サウジアラビアがLEED認証獲得|ドバイ万博での持続可能性への取り組み
サウジアラビアといえば、日本が最も石油を輸入している国です。たくさんの石油が採れるため、脱炭素社会を望んでいなさそう、というイメージを持つかもしれません。しかし、2060年にはカーボンニュートラルを実現すると宣言しており、パビリオンではどのように取り組んでいくのかが詳しく紹介されていました。
サウジアラビアパビリオンは万博会場の中でUAEパビリオンに次いで2番目に大きいパビリオンになります。見た目もとても派手で、多くのエネルギーを消費しているように見えるかもしれませんが、世界基準でサステナブルな建築物であることを示すLEED認証を取得しています。
館内について
まず最初にパビリオンへ向かうと上から水が落ちてくる噴水のような場所があり、日中は炎天下の中で列に並んでいるので、来場者はそこで少し涼むことができました。
エントランスを進んで、サウジアラビアの歴史的な建造物などが紹介されているエスカレーターを上がっていきます。
次に、中東最大の国土面積をもつサウジアラビアのそれぞれの地域や人々を紹介する映像が巨大な画面に映し出されていました。
そして下りのエスカレーターでは未来のビジョンについて紹介されており、サウジアラビアが掲げている「サウジビジョン2030」を象徴し、2030個のクリスタルが天井に飾られていました。そして横には将来の持続可能な街づくりやインフラ整備など、長期的な国家計画が音楽と共に紹介されていました。
さらに進んでいくとビジョンルームにたどり着きます。そこには「サウジビジョン2030」がアートとして表現されています。前方に巨大な球体があり、太陽光パネルや花などの自然、インフラを表現している道路、アラビア文字のカリグラフィーや水資源などがモチーフとして使用されており、万華鏡のように綺麗な映像が映し出されていました。
また、足元にも映像が反映されるようになっていました。
ディスカバリーセンター
パビリオンの外に出ると、関心のある人は地下にあるディスカバリーセンターへ案内されます。そこではパビリオンの詳細やサウジアラビアが投資対象として優れていることなどが紹介されている映像などが流れていました。
また、こちらのサウジアラビアの形をした巨大なパネルには、サウジアラビアの地図やメッカ、特産品の映像が映し出されていました。
タッチパネルになっており、より詳しくサウジアラビアについて知ることができるようになっていました。
例えば、最初の選択画面では以下の選択肢から選ぶことができます。
- 経済と投資
- 社会と国家
- 自然とツーリズム
- トランスフォーメーション
- エネルギー
- アートと文化
この中でも、今回はトランスフォーメーションの項目についてご紹介します。
トランスフォーメーションの中にはデジタルトランスフォーメーションなども含まれていますが、今回は女性のエンパワーメント、女性に対する取り組みについて見ていきます。
この項目を選択すると、ジェンダー平等や働く女性について、女性のリーダーシップという項目が現れます。
サウジアラビアは、世界銀行のレポートによると2019年にはジェンダー平等に関して大きな進歩があったと評価されており、女性が社会進出しやすいように性差別を禁止する政策などを打ち出しています。
これにより、さまざまな業界、例えばツーリズムや、法律、軍隊への入隊などで活躍する女性の数が大きく増加しました。さらに、働く女性が直面している課題を解決するため、子どもを預かるサービスの開始や、女性専用の移動サービスなどを提供していることが紹介されていました。
サウジアラビアと言えば石油で潤っている国と想像するかもしれませんが、サーキュラーカーボンエコノミーを通じて2060年にはカーボンニュートラルを宣言しています。
実際にサウジアラビアは世界最大級の石油埋蔵量を誇っているエネルギー大国です。輸出総額の約9割、財政収入の約8割を石油に依存しています。
この国がカーボンニュートラル実現のためにどのように取り組み、国の財政収入の構造を変化させていくのか。これは大きなチャレンジになりますが、ポジティブな変化を応援していきたいと思います。
最後に
サウジアラビアパビリオンは多くの水や電気を使用しているにも関わらず、LEED認証を取得しており持続可能な形で全てが循環しています。
簡単なことではないかもしれませんが、環境に配慮すること=地味にすること、自然の素材を生かすことだけでなはく、派手なパビリオンに仕上げながらも環境負荷を減らすことができることを体現しているパビリオンの一つだと感じました。