ドバイ・持続可能なサステナブルシティが示す新たな暮らし方と可能性
今後人口増加が起こると、2100年には世界の85%の人が都市部に住むと言われています。都市は、さまざまな商品やサービスが誕生する一方で、多くの温室効果ガスを排出し、また食品ロスといった廃棄物も生み出しています。つまり、これまでの都市の在り方では、持続可能な社会を実現することはできません。
ドバイにある「The Sustainable City(持続可能な都市)」では、太陽光パネルを設置することで自給率100%を達成し、また水の利用料もドバイ市内と比較して削減することに成功しています。今回は実際に行ってみた私が日本でも取り入れられると感じた事例をご紹介します。
ヒートアイランド現象を防ぐ?
ドバイといえば砂漠の真ん中に建てられた大都市で、暑いというイメージがあるかと思います。サステナブルシティでは、道にセメントを使用せず、暑さを緩和させるための粘土(もちろん固いです)が使用されています。もちろん暑いことには変わりありませんが、少しでも体感気温を低く保つことでエアコンの設定温度も変化するのではないでしょうか。
可能な限り設置する
サステナブルシティでは、駐車場やレストラン、オフィス、もちろん住宅のあちこちに可能な限り太陽光パネルが設置されていました。実際、2020年の1年間で生産したエネルギーのうち、サステナブルシティで使用したのは全体の45%、残りの55%は外部に送った実績が紹介されていました。
空気があれば水を作り出せる
サステナブルシティの施設の中や、ドバイ市内の人の行き来が多いメトロの駅には給水機が設置されており、マイボトルを持っていれば給水することができます。ゴミが出ないだけでなく、空気から水を生成するので水が不足している地域でも綺麗な水を飲むことができます。
また、サステナブルシティの住宅の屋上にもその機械が設置されており、住宅で使用する一部の水は空気から生成されています。その結果、2020年の一軒の平均水の使用量をサステナブルシティとドバイ市内で比較すると、150:278と低くなっているそうです。
日本は水に恵まれた国ではありますが、多くの天然水を輸入する過程で二酸化炭素を排出しています。実際に生成されたお水を飲んでみましたが、冷たくて美味しかったです。自販機のように至るところに設置されることで、マイボトルを持つことが当たり前になれば良いなと感じました。
計算されつくされた街
街を歩いていると、多くの植物が植えられていることに気づきます。デーツの木やモリンガの木、そして住宅地の中央には11個のドームと呼ばれる野菜を栽培している建物があります。住民は配布されるチケットと交換することで新鮮な野菜を食べることができます。さらに、サステナブルシティの中にあるレストランやカフェでは、ここで栽培された野菜やデーツなどを使用することで、移動によって排出される二酸化炭素の削減に貢献しています。
さらに、写真ではまだ完成していませんが、グリーンカーテンを作ろうとしています。植えられている植物は、水を多く必要としないものが植えられています。
最後に
エネルギー自給率を上げることは脱炭素社会を目指す上で重要なポイントになります。現在、東京都が新築の建物に太陽光パネルの設置を義務付ける方針を検討しており、少しずつ変化も起こっています。今回ご紹介したサステナブルシティの規模は決して大きくはありませんが、国土の狭い日本だからこそ、空いている場所をうまく活用して発電している姿勢を見習いたいなと感じました。
後編の記事では、建築の工夫やゴミをきちんと分別したくなる仕組みについて紹介しています!