ケニアパビリオンのテクノロジーとダイバーシティに学ぶ|ドバイ万博
2021年10月から半年間にわたって開催されたドバイ万博へ行ってきました。
中東アフリカ地域初の万博となっており、史上最多の192ヵ国が参加し、それぞれが独立したパビリオンを持っています。
この記事ではケニアパビリオンについて、サステナビリティの観点から感じたことについてご紹介していきます!
ケニアについて
ケニアはアフリカ大陸の東側に位置し、人口は約4,800万人の国です。サファリや動物など観光業をイメージする方も多いかもしれませんが、実は農業大国でもあります。
GDPの36.7%は第一次産業が占めており、また全人口の40%が農業に従事しています。また、このうち9割近くは1ヘクタール未満の小規模農家が占めています。
近年大きな発展が注目されているケニアですが、多くの社会課題に直面しています。
テクノロジーによる解決
ケニアは東アフリカの中でもテックベンチャーの存在感が高いです。ケニアは外国人も多く、ビジネス環境も比較的安定しています。モバイルマニーの普及は、銀行口座の開設が困難だった貧困層の金融市場へのアクセスを大きく変えました。パビリオンでは、ケニアで大きく成長するテックベンチャーも紹介されていました。
を提供しています。ケニアではすでに7,000人以上の農家がこのプログラムを活用しており、小規模農家の収入の向上に貢献しています。
iCow
ケニア全土での生産量を上げるため、農家に対して無料で農業に関する情報を提供しています。スマートフォンにメッセージとして届くという誰もが使いやすい設計になっており、その結果牛から絞れる牛乳の量が50%も増加したそうです。
M-Pesa
ケニアでは広くICTが普及しており、モバイルマネーが普及しています。ケニアには他国から多くの出稼ぎ労働者が来ますが、貧困層であるため銀行口座を持っておらず、高額な手数料を払って家族に送金していました。しかし、M-PesaはSMSのメッセージを活用して安全に送金できるサービスを提供しており、農村部や出稼ぎ労働者だけでなく都市部や海外でも広がりを見せています。
M-kopa
モバイルマネーが普及したことで、「使用する分だけ払う(Pay as you go)」というビジネスモデルが普及しつつあります。M-Kopaは太陽光発電により使用できるテレビや冷蔵庫などを電気が普及していない地域へ提供し、1日約50円を支払い続けることで利用できるサービスを行っています。太陽光で発電するので環境に優しいだけでなく、利用者の手に届きやすい形で貧困解決に向けて取り組んでいます。
モバイルマネーの利用者は人口の約7割に上り、ケニアではスーパーでの買い物や飲食店、光熱費などで利用することができ、一種の社会インフラとして機能しています。
Eneza Education
誰も置き去りにせず、ケニアの全ての子どもたちに学習の機会を与えるため、スマートフォンがあれば取り組むことのできる学習教材を提供しています。月間のアクティブユーザーは38万人に上り、学習した子どものパフォーマンスは3ヶ月後には22%向上することが紹介されていました。
ケニアのダイバーシティ
ケニアの民族といえば、高く飛ぶことのできるというマサイ族を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は44種類もの種族がいることをご存知でしょうか?
この44番目に登録されたのはケニアにいるアジア系の人々です。彼らは主にインドからイギリスの植民地時代に労働者として移住してきた人々で、これまでずっと「その他」に分類されていたそうですが、2017年に正式に種族として登録されて喜びの声が上がりました。
ケニアでは7割近くの人々がキリスト教を信仰していますが、彼らはヒンズー教やイスラム教を信仰しています。それでもEidやDiwaliといった宗教的なお祝いを一緒に祝っているそうです。
最後に
ケニアパビリオンから私が感じたのは、現在私たちが直面している多くの課題を解決するためにはテクノロジーを活用していく必要があるということです。
また、ダイバーシティについても、違う宗教を信仰している相手の文化を尊重し、社会で歓迎する姿勢について私たち日本人が学べる点がたくさんあるように感じました。
参照:
Sustainable Development Report 2024
農林水産省ホームページ
ケニアの経済 – 世界経済のネタ帳