「すべての人に健康と福祉を」日本企業の具体的な取り組み5つ

SDGs3「すべての人に健康と福祉を」には、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」をテーマとして、全部で13のターゲットが定められています。

しかしこの場合の健康とは、単に「病気や怪我にかかっていない状態」のことをいうのではなく、肉体的・精神的、そして社会的にも満たされた状態にあることをいい、あらゆる条件によって差別されることなく最高水準の健康に恵まれることは、すべての人々にとっての基本的人権のひとつです。(参考:公益社団法人 日本WHO協会【世界保健機関憲章前文(日本WHO協会仮訳)】より)

この記事ではそんな「真の健康」を考える上で欠かせない、「シングルマザー層の子供の貧困問題」「高齢化社会問題」に焦点をあて、日本企業の取り組みについてご紹介いたします。

SDGs3「すべての人に健康と福祉を」にみる2つの課題と5つの事例

「すべての人に健康と福祉を」というSDGsの目標3を考える上で、日本では「シングルマザー層の子供の貧困問題」と「高齢化社会問題」は大きな問題であり、先進国の中でも対策が進んでいない課題でもあります。

コロナ禍でますます重要性を増すこの2つの課題について、日本企業が取り組む具体例はどのようなものがあるのでしょうか。

シングルマザー層の子どもの貧困問題

シングルマザー層の子どもの貧困問題
画像引用:しんぐるまざあず・ふぉーらむ【シングルマザーの現状】

日本ではなんと7人に1人の子供が貧困状態にあるといわれています。

これは、ひとり親やシングルマザーが増えたことが大きな要因として考えられ、現代の日本社会の大きな歪として捉える必要のある問題です。

特に新型コロナウイルス蔓延による影響はシングルマザー家庭を直撃し、研究者などで作られた支援団体「シングルマザー調査プロジェクト」の発表によれば、一斉休校のために仕事を休んだり減らしたりした人は、全体の46.3%にも及んだという結果も出ています。

これに対して具体的な取り組みを行う2つの企業のプログラムについて、ここではご紹介します。

認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンのフードバンク

ひとり親世帯の子どもの貧困率は48.3%、つまり約2人に1人が相対的貧困状態にあるといわれ、これは先進国では最悪のレベルです。

こうした国内の子どもの貧困対策への取り組みとして、認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンでは2017年より、ひとり親家庭への食品支援を行うフードバンク「グッドごはん」を開始しました。

これは善意ある個人・企業から集められた募金を用いて、低所得のひとり親家庭へカゴいっぱいの食品を届けるというシステムです。

子どもたちの「お腹いっぱいご飯が食べたい」という欲求を満たすことができるだけでなく、食の支援によって家計や子どもの学習など、生活面へのさまざまな波及効果をもたらすこの取り組みは、多くのひとり親家庭の母子を助ける活動となっています。

>>グッドネーバーズ・ジャパン公式ホームページ

日本ロレアルのシングルマザーキャリア支援プログラム

日本ロレアルのシングルマザーキャリア支援プログラム
画像引用:日本ロレアル【未来への扉】

ひとり親家庭の子どもたちが貧困に陥ってしまうのは、親の収入が低所得かつ安定しないという点に要因があります。

この傾向は母親1人のシングルマザー家庭においてはより顕著です。

グローバルな化粧品大企業である日本ロレアル株式会社では、こうしたシングルマザーに向けたキャリア支援プログラムとして「未来への扉」という取り組みを行っています。

2016年に始まったこのプログラムでは、毎年約5ヶ月間でさまざまな学びを通しスキルアップや就労の機会を提供しており、特にコロナ禍でさらに経済的困窮が強まったシングルマザーを対象として、オンラインでの短期特別講座も開催しました。

プログラムでは収入アップのためのスキルを学ぶだけでなく、化粧品会社である強みを活かしたメイクやスキンケアの方法を教える身だしなみ講座も組み込まれています。

これにより単に収入支援だけでなく、生活するだけで精一杯のシングルマザーに向けて自己肯定感(セルフエスティーム)を得るための支援も考えられていて、シングルマザーとなる過程で刷り込まれた自己肯定感の低下に対しても精神的なサポートがなされているのが大きな特徴です。

