フードマイレージとは?資源循環とテクノロジーで進める地産地消
フードマイレージという言葉をご存知でしょうか?フードマイレージとは、「食料の(food)」と「輸送距離(mileage)」が組み合わさった造語で、食材が私たちの手元に届くまでにどのくらいの距離がかかったかを測る指標です。
この指標は、食料の「総重量」×「輸送距離」で計算され、輸送によって排出された二酸化炭素をわかりやすく数値化することで、どのくらい環境負荷をかけているのかを測ることができます。つまり、数字が大きいほど遠くから輸送されてきたことを意味しており、また該当商品の環境負荷が大きいと理解することが出来ます。
日本の現状
日本は、他の国と比較するとフードマイレージの数値が大きいです。島国であるため、食料を輸入するために飛行機や船舶で輸送を行うからです。
また、日本の2021年の食料自給率は37%です。海外から多くの食材を輸入しており、フードマイレージの合計値は非常に大きいです。このまま多くの食料を国外に依存することは、日本国外の環境に負荷をかけるだけでなく、社会情勢による輸送費の上昇や不作による国際的な価格上昇の影響を受けやすくなるといったリスクを抱えています。
解決に乗り出す企業をご紹介
一般的に国内の食料自給率を上げる取り組みは、フードマイレージの数値を低くすることに繋がります。本記事は、日本国内でバナナを生産しているシモダ産業。そして、サーモンの養殖を行っているFRDジャパンを紹介します。
新潟生まれのバナナ「越後バナーナ」
シモダ産業株式会社は、新潟県柏崎市で産業廃棄物処理の事業を行っています。2019年に「雪国新潟で南国の甘いバナナを栽培したい」という強い想いから自社農園「シモダ・ファーム」を新事業として立ち上げました。できあがった「越後バナーナ」は、日本国内で栽培されていることから、日本で消費されているバナナのフードマイレージ削減に貢献しています。
バナナは、フィリピンやエクアドルなど赤道に近い国々で多く栽培されています。そのため、日本国内で販売されている多くのバナナは、これらの国々から輸入されています。シモダ産業株式会社は、産業廃棄物焼却施設で発生する排熱を利用し、ハウス内の温度を一定以上に保つことでバナナの生育に適した環境を整えています。
陸で育った養殖サーモン「おかそだち」
株式会社FRDジャパンは、海に依存しない「閉鎖循環式陸上養殖」という方法で養殖を行っている企業です。「閉鎖循環式陸上養殖」とは、海水や地下水などを使用せず、水道水から人工海水を作り、人工海水を循環させながら養殖を行う方法です。
従来型の海で行われる養殖は、排出するフンや与える餌によって海を汚染する問題を抱えています。しかし、「閉鎖循環式陸上養殖」のシステムは、海洋環境を汚染することなく魚を養殖することが可能です。また、株式会社FRDジャパンは持続可能な養殖水産物であることを証明するASC認証を取得しています。
「閉鎖循環式陸上養殖」のシステムを活用すれば、季節や台風や津波の影響を受けることなく、安定して魚を養殖することができます。さらに、消費地の近くで養殖を行うことで、魚の鮮度を保ちながら、短い輸送距離で養殖水産物を消費者に届けることも可能です。
また株式会社FRDジャパンは、「閉鎖循環式陸上養殖」のシステムを活用し、アワビやフグなどの高級食材の養殖も試みています。
最後に
世界を見渡すと、気候変動による大雨による洪水、乾燥による山火事や砂漠化といった現象が多発しています。日本でも極端に梅雨が短い年があるなど、異常な気候パターンが発生しています。SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」は、SDGsで掲げられている社会課題との関連性が高く、優先的に取り組む必要があるテーマです。
気候と食料生産は深い関わりがあります。地球温暖化が進行すると、これまで収穫できていた作物の栽培が難しくなります。今後は、これまで活用できていなかった資源を活用する。あるいは、新たなテクノロジーを積極的に活用する必要があります。日本は、日本国外の環境負荷を考慮する必要もあります。日本の食料自給率の低さは大きな課題であり、持続可能な世界を実現するために、食に関して取り組めることが多くあります。
参照:
「フード・マイレージ」について 中田哲也 (北陸農政局 企画調整室長)
農林水産省ホームページ
FRDジャパン – 陸上養殖生サーモン『おかそだち』の生産企業
おかそだちサーモンとは? – FRDジャパン公式ウェブサイト 陸上養殖生サーモン『おかそだち』の生産企業
シモダ産業株式会社
越後バナーナ Echigo Banana
【雪国新潟産バナナ】3本(350g)濃厚な甘さともっちり食感!安心安全の越後バナーナ[ZB325] – 新潟県柏崎市|ふるさとチョイス – ふるさと納税サイト