バイデン大統領、連邦ビル脱炭素化へ|2億5000万ドルの資金提供を発表
2023年3月23日木曜日、アメリカのバイデン政権は、連邦政府機関によるネット・ゼロ・ビルディング・プロジェクトを支援・推進するため、「Assisting Federal Facilities with Energy Conservation Technologies(AFFECT)」プログラムを通じて、2億5000万ドルを資金提供すると発表しました。
資金提供は、DOE(Department of Energy)の連邦エネルギー管理プログラムが管理する「省エネルギー技術による連邦施設支援(AFFECT)」プログラムを通じて提供されます。同プログラムは、バイデン政権が推進している「Investing in America」の一環であり、雇用創出や産業の発展を通じて国の経済競争力を高め、気候変動に取り組んでいます。
カーボンニュートラル実現に向けた大統領令に基づいている
今回の資金提供は、バイデン大統領が2021年12月に署名した大統領令に基づいています。大統領令は、連邦政府機関が2050年までにカーボンニュートラルを実現するために達成すべき目標として、以下の5つの目標が示されています。
- 2050年までに、100%クリーンなエネルギーへ切り替えること。
- 2035年までに、100%温室効果ガスの排出ゼロの自動車へ切り替えること。(小型車は2027年)
- 2050年までに、連邦政府が調達する素材がカーボンニュートラルであること。
- 2045年までに、ネット・ゼロ・ビルディング・ポートフォリオを実現すること。
- 2050年までに、連邦政府の事業全体から排出される温室効果ガスを実質ゼロにすること。
大統領令は、2045年までにネット・ゼロ・ビルディング・ポートフォリオを実現することに加え、2032年時点で温室効果ガスの排出量を50%削減するという暫定目標も設定しています。
※ネット・ゼロ・ビルディング・ポートフォリオとは、建物を運用することで排出される温室効果ガスの排出量の収支を実質ゼロにすることを目指した建築物の集合体のこと
建設産業による温室効果ガスの排出
COP27で発表されたレポート「2022 Global Status Report for Buildings and Construction」によると、建設産業は、世界全体で排出される温室効果ガスのうち約37%を占めています。しかし、建築資材は、長期に渡る耐久性が求められることから、代替することが難しいという課題に直面しています。
アメリカのエネルギー省長官ジェニファー・M・グランホルムは、次のように述べています。
「連邦政府は、アメリカ国内で最も多くのエネルギーを消費しています。だからこそ、バイデン大統領が掲げた目標を達成することは、良い模範になります。資金提供を活用することで、一般家庭から巨大の工場まで、誰もがエネルギーを節約し、クリーンなエネルギー源に切り替えることで、納税の負担を軽減できるように取り組みます」
また、ホワイトハウス環境質委員会のブレンダ・マロリー委員長は、次のように述べています。
「バイデン大統領が推進する『Investing in America』は、連邦政府の30万棟の建物を気候変動に強く、よりエネルギー効率が高い建物に変えることを支援しています。今回の資金提供は、政府が掲げる目標の達成だけでなく、雇用創出や健康的なコミュニティの構築につながっています」
参照:
Biden-Harris Administration Announces $250 Million for Federal Agencies to Advance Net-Zero Projects and Save Taxpayers Money | Department of Energy
CO2 emissions from buildings and construction hit new high, leaving sector off track to decarbonize by 2050: UN