観光立県・沖縄が実現する持続可能なMICE運営 – 環境と経済の好循環
沖縄は観光地としての豊かな自然や文化的魅力を背景に、持続可能な観光(サステナブルツーリズム)に力を入れています。沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)が主導する活動は、地域資源を活かしつつ、国際的な視点で持続可能性を追求するモデルケースとして注目を集めています。
2024年9月2日から6日まで沖縄コンベンションセンターで開催された、SPNHC(国際自然史標本保存学会)とTDWG(生物多様性情報標準化委員会)の合同大会では、OCVBが事務局を務める沖縄MICEネットワークのサステナビリティ部会が「沖縄MICE開催におけるサステナビリティガイドライン」に基づき、監修と助言を行いました。
廃棄物排出量の可視化アプリ
特筆すべき点は、廃棄物削減のための意識向上を促す可視化アプリの導入です。参加者がリアルタイムで自身の廃棄物排出量を確認できる上、会場内で発生した廃棄物(紙、プラスチック、食品残渣など)のデータが記録され、「今日の廃棄物排出量は50g」などの具体的な数値として参加者にフィードバックされました。
イベント全体での廃棄物削減目標も設定され、達成状況がアプリ上で共有されることで、参加者全員が目標達成への貢献を実感できる仕組みにより、大会全体では従来のMICE開催時と比較して約20%の廃棄物削減が達成されました。参加者が自身の行動が環境に与える影響を即座に把握できる仕組みは、行動変容を促進するだけでなく、持続可能な生活スタイルへの啓発にもつながります。
会議の参加者向けに行われたエコツアーは観光産業とMICE運営を結びつけ、地域経済への貢献を図る重要な取り組みのひとつであり、ツアーの移動には電動バスやカーボンオフセットを活用したシャトルバスが採用されるなど、細部まで配慮された運営が行われました。
多様性への配慮の徹底
また、合同大会でのダイバーシティ(多様性)への配慮の徹底も注目すべき点です。会場はバリアフリー対応が進められ、手話通訳や音声ガイドが提供され、障がいを持つ方々も安心して参加できる環境が整備されました。また、食事面でも多様性に対応し、ベジタリアンやヴィーガン、ハラール食、アレルギー対応食などが提供されました。
「沖縄MICE開催におけるサステナビリティガイドライン」の全65項目の行動指針により、主催者や事業者自身の責任を理解し、持続可能性の実現に向けて主体的に行動する助けとなっています。地域資源を活かしながら環境保全、地域経済の活性化、文化の継承を両立させるモデルケースとして、沖縄だけでなく他地域や国々への波及効果も期待されています。
沖縄のサステナブルMICE運営は、地域の特性を最大限に活用し、持続可能性を追求する実践的な取り組みです。この成功事例は、観光産業と環境保全の調和を実現するための重要な道標となり、持続可能な未来を築くための一歩を示しています。
参照