表参道のレストラン『RACINES AOYAM』フードロス削減を目指す
東京・表参道の商業施設「ののあおやま」の一角にある「RACINES AOYAMA」は、無添加にこだわった素材を中心にメニューを提供しているレストランです。
私は平日のお昼に訪れましたが、多くの人で賑わっていました。RACINES AOYAMAは、料理の一部に規格外の野菜を使用することでフードロスの削減に貢献する取り組みも行なっておりサステナブルなレストランとして注目されています。
RACINES AOYAMA
株式会社グリップセカンド(以下、グリップセカンド社)は、池袋を中心に都内に8店舗・9ブランドを展開しているフードサービスカンパニーです。同社は、「街をつくる」というコンセプトのもと、ビストロやイタリアン、焼肉、和食、ベトナミーズなど多種多様なレストランを運営しています。また、全国60以上の信頼できる生産者と直接契約して独自の仕入れルートを構築しています。そして、食材に合わせて料理を提供することで、食材を効率的に活用し、食品廃棄率1%の実現を目指しています。
本記事で紹介するRACINES AOYAMA(ラシーヌ青山)は、ブルワリーを併設したレストランです。オリジナルのクラフトビールやカクテル、料理に合わせてセレクトした自然派ワインと一緒に楽しむことができます。
私は、人気のリースサラダを注文しました。このサラダには、規格外の野菜が使用されています。
ドレッシングは、野菜をおいしく食べてもらうために農家と共同で開発しました。淡路新玉ねぎと有機大葉のオリジナルの無添加ドレッシングです。
フードロスとは
フード(食品)ロスとは、まだ食べることができるのに捨てられてしまう食品や食材のことを指します。農林水産省によると、日本では年間で約522万トン、国民一人当たりに換算すると、お茶碗約一杯分(約150グラム)の食料が廃棄されています。
フードロスには、家庭から排出される「家庭系食品ロス」とスーパーマーケットやレストランなど流通の過程で廃棄されてしまう「事業系食品ロス」の大きく2種類に分かれます。
デザートはRACINES DONUT&ICE CREAMで
RACINES AOYAMAの隣には、RACINES DONUT&ICE CREAM(ラシーヌドーナツアンドアイスクリーム)が隣接しています。RACINES DONUT&ICE CREAMでドーナツやアイスクリームを購入すると、デザートとしてレストラン内で飲食できます。
RACINES DONUT&ICE CREAMで販売しているドーナツは、グループ店であるRACINES Bread&Saladで販売されている大人気のドーナツです。RACINES Bread&Saladは、毎日25種類1,000個を目安に販売しており、休日には1,500個近くが夕方までに完売するそうです。RACINES DONUT&ICE CREAMも、週末には店舗の外まで行列ができるほど人気です。
廃棄されてしまう食材を救う仕組みづくり
RACINES DONUT&ICE CREAMが、ドーナツとアイスクリームなどのスイーツを中心に扱う理由は、例えばアイスクリームであれば、規格外で廃棄されてしまうフルーツを活用することができるからです。
果実や野菜は、生産者が愛情と手間をかけて生産されています。しかし、商品流通の過程で品質や見た目でランク分けされ、ランクの低いものは安価に取引されたり、廃棄されてしまう場合があります。しかし、味はほとんど差がないこともあります。
グリップセカンド社は、「Except for A Project(A以外を活用するプロジェクト)」を推進しています。このプロジェクトは、商品流通の過程で廃棄されてしまうランクの低い食材を仕入れて活用する取り組みです。
レストランのメニューで、フルーツを大量に消費することは困難です。しかし、アイスクリームであれば、見た目や形が悪い規格外のフルーツを加工することで、価値のある商品へと生まれ変わらせることができます。規格外のフルーツは、アイスクリームだけでなくドーナツにも活用されています。
「いちご」や「フジカワレモン」のドーナツです。小粒ないちごでも、加工することでドーナツのトッピングに変身します。また、レモンも大きすぎると規格外の商品として敬遠されてしまうそうです。しかし、レモンを加工し、グレイズ(焼き菓子やパンの表面に塗って艶出しすること)としてドーナツに利用することで、美味しい食材に生まれ変わります。
従来のレモンと比較して見せてくれました!
最後に
トマト農家の私の友人から、規格外のトマトを貰ったことがあります。トマトの形は、普段スーパーマーケットで目にするような丸い形ではありませんでしたが、味や品質は変わりなく美味しかったです。
フードロス削減のため、「買いすぎない」「食べ残しをしない」といった取り組みは、私たち消費者も実践しやすいでしょう。しかし、流通の過程で廃棄されてしまう食材を、消費者が目にする機会は多くありません。グリップセカンド社のように、レストランが仕入れの時点でランクが低い食材を購入し、加工することで料理やデザートとして提供する仕組みは、他の飲食店でも広がってほしいと感じます。そして、このようなレストランを積極的に利用し応援していきます。
参照:
GRIP SECOND
RACINES AOYAMA
RACINES AOYAMA Donut & Ice Cream
RACINES AOYAMA Bread & Salad
農林水産省