ベルギー|ドバイ万博で示されるモビリティと都市設計の展望
日本を含めて、世界ではカーボンニュートラル、つまり脱炭素社会の実現に向けて各国が取り組みを進めています。そのためには、エネルギー業界、食品業界など、さまざまな業界が大きく転換することが求められるでしょう。都市設計についても、より環境負荷の少ない街づくりが求められます。本記事では、モビリティを通じて、持続可能な都市システムを構築するためのアイディアやテクノロジーが紹介されていたベルギーパビリオンを紹介します。
モビリティに関する歴史の振り返り
建物の中に入るまでの通路では、モビリティに関して活躍した人物や歴史が紹介されていました。皆さん、史上最強のロードレーサーとして知られるEddy Merckxという人物をご存じでしょうか?自転車の前輪を回転させると、彼の活躍についての紹介を見ることができます。
ベルギーでは、市民の生活に自転車による移動手段が定着しているだけでなく、自転車競技も高い人気を誇っています。週末には規模は異なりますが、全国でレースが開催されているそうです。
ベルギーパビリオンの外観について
ベルギーパビリオンは近未来的なデザインと自然を組み合わせており、またサーキュラーエコノミーの観点から再資源化できる素材の活用や太陽光による発電、温水の生成なども行っています。サステナブル建物として模範となることを目指して建てられているそうです。
モビリティの未来を垣間見るベルギーパビリオン
中へ進むとまず上層階へ上がるエレベーターへ案内されます。ベルギーは政府だけでなく、起業家や科学者と協力しながら描いている2050年のビジョン実現に向けて動いています。最初の空間では2050年の未来のモビリティに関する展示が行われていました。
自転車による移動
自転車による移動が定着していることは既にお話ししました。スポーツ業界でイノベーションを起こそうとしているBike Valleyという企業は、サイクリングの重要性をより高める取り組みを行っていることが紹介されていました。
例えば、ベルギー全土で自転車の高速道路のようなアイディアを実現しようとしており、人々はハイテクな自転車に乗りながら、郊外からでも自転車で都心へアクセスしやすくしようとしています。
インフラをよりサステナブルに
ベルギーのワロンと呼ばれる地域は海に面しており、またパリやロンドン、フランクフルトなどから数時間でアクセスできるため、多くのインフラが整備されています。
海に面しているので整備された港があります。他にも高速道路も整備されており、世界で最も密度が高くかつ設備が整っており、近隣諸国へ直接アクセスできるようになっています。さらに高速鉄道も整備されており、欧州のさまざまな地域を繋いでいます。
最後に、ベルギーには1,514キロメートルに及ぶ河川と運河があり、巨大な水路になっています。そのうち450キロメートルはこのワロン地域にあり、ベルギーの全ての主要な産業センターがこの水路と相互接続されています。そのため、よりスムーズな輸送が実現できます。
都市設計とモビリティ
モビリティは都市システムの一部であるため、都市設計についても紹介されていました。例えば、ベルギーの首都ブリュッセルは何世紀も前に建てられた都市であり、歴史も多くあるため大きく外観を変えることはできません。しかし、現在は主要なエリアのほとんどが自転車と歩行者天国になっており、緑の溢れた街並みに変化しつつあります。その結果、自動車による排気ガスなどが減り、大気汚染の軽減にも繋がっています。
MaaSへの期待がどんどん高まっており、ベルギーはこれらの新しいソリューションと都市計画を組み合わせながら、人々が暮らしやすく楽しめ、また環境負荷を少なくするスマートな都市空間を設計していくそうです。
最初の空間では、来場者が未来のモビリティがどう在ってほしいかのアイディアを共有するスペースも設けられていました。
ベルギーの2050年ビジョン
次の空間へ進むと、ベルギーの2050年のビジョンがビジュアル(動画)で紹介されていました。緑が溢れたベルギーの街並みと一緒に空飛ぶ車が走っていたり、自転車のための歩道橋が整備されている映像が確認できます。
最後に
今後日本でも地方の過疎化や東京への一極集中など、都市設計含めてMaaSに注目が集まることが予想されます。本記事で紹介したベルギーの取り組みは、インフラが整っている日本の都市部で応用できる事例もあるのではないでしょうか。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
あすてなでは、SDGsに関する情報や企業事例などの紹介に加えて、ドバイ万博についても紹介しています。
実際に現地へ行ったレポートを通じて、少しでも2025年に開催される大阪・関西万博の参考になれば嬉しいです。