サステナブルな未来のモビリティ|革新と課題に向けた展望
人類は今も昔も、人に会うため、旅行するため、あるいは仕事をするために移動を繰り返してきました。「移動」の歴史を振り返ってみると、初めは徒歩だったものが、現在ではテクノロジーの進歩で宇宙まで行けるようになりました。一方で、世界全体で排出される二酸化炭素のうち16.2%は「移動」が占めています。ドバイ万博では、より便利なだけでなく、環境負荷の考慮や快適性を追求した移動(モビリティ)に関する多くの展示がされていました。
宇宙開発によるテクノロジーの進歩
宇宙へ行けるようになったことでGPS機能を利用して位置情報が把握できるようになりました。そして私たちの多くは、A地点からB地点へ移動するためにそれらを活用しています。しかし、これをさらに応用して靴の底に取り付けることで認知症を患っている人が迷子にならなくて済むアイディアが紹介されていました。
渋滞の待ち時間を5分の1に
渋滞による待ち時間や駐車場などの空きを探すために時間を費やしています。スペインでは、駐車場を探すのに平均で10分かかっていますが、テクノロジーを使用することで2分に短縮させることが可能です。また、自動車が通行しない分音を抑えることや、大気汚染の軽減にも繋がると紹介されていました。
都市システムの中のモビリティ
ベルギーは政府や企業だけではなく、これらの組織が起業家や科学者と協力しながら2050年のビジョン実現に向けて動いています。Bike Valleyという企業は、サイクリングの重要性をより高める取り組みを行っており、ベルギー全土で自転車の高速道路のようなアイディアを実現しようとしています。ハイテクな自転車に乗りながら、郊外からでも自転車で都心へアクセスしやすい社会を目指しています。
また、モビリティは都市システムの一部であるため、都市設計についても紹介されていました。例えば、ベルギーの首都ブリュッセルは何世紀も前に建てられた都市であり、歴史も多くあるため大きく外観を変えることはできません。しかし、現在は主要なエリアのほとんどが自転車と歩行者天国になっており、緑の溢れた街並みに変化しつつあります。その結果、自動車による排気ガスなどが減り、大気汚染の軽減にも繋がっています。
MaaSへの期待がどんどん高まっており、ベルギーはこれらの新しいソリューションと都市計画を組み合わせながら、人々が暮らしやすく楽しい、また環境負荷を少なくするスマートな都市空間を設計していくそうです。
待ち時間の削減だけでなく環境負荷も
ドイツパビリオンでは、CARGOCAPという会社が紹介されていました。ドイツでは1年間、車を運転している時間のうち120時間を渋滞に費やしているそうです。しかし、このCARGOCAPは自動で管理されているので、渋滞することはありません。よって、人々はより早く目的地に到着することができるだけでなく、車を使用しないことで環境負荷を減らすことにも繋がることが紹介されていました。
空飛ぶクジラ?
フランスパビリオンで紹介されていたのは、FlyingWhalesというヘリウムで稼働する最大積載量が60トンもある飛行船を開発している企業です。可能な限り環境負荷の少ない方法で、貨物輸送による環境負荷を低減させ、インフラが整備されておらず孤立してしまっている場所を世界と繋げることを目指しています。
空から直接ものを運べるため、木材の輸送なども生態系への影響を最小限に抑えることができます。また、インフラが整備されていない地域と聞くと貧困地域を思い浮かべるかもしれませんが、日本でも大雨による洪水や地震などの災害が起こった時、道路の冠水や破損で特定の地域が孤立してしまうことも珍しくありません。緊急時に陸路で支援物資が届けられないケースが発生しても、FlyingWhalesでは従来の方法より多くの量を現地へ届けることが可能になることが紹介されていました。
最後に
人間はどうして移動するのでしょうか。その理由の一つには、より深い情報を求めているからだそうです。オンラインで会話をするより、直接会った方がより多くの情報を得ることができるとコロナ禍で感じた人も多いのではないでしょうか?
ドバイ万博の事例を通じて、モビリティといっても、都市システムとしてのものや、宇宙開発に関するものなど、さまざまな切り口があることを知ることができました。
いずれにしても、私たちの生活をより便利に、そして豊かにするために開発が進められています。同時に環境への負荷を減らす努力も行われており、未来のモビリティがどのように進化していくのか期待したいと思います!