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アニマルウェルフェアの普及による、ペットショップの現状と今後

アニマルウェルフェアの普及による、ペットショップの現状と今後

動物たちがストレスフリーな環境で飼育される、アニマルウェルフェア(動物倫理)が注目されています。アニマルウェルフェア先進地域では、「命」の観点から、ペットショップでの売買を禁止する流れも見られるようになりました。本記事では、国内外のペット事情を中心に、ペットショップの現状と今後を解説します。

目次

アニマルウェルフェアとは

アニマルウェルフェアとは、動物が生命を授かってから死に至るまでの間、可能な限りストレスを小さくし、心身ともに健やか、かつ行動要求が満たされる飼育方法を指します。

アニマルウェルフェアの一例を挙げるなら、犬や猫をペットショップで販売しないことです。イギリスのイングランドでは、2018年に子犬や子猫の販売を禁止する「ルーシー法」が制定されました。悪質業者がペットを繁殖しないよう、生後半年以下の子犬や子猫の販売を禁止しています。

また、イギリスやアメリカでは、犬や猫が保護されている施設であるシェルターがあります。ブリーダー経由でなく、シェルター内の犬や猫を引き取り、飼い始める動きが出ています。

日本のペット業界は巣ごもり需要人気で右肩上がり

経済産業省がまとめた商業動態統計によると、2020年の新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の影響で、ペット関連の販売額が増加しています。新型コロナウィルス感染拡大を防ぐ為、ステイホームが求められ、私たちは家にいる時間が増えました。その際、家での楽しみや心の癒しを求めてペットを飼う人が一定数いたと言われています。

ペット産業の動向 -コロナ禍でも堅調なペット関連産業-|経済産業省
引用:ペット産業の動向 -コロナ禍でも堅調なペット関連産業-|経済産業省

ペット飼育で起きている問題

ペットブームの裏側では、飼育に関する問題が良く発生します。こちらの章では、主な問題点を挙げます。

軽い気持ちで飼い始め、飼育放棄する層
新型コロナウイルス感染拡大により、巣ごもり時間が増えたことで、犬や猫を飼い始めたものの、感染対策の規制が緩和されたことで外出が増えるなど、この3年間で生活スタイルに変化がありました。飼育者の中には、生活スタイルが当初と変わったことでお世話することが難しくなり、飼育を放棄するといったケースが発生しています。

飼い主の経済困窮
飼い主の失業または給与が減ったなどの理由で、ペットの餌代が支払えないという事例が発生しています。他にも、動物病院の診療代や予防接種代が払えないということで、保護犬や保護猫の頭数が増えています。

海外のペット事情

フランスでは、「動物愛護法」の施行が、2024年1月より始まります。この法律により、ペットショップで犬や猫の店頭販売が禁止されます。他にも動物のショーケースでの展示が禁止されます。また、一般人がインターネットで犬や猫の販売することも禁止されます。

フランスで「動物愛護法」が施行される背景にあるのが、バカンス期間の飼育放棄です。フランスの動物愛護を推進している30 millions d’amis によると、フランス全体で捨てられるペット10万匹のうち、およそ6万匹が夏のバカンス前に捨てられています。

また、アメリカのニューヨーク州では、2022年6月の州議会の上院で「パピーミルパイプライン法案」が可決しました。犬や猫のほかにもウサギの生体販売が禁止される予定です(※2022年12月時点、法の施行はしていない)。

このように欧米では、ペットを「売らない、買わない」という動きが出ています。

日本の現状

日本では、人と動物が共生できるように「愛護管理法」という法律が1973年に制定されました。愛護管理法は、家庭用や展示用、産業動物、実験用を含むすべての動物の健康・安全の確保、そして人の手による虐待や迷惑行為を防止することを目的としています。

また、日本では、2024年6月1日以降、ブリーダーおよびペットショップなどで販売される犬や猫のマイクロチップの装着が義務化されます。家族として犬や猫を迎え入れる際、飼い主の氏名と住所を登録することが必須です。これにより、飼育放棄を防止する効果も期待できます。

国内でも、ペットを含む、動物に対する制度が整ってきたものの、飼い主のキャパシティーを超えた数のペットの飼育、ペットの飼育が困難な状況に陥る「多頭飼育崩壊」など、解決すべき問題が残っています。今後、国がどのような動きをするか注目です。

最後に

飼い主にとっては、ペットの愛らしい表情や動きは愛おしいものです。ただし、ペットを軽い気持ちで飼い始め、「飽きたから手放す」という行動は、実に自分ファーストな行動です。

ペットにも尊い命があります。これまで犬や猫、鳥といったペットが、ペットショップやホームセンターの一角で販売されていることは当たり前だったかもしれません。しかし、今後は、ペットの殺処分やペットショップが抱える問題に対する知識を深めることが重要です。

実際にペットを迎えた時に、快適な環境を提供し、愛情を持って最後まで彼らの人生に寄り添うことができるのか、私たち消費者が一人一人考える必要があるでしょう。

参照:
https://www.30millionsdamis.fr/la-fondation/nos-combats/
フランス 犬と猫がペットショップから消える?いったいなぜ? | NHK

小田 るみ子

小田 るみ子

元専業主婦の編集ライター兼校正者。子育てや教育、美容、ライフスタイルを中心とした複数のジャンルで記事企画や執筆、インタビューに携わり、キャリアを重ねる。近年は、持続可能な社会環境づくりに関心を抱く。成人した娘と息子を持つ母。

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