シンガポール政府が気候関連財務情報開示の費用支援を発表
企業の気候関連財務情報開示は、環境による影響によって、直面するリスクや機会を外部に対して高い透明性で情報を共有するコミュニケーションツールです。近年は数多くの投資家が、企業の気候関連開示を通じて環境戦略を理解し、投資の判断を行うようになっています。
シンガポールでは、一部の大手企業へ気候関連財務情報の開示を義務付ける新しい規制を背景に、企業が気候関連財務情報開示を求められるケースが増えています。この状況を考慮し、EBD(シンガポール経済開発庁)及びEnterpiseSG(シンガポール企業庁)は、大手企業に対して気候関連財務情報開示の費用を支援する助成金を開始しました。
この助成金は、年間売上高が1億シンガポールドル以上の大手企業が最初のサステナビリティレポートを作成する費用負担の支援を行います。これにより、大手企業のサステナビリティ戦略が策定され、IFRS ISSBの基準に準拠した継続的なサステナビリティ情報開示が実現されます。大手企業への給付は対象費用の最大補助率 30%で、15万シンガポールドルまで助成金を受け取ることができます。
また、現時点で中小企業(SME)にはサステナビリティに関する報告の義務はありませんが、取引先であるグローバル企業や大手企業から取引先のサステナビリティ情報を評価したいという要望が増えています。
そのため中小企業がサステナビリティに関する報告ができるように、EnterpriseSGは業務提携したサービスプロバイダーとともに、最初のサステナビリティレポートの作成を支援するプログラムも開始します。このプログラムは、2024年後半に開始される予定で開始から3年間利用が可能です。EnterpriseSGは、プログラム開始初年度に参加する中小企業の支援に対し、対象費用の70%を助成し、残り2年間は助成率を50%に引き下げ、支援を継続します。
参照:Collaborations for Enhanced Partnerships for Capability Transformation (PACT) | Singapore EDB