ポーランド・パビリオンの秘密を探る|ドバイ万博の魅力を紹介
ポーランドパビリオンは、数ある大型のパビリオンの中で最もエレガントで洗練されています。まるで芸術作品のようだと高い評価を得て、The World Expo Awardで最優秀賞を受賞しています。
アーティストによる作品展示
ポーランド出身のアーティストが制作したアート作品です。巨大なパズルのような作品は、ポーランドの地形を表しています。作品は、120以上のピースから構成されており、素材には木やガラス、銅、セラミックが使用されています。一部で使用されているアルミニウムは、3Dプリンターで造られました。
ポーランドについてご紹介
パビリオンの2階には、ポーランドの特産品やテクノロジーが展示されています。例えば、お化粧品や地域で作られたキャンドル、ポーランドの絵本や伝統的な食器などの工芸品です。他にも、船舶技術の高さが紹介されており、ドバイマリーナに停泊している船舶のうち、3隻に1隻はポーランドで製造されています。
パビリオン館内は、来館者を誘導するルートを引かず、来館者は自身が気になったところへ足を運べるように設計されています。決して押し付けがましくない点が、先述した賞を受賞した理由にもなっています。
建物中にいる白い鳥の意味
白いオブジェは、ポーランドの渡り鳥を表しています。ポーランドに生息している鳥のうち、40%は渡り鳥です。鶴は、日本とポーランドの両国に渡ってくる鳥だとスタッフの方が教えてくれました。このオブジェは、建物の外側にも施されています。風が吹くと鳥が飛んでいるように見えます。
環境に配慮したレジャー用の建築物
レジャー用の建物の模型が展示されています。戦時中は旅行に行けなかったため、国内でも楽しめるようにとレジャー用の建物が建てられたのが始まりです。模型の脚部分は、色によって海や川、山が近くにあることを表しています。濃い青は森、水色は川、灰色は山を表します。
こちらの建物は森に囲まれており、木材のみで作られています。建物は今でも綺麗に保存されており、宿泊できるそうです。
1907年に、ポーランド南部の山の近くに建設されたレジャー用建物です。材料には、現地で調達できる木材と石のみを使用しています。近くの森や岩場から運ばれているため、原材料の輸送による二酸化炭素の排出量も少なくなっています。
こちらの長い建物は、全体が植物に覆われてしまい、現在は地中に埋もれている状態だそうです。建物に使用している素材は、自然由来のため掘り起こして解体する必要はありません。
レジャー用の建物は、大型の物だけでなく、ペンションのような小型のものもあります。小型の建物は、コロナ禍で旅行に行けない期間に多くの人が利用したそうです。
展示されていた全ての建物は、化学薬品を使用しておらず、自然に還ることができる素材が使用されています。一方で建設時には、多くの木材が必要なため森林を伐採します。ポーランドでは以前から伐採した分だけ植林し、持続可能な森林のための取り組みを行っています。
パビリオンにも反映されている
ポーランドパビリオンで使用されている建設素材は、化学薬品の使用を最小限に抑えています。そのため、来館者が入館した瞬間に木の香りに包まれます。また、同パビリオンは、万博終了後も再度組み立て直すことが可能です。1度きりの役目ではなく第2の役目が与えられるように設計されていることも注目すべき点です。
最後に
ポーランドの人々が昔から自然との繋がりを大切にしていることが、パビリオンの展示からよく分かります。万博のパビリオンは、どれもライトアップされ、派手なものが多い傾向にあります。しかし、ポーランドの自然との調和を大切にしているコンセプトは逆に目立ち、押し付けがましくない雰囲気が漂っているからこそ、賞賛されるパビリオンに選ばれたのだと思います。何より、ポーランドに多くあるレジャー用の建築を紹介しながら、それらを展示しているパビリオン自体もサステナブルで環境に配慮されており、ストーリーが一貫しています。自分の中でも印象に残るパビリオンになりました。