>>日本ロレアル公式ホームページ

高齢化社会問題

現代の日本は諸外国でも例を見ない超高齢化社会が形成されており、高齢者のサポートを考えることはSDGs3の目標を達成する上でも大きな課題となっています。

進行する高齢化に対応するために、日本では2005年に施行された「高齢社会対策基本法」などに基づき、政府主導での対策が数々打たれてはいますが、その実現のためには政府だけでなく、地域社会や企業の強力が欠かせません。

そんな高齢化社会問題に取り組む3社の事例を、ここではご紹介します。

いであ株式会社の福祉・支援システム

社会基盤の形成と環境保全の総合コンサルタントとして、建設環境分野ではトップクラスのコンサルティングを提供するいであ株式会社では、さまざまな形でSDGsへの取り組みが行われています。

その中でSDGs3への取り組みとしては巡回支援システムや、インターネットによる検診予約システムの提供が行われ、多くの高齢者への支援で社会への貢献がなされているのです。

病院や診療所に専用バスで巡回出張する際、受診者の管理や各データの処理など、規制のプログラムだけでなくオーダーメイドによるシステム構築サービスの提供。

さらにはインターネット上で健康診断の予約を行うシステム構築サービスなど、ただでさえ病院へかかることが困難であった地方の高齢者を支援するシステムを構築することで、高齢者だけでなくそうした人々を支える医療従事者や家族までをサポートできるサービスを提供しているのです。

>>いであ株式会社【システム開発・構築】

株式会社笑美面(えみめん)のシニアライフサポート

介護施設や老人ホームの無料紹介をサービスとして提供する株式会社笑美面(えみめん)では、高齢化社会問題は自社のビジネスに直結する問題です。

そんな同社がSDGs3に取り組むきっかけは、「望まない孤独死をする高齢者や親族の介護に疲弊する人たちをなくしたい」という想いでした。

誰もが「その方らしい」毎日を叶える高齢者施設への入居を支援する同社の取り組みは、まさにSDGs3として掲げられた「すべての人に健康と福祉を」という理念にマッチしています。

さらにそれだけでなく、高齢者施設の最新動向や施設選びに必要なノウハウなどを、メディカルソーシャルワーカーやケアマネージャー、そして入居者の家族などへ伝えるセミナー活動にも取り組んでいます。

>>株式会社笑美面【持続可能な開発目標(SDGs)への取り組み】

株式会社ヤクルト本社の地域社会貢献

ヤクルトレディというセールスレディが企業や各家庭を訪問して、自社製品を届けて回るシステムを採用している株式会社ヤクルト本社。

同社では「各家庭を訪問する」というシステムを活用して、ヤクルトレディが商品を届けながらひとり暮らしの高齢者の安否を確認したり、話し相手となる「愛の訪問活動」と呼ばれる活動を、SDGsという言葉すらなかった1972年から続けています。

担当地域に毎日商品を届けるヤクルトレディは、地域社会のすみずみまで目を届かせているということで、全国878の自治体、警察などと連携して地域の見守りを支援。

特に高齢化が続く地域社会においては、安全と安心を手助けする存在として貢献しています。

>>ヤクルト公式ホームページ【CSR活動/地域社会】

まとめ

日本においては「すべての人に健康と福祉を」というSDGsの目標3を考える上で、特に問題となる「シングルマザー層の子供の貧困問題」と「高齢化社会問題」について、各企業の取り組みをご紹介してまいりました。

どちらの場合でも解決のための糸口となるのは、当事者が社会的に自立した生活を送れるように支援することです。

心身ともに健康な状態で、十分な福祉を得られることは国民の権利であり、それを妨げる要因は取り除かれなければなりません。

そのための各企業の取り組みは、SDGs3へと取り組む企業にとっても参考となる部分があるはずです。

自社の業務に取り込める部分はどこかを考えながら、この日本が抱える大きな問題に取り組んでみてください。

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