コーポレートガバナンス・コードの改定やESG(E=環境、S=社会、G=ガバナンス)という言葉の認知度が広がったこともあり、多くの企業が気候変動対策や人権に対して取り組みを強化しています。
企業はESGに沿った情報開示を行っていますが、それらを行う上で現在注目されているのがトレーサビリティ(追跡可能性)が注目されています。
この記事ではトレーサビリティと、その重要性についてご紹介していきます。
トレーサビリティとは

トレーサビリティ(Traceability)とは「Trace(追跡)」と「Ability(可能)」を組み合わせた言葉です。
このトレーサビリティは、「チェーントレーサビリティ」と「内部トレーサビリティ」に分けることができます。
チェーントレーサビリティ
原材料の生産・供給、製造、物流、販売、消費、廃棄まで、製品を追跡可能な状態にすることです。
つまり、その製品がどこの原材料を使用して作られているのか、どこで加工されたのか、生産者や生産された場所を追跡することができ、私たちが一般的によく使用する「トレーサビリティ」はこちらを指します。
内部トレーサビリティ
チェーントレーサビリティの一部、つまり1つの企業や工場など、範囲を限定してその製品を追跡可能にするトレーサビリティです。
トレーサビリティの必要性
食への安全性に関してはもちろん、最近では環境や人権に配慮しているかを証明するために活用されるケースが増え始めています。
企業は、サプライチェーンを通じて排出された、または削減した二酸化炭素の量や、使用した水の量がどのくらいか、児童労働が行われていないか、生態系を破壊していないか、などを証明することが求められます。
これは、投資家や取引先からだけでなく、欧州では消費者から求められるようになっています。
つまり、サステナブルな企業であることを証明するためには、トレーサビリティを可能にする必要があるとも言えます。
取り組み方法
具体的に取り組む方法としては、持続可能な漁業を行っていることを証明するMSC認証や、コットンが生産される過程で土壌汚染や人権侵害が起きていないことを証明するGOTS認証や、業界関係なく事業を行う過程で環境や社会に配慮し、透明性があることを証明するB-corp認証の活用などがあります。
それぞれの認証についてはこちたをご覧ください。
グローバル企業の取り組み事例
Nestlé(ネスレ)

ネスレは、情報の改ざんなどを防ぐため、Nestlé(ネスレ)は「IBM Food Trust」を利用することで、一部の原材料の追跡にブロックチェーン技術を活用しています。
IBM Food Trustとは、サプライチェーン上の情報をブロックチェーンに記録し、関係者間(生産者や製造業者、荷主、小売業者、規制当局、消費者など)で迅速に情報共有をすることで、安全性や追跡可能性の向上を実現しています。
こちらのZOEGASいう商品では、「ブラジル・ルワンダ・コロンビア」などといった異なるコーヒー豆の生産地を追跡・確認することができます。
また、今年2022年1月に、トレービリティを完全なものに近づけるため、カカオ生産における児童労働のリスクに取り組む新たな計画を発表しています。
これを実現するためには、サプライヤーと多くのコミュニケーションを取る必要があることに加え、サプライチェーンを再構築する必要もありますが、2023年には一部の「キットカット」製品から開始予定 だとしています。
Sheep Inc.

トレーサビリティは環境や人に配慮するためだけのものではありません。こちらのアパレルブランドでは、動物の権利への透明性を確保するため、使用するウールに関して追跡できるようにしています。
商品についているタグを読み込むと、原材料が生産された土地だけでなく、ウールを提供してくれた羊まで追跡することができます。
そして移動した場所や、「子供が生まれました。」「毛を刈られています。」などの報告が届きます。
いかがでしたでしょうか?
環境や人権への配慮に関する情報開示を、投資家だけでなく消費者も求めており、このニーズが高まることで、トレーサビリティの導入や強化する企業は今後ますます増えていくのではないでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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