温室効果ガスの3分の2は農業のセクターから排出されていますが、OP2Bへ参加しているのでサプライチェーン全体で環境再生型農業への導入を促進しています。これらの変化に直接対応するのは農家の人たちであり、彼らがすでに環境再生型農業に取り組んでいても、あるいは始めたばかりであっても支援することを約束しています。
サイトを通じて訓練を受けることができ、2020から2021年の間に合計200人の人々が訓練を受けました。
このように、土壌の生態系の回復は環境再生型農業を推進することで取り組んでおり、農家に対しても資金や訓練の機会を提供するなどまだ途中段階ではありますが取り組んでいます。
現在、アメリカ、フランス、スペイン、メキシコ、アルジェリア、モロッコ、ルーマニアなどで環境再生型農業を実施しています。
- アメリカの場合
アメリカでは現在82,000エーカーで、アーモンドなどの新しい原料に拡大しており、耕作や化学農薬の削減、被覆作物の拡大などの慣行を通じて80,000トンの二酸化炭素に相当する量を削減し、20,000トン以上の炭素を地中に固定しています。
- フランスの場合
フランスでは2016年以来、より多くの農家が環境再生型農業に移行するための費用を賄うために、4,000万ユーロ以上を投資してきました。 フランスでは2025年までに再生農業から生乳、果物と野菜、シュガービートなどの原料を100%調達する予定で、2025年までに生乳からの温室効果ガス排出量を15%削減することを目指しています。
最後に
いかがでしたでしょうか?
ダノンのようにサプライチェーン全体で環境再生型農業を推進すると、温室効果ガスの削減に繋がります。また、日本は食料自給率が低いという課題もあるので、訓練の機会を提供することができれば、その課題解決にも繋がり持続可能な社会へ繋がるのではないかと思いました。
参照
生物多様性に関する民間レベルの国際枠組について
DANONE JAPAN
DANONE
Sustainable Agriculture Initiative Platform
Danone:regenerative agriculture 2021 scorecard.pdf
Danone:regenerative agriculture 2021.pdf
Animal Welfare Report 2022